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TOSSランドNo: 1216150 更新:2013年01月01日

向山洋一氏の阿波踊り・指導の分析


 1992年,5月10日,東京で向山先生の阿波踊りの指導がありました。参加者が実際に踊りながら指導してくれました。
 指導内容もすばらしかったですが,指導法もすばらしく勉強になりました。前号では概要を報告いたしました。今回は、どこが優れていたのかの分析を報告いたします。
 最初に指導の概要をまとめてみました。

【阿波踊り3つのステップ】
 1,基本動作を知るステップ
 2,上達させるステップ
 3,子供の可能性を越えてまで表現させるステップ

 基本動作を知るステップは4つあります。

 1,足の動かしかた
 2,手の動かしかた
 3,足と手を一緒に動かす
 4,面を付ける(顔の表情を付ける)

 最初は1つの段階だけです。「足の動かし方」だけです。イチ,ニー,サン,シー。すごい上手です。四分の一終了です。残りの半分は,腰を下げてイチ,ニー,サンシーをします。
 第二段階です。手を付けます。イチ,ニ-,サン,シ-の繰り返しをする中で動きを付けます。
 私は酒が好きなので,とっくりから酒をついで飲む姿をします。声をかけてやってみます。(実際にやって見せる)
 皆さんもやってみてください。(手の動きを入れて行う。)
 子供には,「違うほうがいいんだよ。自分だけの動きのほうがいいんだよ」と言います。手の動きは,切れないほうが良いです。
 第三段階です。足と手の動きをくっつけます。
 ここの部分が一番難しいです。できなくてもどなる必要はありません。
 2点取れれば合格です。3列でやって評価をしていきます。
 全員が合格です。1日に1点ずつやります。
 次は,8点に挑戦です。
 リズミカルでかつ面白くします。柔らかさ,しなやかさが必要です。
 (3人1組で評価をしていく。一人一人が個性的で面白い動きをしている)
 第四段階です。面を付けます。10点に挑戦です。
 「顔をもっとみにくい顔にしてください。」
 とぼけた顔がいいですね。
 はちまきは細ければ細いほどいいです。それと水平にします。後ろが上がっている状態がいいです。


 指導の時間はたったの30分です。
 殆どの先生が阿波踊りをマスターされました。京都からきていた平田先生は,とてもうまくできていました。
 「平田先生,大変上手でしたが阿波踊りをやったことがあるんですか。」
 「とんでもありません。初めてやりましたよ。」
 「それにしては,動きがよかったですよ。」
 「つかれましたね。」
 短い時間に,個性的な踊りができるようになったのです。
 向山先生の指導された言葉は以上です。言葉はこれだけですが,やりながらの細かい指導があります。
 例えば,1点,3点,5点などと評価するときに観点をいうのです。あるいは,「うまいですね。」などとほめながら評価します。
 ですから,見ている人は具体的なイメージができていくのです。
 その辺のところは文章にできません。対応の技術がものすごくいいのです。
 指導を見ていて感じたことは,次の点です。

 1,指導のステップが明確である
 2,指導の内容がシンプルである
 3,評価を通して動きのイメージができる
 4,評価を通して動きが上達する
 5,動きの基本は同じであるが,個性的な動きができる
 6,一人一人の動きに応じた指導が即座にできる
 7,短時間に大きな変容が見られた

1.指導のステップが明確で,内容がシンプル

 指導の原理を見事に体得され、表現されたのです。
 指導のステップが明確でした。向山先生が最初に言われた原則をきちんと指導していました。

 1,基本動作を知るステップ
 2,上達させるステップ
 3,子供の可能性を越えてまで表現させるステップ

 基本を知るステップをさらに4つに分けて指導されています。

 1,足の動かしかた
 2,手の動かしかた
 3,足と手を一緒に動かす
 4,面を付ける(顔の表情を付ける)

 全部一緒に教えるのではなく,部分に分けて指導しています。一つの部分が習熟するまで次の段階を教えないのです。
 足の動かし方が完全にできない時に,手の動かし方を教えてしまうので子供は混乱するのです。
 足ができたら手だけを指導しています。足と手を分けて指導することがポイントなのです。これが指導内容のシンプルにつながっているのです。
 足と手を別々に指導してできるようになったら,二つをくっつけるのです。最初はばらばらですが,一つずつの動きはできているのですから時間をかければできます。
 足と手の動きができた後で顔の表情を付けます。部分に分け,習熟したら次のステップに移り,それを繰り返していくのです。

 1,部分に分ける
 2,習熟する
 3,上のステップに進む

 以上のような指導がなされていたために,内容がシンプルで,明確だったのです。

2.評価を通して動きのイメージを作り,動きを上達させる

 習熟させる方法がすばらしかったです。10点を目標にして,一人一人の動きを評価していました。
 最初は2点から始めました。形ができていれば合格です。基本の練習で全員できていますので簡単に合格です。
 ここで達成した喜びが体験できるので,もっとやろうと意欲がでます。
 子供に指導する時には,2点,3点,4点と少しずつ上げていくそうです。今回は先生方が相手だったので,5点にしました。
 そうすると合格できない人が出てきます。
 「手の動きがあっていませんので4点です。」
 「下を向いてやっていたので3点です。」
 あるいは,大変よい点で合格する人が出てきます。
 「動きが大変柔らかいです。8点です。」
 これらの評価が動きを高めていくのです。上達させる秘密なのです。

 1,評価を通して動きのイメージができる
 2,評価を通して動きの観点が分かる

 ここで活用されているのは,個別化の原則と確認の原則です。一人一人を評価するというのは個別化です。そして,点数をつけて確認しています。
 確認を通して,阿波踊りのイメージが膨らんでいくのです。合格の動きを見ながら,良い踊りの姿ができていきます。
 どこをどの様にすればよいのかの観点も示されるので,上達の手がかりができていきます。不合格になったら,合格しようという意欲も出ます。

3.個性的な動きを作る

 向山先生の指導で素晴らしかったのは,子供の可能性を越えてまで表現させるステップルを示されたことです。
 10点を越えて,11点,12点の世界を追求させたことです。ここで初めて個性化が図られるのです。
 学習指導要領には,「個性の伸長」が強調されています。ところが現場では,具体的にどのような指導でどのような状態になった時に個性が伸長したかが理解されていないのです。
 子供の可能性を越える状態を作った時,一人一人の個性はでてきます。
 同じ基本の動きをしながら,一人一人の動きが異なり,しかも見ている者を感動させる踊りになったのです。
 指導の原理が見事にあられていました。

 1,基本動作を知る段階  教育技術の法則化運動が提唱
 2,上達させる段階    上達論
 3,子供の可能性を越えてまで表現させるステップ  個性化

 上達論には二つ考えられます。一つは,子供の上達です。もう一つは,教師自身の上達です。
 黒帯6条件は,教師の上達論です。それと同じように,子供が上達する方法が具体的に示されることが必要です。
 今回,向山先生がされた点数をつけていくのも一つの方法です。他の教科,領域ではどんな方法があるか,追求していくのも面白いと思いました。

4.対応の技術

 向山先生の指導で真似ができないのは,対応の技術です。一人一人の動きに即して,とっさに評価し,コメントを入れていきます。
 私の課題は,対応の技術を分析し誰もが使えるようにしていくことです。どんな対応の技術があり,どうしたら身につけられるのか研究していきたいです。

 阿波踊りの指導は,「指導とは何か」を具体的に示しました。これを分析していけば,新たな指導の方法ができてきます。
 多くの方の力で究明していきたいです。
 ご意見がありましたら、根本までお願いいたします。


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