学年が上がるにつれて、絵を描くことに抵抗感、苦手意識をもっている子が多い傾向にある。
そういった考えをもっている以上は、いい絵は描けない。
どの子にも絵を描くための意欲をもたせるために行なった語りを紹介する。
自画像を描く前の語りである。
授業の始まりに、子どもたちに聞いた。
「絵を描くのが得意な人?」
手が挙がったのはわずか3人。
「どちらかというと、絵を描くのが得意でない人?」
ずらずらずらっと多くの手が挙がった。
予想通り、多くの子が得意でないと手を挙げた。
そんな子たちに向かって、次のように語った。
それは、きっといい絵ってのを勘違いしていると思うんだよね。
たぶんみんなは、いい絵ってのは、うまい絵だと思ってるんじゃないの?
うまい絵といい絵ってのは違って、うまく描きたいのであれば、写真を撮っとけばいいよね。
いい絵ってのは、一生懸命集中して描いた絵なんだ。
だから誰にでも描ける。
集中して描いた絵ってのは、味があるんだよ。
だって、うまい絵がいいってのなら、幼稚園児が描いた絵はみんなだめってなっちゃうよね。
小さい子が描いた絵は、先生の子どもは5歳だけど、ちょっと前の絵はこんなだったよ。
(黒板に頭足人を描く。)
最近になって、ようやく体が描けるようになったんだ。
(黒板に描く。)
先生は、子どもが描いた絵は大好きなんだ。
だって、一生懸命に描いてるもん。
だから、とっても味があるんだ。
みんなも同じだよ。
これから1年間、図工で絵を描いていくけど、集中して一生懸命描いてごらん。
絶対にいい絵になるから。
その後、やる気になった子どもたちは、自画像を一生懸命描き、どの子の絵も迫力満点の味わい深い作品となった。
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