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TOSSランドNo: 2600089 更新:2012年12月31日

組織づくり 包み込み化の原則


1.相手のしてほしいことをする

 組織づくりの第二原則は包み込み化である。校務分掌の割り振りがされた時に、自分の分掌以外に活動しない教職員がいる。
 自分の枠の中の仕事だけ行うのである。他の人がどんなに忙しくても協力しない。そういう人間がいると組織は円滑に運営されない。
 円滑な組織づくりは互いの仕事を包み込んでいくことである。自分の仕事だけでなく、周囲の仕事を常に見つめ関連させていくことである。
 職場で一人でもそういう人間がいると組織は変わる。包み込み化の空気が周囲に伝染するからである。
 草柳大蔵氏は『花のある人花になる人』(グラフ社)の中で「忖度」について述べている。

 「夫婦の間では相手の弱点を口にしないこと」が鉄則になっている。
 むしろ言葉にならない部分のほうが多いはずである。だからこそ「忖度」という言葉がある。言葉に表現できない相手の気持を推測してあげることをいう。これは人間のひとつの能力である。しかも、たいそう程度の高い能力である。

 相手の弱点を口にしないことは教職員でも同じである。弱点を指摘された人間はそれを根に持つ。そして、相手の弱点を探して口にする。
 職場は暗くなり、モラルは低下する。職場の仕事への意欲はなくなる。特に管理職にある人間は、教職員の弱点を絶対口にしてはならない。
 大切なのは、「言葉に表現できない相手の気持を推測してあげること」である。
 お互いに相手の気持ちを推測していけば、ぶつかりや行き違いはなくなる。
 包み込み化でもっとも大切なのは次のポイントである。

相手のしてほしいことを行なっていく

 自分がしてほしいことはすぐに分かる。しかし、周囲の人間のしてほしいことは分からない。分かろうとしないのである。
 円滑に運営されている職場は、互いに相手のしてほしいことを相互に行なっている。相手の気持ちを推測して動いている。包み込み化の空気が流れているのである。
 近藤勝重氏は『つかみの大研究』(毎日新聞社)の中で、話術のポイントとして次の三つを挙げている。

 ①相づちをうまく打つ。
 ②ときたま疑問をさしはさむ。
 ③共通の話題を見つける。

 このポイントは包み込み化でも重要である。相手のしてほしいことは黙っていては分からない。
 相手の本音を引き出し、相手の考えを知るには技術が必要である。相手のこころをつかみ、相手のしてほしいことを行なっていけば、組織は活性化していく。
 自分のしてほしいことをしてくれた人間には、相手のしてほしいことをしようとするからである。
 期待をかけた相手は、いつかその期待に答えてくれる。

2.相手に対して気持ちのいいことを言う

 『ATHLETE2000』NO.35の「アスリートインタビュー」スポーツ烈伝に、積水化学女子陸上競技部監督小出義雄氏の言葉が紹介されていた。
 「小出監督の指導方法は、相手のやる気を引き出す方法だとお聞きしましたが、どのようにやる気を引き出しているのでしょうか」という質問に次のように答えている。

 中学の頃にいい先生に巡り会ったんです。「お前は足が短いのに県で優勝した。オリンピックに行け」と言ってくれたんです。中学生の時に、先生からそんなことを言われたら、嬉しくて頑張ってしまいますよ。
 だからぼくは思うんですよ。大人というのは子供を怒るだけじゃなく、いいところを誉めてあげなくちゃいけないって。何か誉めてあげると、子供は頑張りますよ。大人もそうですが、一生懸命やっているのに「ダメじゃないか」と言われたら「なんだと!」と思うでしょう。記録や調子があまりよくないときでも、何か一言「今日は頑張っているね」とでも話しかけてやれば頑張るものなんです。それって気持ちのいいことですよね。相手に対して気持ちのいいことを言ってあげる方が得をすると思います。

 小出監督は、「いいところを誉めてあげることで、人は頑張れる」と言っている。小出監督は中学生のときに、「お前は足が短いのに県で優勝した。オリンピックに行け」と言われた。その言葉が彼の人生を決定した。
 小出監督は農家の長男であった。父親は、当然跡を継ぐべくことを期待した。大学に行きたいといった時、父親は反対して認めてくれなかった。
 それでも大学で陸上をしたいという小出監督は家出をした。家出をして、4年間会社で働き学資をかせいでから順天堂大学に入学した。箱根駅伝の選手として活躍し、4年生のときに初めて順天堂大学は3位に入賞した。
 そういう苦労をしながら走り続けたのである。そういう苦労の中から、「相手に対して気持ちのいいことを言ってあげる」包み込みの生き方が生まれたのである。
 また同じインタビューで「マラソンをしている方たちにメッセージを」で次のように答えている。

 「君ならできる」といいたいですね。
 素直に、前向きな気持ちで努力すれば、物事はいい方へと動いていきます。人をひがんだり、羨んだりせずに、人がしていることを一緒に喜びあえる心をもっていれば大丈夫。
 高橋がそうなんですよ。彼女は強い人がいると、「私も頑張ろう、強くなろう」とニコニコして頑張る子なんです。普通の人だったら嫉妬心が起こるんですが、彼女は違う。それが強くなる秘訣ですね。

 「素直に、前向きな気持ちで努力すれば、物事はいい方へと動いていきます」も言う。これも小出監督自身の人生から出た言葉である。
 そして、素直に、前向きな気持ちで努力していると、自然に運が向いてくる。「人がしていることを一緒に喜びあえる心をもつ」ことは、包み込み化である。
 相手が喜んでほしいときに一緒に喜んであげられる心をもつことは、組織づくりでは大切である。
 組織づくりの原則は、「素直に、前向きな気持ちで努力すれば、物事はいい方へと動いていきます。人をひがんだり、羨んだりせずに、人がしていることを一緒に喜びあえる心」を互いにもつことである。
 包み込み化の原則を全教職員が持つことである。

3.私心を超えた高い志を持つ

 包み込み化で大事なのは、私心を超えた志を持つことである。相手の気持ちになるためには、私心を超えた志を持たなければならない。
 5月27日、TBSテレビ「ZONE」で「メッツ新庄移籍の真実」という番組を見た。阪神タイガースからニューヨークメッツへ移籍した、新庄剛志選手の特集である。
 新庄選手は5月24日現在、2割9分4厘と大リーグで活躍している。活躍の理由が番組を見て理解できた。
 大リーグへの移籍をするときに、伯父さんは大反対をしたという。「夢だけでは生きていけない」と。阪神に残れば5年間で12億円貰える。しかし、ニューヨークメッツでは20万ドル、日本円で2000万円である。
 誰が考えても阪神に残る方を選ぶであろう。しかし、新庄は伯父さんにこういって説得したと言う。
 「おいちゃん、俺は世界の新庄になりたいんだ。怪我をしても打てなくても12億円貰えると甘えてしまう。だから大リーグにいってプレーしたいんだ」
 私は新庄の活躍の裏に高い志があったことを初めて知った。12億円を捨てて自分の志のために生きている新庄選手の生き方に心が打たれた。
 もう一つ心打たれたことがある。新庄選手がどんな気持ちでプレーをしているのかを語った言葉である。
 「大リーグへの扉を自分が開ける。自分ができれば、日本人は誰でもできる」
 新庄選手は大リーグでは通用しないであろうとマスコミに批判されていた。それに対して、「必ず見返ししてやる」と叔父さんに言ったという。
 単に自分の力を試すのではなく、日本人が大リーグで誰でも活躍できることを実証する志があったのである。そして、新庄選手はこう語った。
 「無理だと思わず、自分のやりたいことをやる。自分を信じて」
 毎日、テレビや新聞に報道される新庄選手の活躍の裏に、私心を超えた高い志があったのである。
 5月27日の朝日新聞には次の記事が紹介されていた。
 「5月25日、メッツはマリーンズに延長の末、競り勝った。新庄は7回の死球で1死一、二塁と好機を広げ次打者ジールの同点本塁打を呼んだという。」
 上腕に当たった新庄への死球を故意と見たジールは「新庄を守るために本塁打した」と話したともいう。
 ジールは「新庄は異文化の地から来たし、補球のときにジャンプしたりする。目立つからターゲットにされた」と話し、「だから守らなければならなかったんだ」とも語ったという。
 新庄に当てても後続が打って、相手の損になることを分からせる。ジールのアーチは、そんな一撃だったのである。
 新庄は「(ジール)らにお前は米国で分からないことが多いから守ってやる、と言われている。当てられて、そのあと打ってくれた。チームワークを感じた」と、興奮していたという。
 ジールが生還したあと、あらためて新庄の死球を巡って両チームの選手が乱闘騒ぎになった。そんな試合に勝ち、新庄は「めっちゃ、うれしい」。ジールは「同点本塁弾というよりも、新庄を守る結果になって満足だ」と話したという。
 新庄選手の志が味方の選手にも伝わったのである。世界の新庄になりたいと言って大リーグに入団した私心のない志が仲間にも伝わったのである。


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