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TOSSランドNo: 2600086 更新:2012年12月31日

理念づくり 危機管理化の原則


1.危機管理の必要性

 学校には保護者、地域の方々から多くの苦情や要請がある。また、多くの学校事故等の危機が発生する。
 学校づくりは、危機管理の意識を持つことが大切である。佐々惇行氏は『危機管理のノウハウ PART1』(PHP文庫)の中で、危機管理の原則を次のように述べている。

 1.最悪の状態を想定する。
 2.常に代案を用意する。
 3.喧嘩は低姿勢から始める。

 これらの原則は学校づくりにも適用できる。
 危機にぶつかってからでは遅い。危機に当たらないように事前に回避する努力をするのである。「最悪の状態を想定する」の原則はそういう時に役立つ。
 そして、危機にぶつかった時には、「常に代案を用意する」、「喧嘩は低姿勢から始める」の原則を適用する。
 どんな学校を作るのかという理念づくりは、計画化、マネージメント化、そして危機管理化が必要である。
 現在の学校は説明責任の時代である。保護者や地域から結果についての説明が求められる。ましてや学校事故の危機に対しては、結果の説明と責任の追求は厳しい。そこに危機管理の必要性がある。

2.最悪の状態を想定せよ

 危機管理で大切なのは、危機を事前に察知し未然に防ぐことである。そのためには、常に「最悪の状態を想定」していることである。
 プロ野球の野村克也監督は、試合前に必ずゲームのシュミレーションをし、次のことを心がけている。

悲観的に準備し、楽観的に実施する。

 Aピッチャーが打たれたらDにリリーフする。Dが打たれたらKにする。HのピンチヒッターはFにする。
 最悪の状態を想定し、悲観的に準備しておくのである。準備があれば、危機に面してもうろたえることはない。
 あらかじめ想定しているのであるから驚かない。事前に考えていた案を実施すれば良いのであるから、危機を回避することができる。
 学校づくりも同じである。子供の事故、教職員の事故、地域からの苦情に対して、常に最悪の状態を想定しておくのである。

3.水泳事故の危機管理

 学校での一番の危機は子供の死亡事故である。管理下で死亡事故がないように、計画化、マネージメント化しておくようにする。
 死亡事故の多いのは、水泳である。学校教育における水泳による事故は多い。
 『学校の管理下の死亡・障害(平成10年版)』(日本体育・学校健康センター)の「事故(交通事故を除く)による死亡の状況」をみると教育活動中の事故は27件ある。
 そのうち、水泳による事故は8件である。「疾病による死亡の状況」では4件、「事故による障害の状況」では15件となっている。
 いかに水泳事故が多く発生しているかが分かる。死亡事故の例をみると次のようである。

 (1) 他校プールでの市内水泳大会時、競技前のウォーミングアップをしていた時(小5男 死-溺死)。
 (2) 体育授業時の屋内温水プールで今年度最初の水泳指導時、準備体操とばた足練習の練習中。(中1男死-溺死による急性クモ膜下出血)
 (3) 体育授業の水泳指導で25メートルリレーの時。(中3男 死-窒息)
 (4) 体育授業の水泳指導時でクロールのテストの時。(中3女 死-溺死)

 「事故による障害の状況」としては、飛び込みと練習中・遊泳中の事故が多い。飛び込みの例としては、夏期水泳指導(課外指導)時に、プールに飛び込んだ際、プールの底に頭部を強打した(小2男)とある。
 練習中・遊泳中の例としては、体育授業時、ビート板を使用してのバタ足練習中、ビート板がプールの横の段差に乗り上げてしまい、その際プールの壁で顎を強打した(小3男)とある。
 以上のように水泳指導中の事故は多い。原因は非日常的なプールでの指導が大きな原因である。水の中での指導のため、児童・生徒の体温調整、心肺機能が十分対応出来ていないためと思われる。
 また、プールがコンクリートで出来ているため、水底に頭部を打ったり壁に顎を強打したりなどの事故が多い。施設の構造に原因があるのである。
 水泳指導をする前に、最悪の状態を想定しておく。そして、最悪の状態が起こないように事前に準備しておく。水泳事故回避のために、学校として誰がどんなことをいつまでに行うか明らかにしておく。それが危機管理化なのである。水泳指導の危機管理は次の内容が考えられる。

(1) 練習中・遊泳中の危機管理
 ① 事前の健康状態を把握する。
 ② 練習中・遊泳中の健康管理を行う。
 ③ 事後の健康状態を把握する。
 ④ 入水前の準備運動を十分に行う。
 ⑤ 水泳の指導について工夫する。

(2) 施設・設備の危機管理
 ① プールの安全管理をする。
 ② シャワー、足洗槽、腰洗い槽などの施設の管理をする。
 ③ ビート板、ヘルパー、コースロープの設備の管理をする。

 水泳事故の危機管理としては、第一に練習中・遊泳中の改善である。最初に事前の健康状態を把握する。水泳指導の前に、入水出来ない疾病調査を行う。
 例えば、てんかん、心臓疾病のある児童・生徒の調査は絶対必要である。入水出来ない疾病のある場合には、医師や保護者の同意が必要である。
 さらに、水泳指導前の健康状態を把握しておく。チェックカードをもとに当日の健康診断をする。特に熱や皮膚病については入念に調べる。
 健康状態は指導前だけでなく、指導中、指導後も行う。練習中に疲労や貧血等で具合の悪い子供が出る。絶えず児童・生徒の顔色や体調を観察し、変調が出た場合には指導する。
 健康状態が悪いままに運動していると溺死につながる。水泳指導は死につながることを自覚しながら行う。
そのためにもプールに入る前の準備運動は大切である。特に気温や水温の低い時には、体温を上げるためにウォーミングアップを入念にする。いきなり入水すると心臓麻痺を起こす。
 指導もいきなり激しい運動をさせるのではなく、最初は水中を歩いたり走ったりなどして水に慣れさせる。その後、けのびをして水に顔をつけていく。水慣れした後に本格的な練習を行っていく。
 第二には施設・設備の改善である。水泳の特徴は屋外に施設・設備があることである。しかもコンクリートで出来ている。
 特に事故の多いのは、飛び込みをしてプールの底に頭をぶつけることである。これで死亡する例が多い。あるいは壁に頭や腕をぶつけることである。プールの施設の構造を教師が理解し、事前に指導しておくことである。
 水泳の事故で一番恐いのは水に溺れることである。水に溺れた時の対応の仕方を水泳指導前に徹底しておく。一つは人口呼吸の講習を受けておくことである。消防署にお願いして、救命法の指導を受けておく。これも危機管理の一つの対応である。

4.常に代案(解決策)を用意する

 学校には多くの危機がある。その危機の解決策がないと、学校は正常に運営できない。
 危機解決の方法として、千葉大学名誉教授の武田敏氏は『トークライン』(1997.11月号)で「共生と、よい人間関係スキル」について述べている。
 危機解決の手順として次のように述べ、実践例を紹介している。

問題解決(対立意見 → 両意見対比 → 修正案提出 → 意見一致)

 危機の原因はお互いの情報不足から来ていることが多い。対立している意見を対比し、どこに問題点があるのかを明確にする。
 それぞれの意見を対比した後に修正案を提出し、意見の一致を図っていくのである。この方法は学校の危機解決にも当てはまる。
 私が学校運営上の危機を解決したのも同じような考え方で行った。特に考えた方法は次の内容である。

A.両意見対比、意見一致の場を設ける。(学校と当事者が話し合う場)

 学校で発生した危機解決のために、「学校と当事者が話し合う場」を設ける。
 その中で学校、当事者の考え方を対比させ、修正案を出し、意見の一致を図る。
 危機的場面に出会った時、一方の話だけを聞くのではなく必ず両方の立場から話を聞く。そして必ず両者の話し合いの場を設け、両者の考えを聞くようにしていく。
 お互いの主張を述べることによって、思い違いや誤解を解くことができる。その中で意見の一致を図り、危機を乗り越えることが出来る。
 竹田敏氏は危機回避の方法として次の5点をあげている。

 ① 感情的に受け入れると相手の立場がよくなる。感情を先にする。
 ② 合理的な説明をする。理屈の上で提示する。
 ③ 関係者、児童のためになる対応案を与える。利益のある形にする。
 ④ 調整する人がいるとよい。PTAの役員の方にお願いする。共通点を見つけ調整する人に同席してもらう。
 ⑤ 専門家の話を聞く。医学的に確認する。


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