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TOSSランドNo: 5926442 更新:2012年11月29日

向山型要約指導を「モチモチの木」(3年国語)で実践する


2011年2月13日(日)に、リフレッシュセミナー(長野)にて、D表検定を受検した。
(検定者:松崎力氏、小松裕明氏、小嶋悠紀氏)
結果、24級に昇級した。
講師の松崎力氏から「骨太な実践に向かい合っていていい」と言っていただけた。
その時指導案と、講師の松崎力先生の代案である。

【1】 指導案

「向山型要約指導を「モチモチの木」(3年国語)で実践する」

1.ねらい

向山実践「桃花片」に代表される「分析批評B型」では、「向山型要約指導」が必要である。
「モチモチの木」の要約指導の先行実践(大川が調べた限り)では、「豆太で終わる文」というところまでである。
それを、向山型要約指導の「20字以内」にこだわって指導することで、内部情報の蓄積が測られ、他の教材に応用することができる。

2.新学習指導要領での「要約」の必要性について

「小学校学習指導要領解説 国語編 平成20年8月 文部科学省」
第3学年及び第4学年 
文学的な文章の解釈
ウ 場面の移り変わりに注意しながら、登場人物の性格や気持ちの変化、情景などについて、叙述を基に想像して読むこと。

「豆太の気持ちがガラッと変わったところはどこですか」のクライマックスの検討がこれにあたる。
それを扱うのには、次のことが必要であると解釈できた。

自分の考えの形成及び交流
エ 目的や必要に応じて、文章の要点や細かい点に注意しながら読み、文章などを引用したり要約したりすること。
「要約」である。要約指導が必要である。

3.初任者研修(「向山型要約指導」で得た、子どもの事実)

1)初任者代表授業の反省

2011年1月18日に初任者代表授業を行った。
「豆太の気持ちがガラッと変わったのはどこか?」で討論をねらった。
どこか線を引くまではできた。しかし、理由がなかなか書けない。半分の児童しか書けなかった。
また、書けていても、教科書の本文からかけ離れたものであった。
教科書を根拠にした児童は一人しかいなかった。
指導主事に次のようにコメントをいただいた。
「国語は何と言っても、『叙述をもとにする』ことが大切です。」
要約指導をとばして、扱った。
討論で必要な、「内部情報の蓄積」がなかったために、叙述から探すことができなかったのである。

2)ほぼ全員が10点の子どもの事実

A君の日記より
 今回、国語でモチモチの木の『豆太は見た』を20文字い内でまとめました。
 キーワードは三つです。
 ①灯のついたモチモチの木。
 ②豆太。
 ③見た。
 全てを合体させて答えは、灯のついたモチモチの木を見た豆太。
 黒板に書いた人も全員灯のついたモチモチの木を見た豆太でした。
 これが10点まん点です。
A君は、10点を告げた時に、「やったー!今日パーティー開こう!」と言っていた。
子どもの事実を得た。

3)初任者研修での実践発表で評価された「要約指導」

2011年2月8日に、最後の初任者研修が行われた。
初任者5名、指導主事1名のグループで実践発表をした。
児童の日記などを紹介した。
前述の指導主事が一人ついて、コメントをいただいた。
「すばらしいです。要約ってとても大事です。」
今回は、高く評価していただたいた。
他の4名の初任者も、「まだモチモチの木をやっていないので、ぜひ要約やってみます。」と良い反応があった。
「向山型要約指導」によって、子どもから喜ばれ、初任者から、指導主事から評価された。

4.教材研究

1)向山型「分析批評」について

①小貫義智氏による定義

分析批評とは、作品批評のための分析技術である。
分析批評とは、作品表現の分析を中心とする批評の方法である。

つまり、分析批評は、技術であるから、他の作品でも応用可能である。
これを学習することで、他の教材でも活用することができる。

②A型とB型

分析批評A型
 A型は、「視点」「イメージ」「対比」などを主に扱う。「春」が有名である。短文に向く。
分析批評B型
 こちらは、作品全体の構造から追っていくものである。代表的なものとして、「ひょっとこ」「桃花片」がある。

(「ひょっとこ」の流れ)
1.作品をいくつかに分ける。
2.ストーリーの部分について、「いくつの事件」か確定する。
3.それぞれの事件を「短文」に要約する。
4.事件を起承転結に分類する。
5.クライマックス・モチーフについて検討する。
6.主題を考える。
(向山洋一全集50 69ページ)

「短文」とある。1981年の実践である。「作品全体の構造をとらえる授業」の構想段階の時期の実践である。

(「桃花片」の指導過程)
1.起承転結に分ける。
2.いくつの出来事があるか調べる。
3.各段落を20字以内に要約する。
4.繰り返し出てくる題材は何か調べる。
5.主題を書く。
(根本正雄氏の記録 「教育トークライン」№57、1993年3月、36ページ)

こちらの実践は、1993年である。「作品全体の構造をとらえる授業」の修正版と言える。
3で、「各段落を20字以内に要約する。」とある。
今回、「モチモチの木」で、これを追試する。

2)「モチモチの木」要約指導の先行実践

大川の調べた限りでは、報告されている先行実践は2つである。
1つは、平松孝治郎氏の実践(TOSSランド №1113052)。
もう1つは、「新しい学力観による授業改革2 中学年の授業をどう変えるか
(甲本卓司監修 TOSS岡山サークルMAK著  明治図書)」に記された平松氏の追試の論文(どなたのかわからない)である。
2つとも、次の要約文になったようだ。

①おくびょうな豆太
②(昼間はいばっているが)夜になるとおくびょうになる豆太
③はじめからあきらめる豆太
④灯がついたモチモチの木を見た豆太
⑤じさまに勇気ある子だと言われた豆太

平松氏は、「5つの場面を短くまとめます。最後が豆太で終わる文にしなさい。」という指示をされている。
後者の実践では、「段落を「豆太」で終わる文にしなさい。」と指示をされている。
ここで、疑問に思うことがある。
各段落で、時数がバラバラであることだ。
後者の実践では、「以前に20字以内で要約する学習を行っている」から指示しなくてもできたと記している。
しかし、第一場面は、「おくびょうな豆太」である。

果たして「おくびょうな豆太」でいいのか。

8字である。
20字以内というと、普通、15字~20字を期待する。
また、向山型要約指導のすごさは、キーワードごとに点数をつける所だ。
この実践では、第一場面の題名をとってきたものである。
第二場面での要約に応用できない。
向山型要約指導は、20字以内、3回書く、10名板書にこだわる必要がある。
これを大川学級で行った。次のようになった。

①夜中に一人でせっちんに行けない豆太。(18字)
②夜になると、モチモチの木をこわがる豆太。(20字)
③山の神様の祭りを初めからあきらめる豆太。(20字)
④灯がついたモチモチの木を見た豆太。(17字)
⑤じさまに勇気ある子だと言われた豆太。(18字)

17字~20字になった。

3)最後に、「。」をつけるか。

向山先生の「桃太郎」の要約指導のテープ起こしには、「。」がある。
しかし、「桃花片」の児童が書いた黒板には、ない。
一方、セミナーで、教師を子役にした時の模擬授業では、「。」がある。
「要約」を広辞苑で調べた。
文章などの要点をとりまとめて、短く表現すること。また、そのとりまとめた言葉や文。
「言葉」と解釈すれば、「。」をつけない。
「文」と解釈すれば「。」がいる。
両方ありうるということか。
実際には、3年生では、日々の指導で、「。」がついていることを徹底させたい。

4)45分授業を、5分間に圧縮

今回の検定では、5分である。圧縮した部分について記す。

①「3回書く」を「2回」に

向山型要約指導では、「3回書く」となっている。
しかし、時間の都合で、「2回」とする。
通常、1回目の評定では、点数のみであるが、今回は、「~があるから○点」と基準を示す。

②「桃太郎」の要約指導を、既習事項とする

通常は、書かせて評定するが、それを既習事項としてカットした。
「キーワードが3つである」こと、そして、「大事なキーワードは最後に来る」ことだけおさえる。

③2回目に書くときに板書させない

これも時間の都合上、書けた子役から立つ。
指名して、書きなおした文をよんでもらう。

5)筆者本人の作品解釈について

「モチモチの木」に添えて 斎藤隆介
絵本「モチモチの木」の裏表紙に記されている。
次の文に注目したい。
「滝平さんはションベンたれのおくびょう豆太が、爺さまへの愛情をテコにして夢中で思わぬ勇気をふるい起して、
意外やモチモチの木に灯がともるすばらしい光景を見ることが出来た―というこの話が好きなのだ。」
つまり、作者の斎藤氏は、
「ションベンたれのおくびょう豆太が、爺さまへの愛情をテコにして夢中で思わぬ勇気をふるい起して、
意外やモチモチの木に灯がともるすばらしい光景を見ることが出来た」と解釈している。
逆に言うと、そのように描いて、「モチモチの木」を作ったと言える。
向山型分析批評では、筆者の解釈とは関係なく、作品自体を分析する。
だが、一応知っておくということは大事だ。

5.単元展開

時数 主な内容 主な発問・指示・活動
1、2 音読 範読、追い読み、交代読み、起立読み、グループ読みなど。
3 ①指名なし音読 ②設定を問う
    ①指名なし音読 
    ②「登場人物をすべて書きなさい」「いつ頃のお話ですか」「場所はどこですか」
4 本時 事件を要約する① 「この段落を20字以内にまとめなさい。最後に一番大事な言葉がきます。」
5 事件を要約する②
6 事件を要約する③
7 起承転結に分ける 「『はじめに』『次に…次に…』『ところが』『とうとう』の4つに分けなさい。」
8 クライマックスを問う 「豆太の心がガラッと変わったところはどこですか」
9 豆太はおくびょうか 「豆太はおくびょうなのですか」主題にせまる。
原実践は、平松孝治郎氏。
要約を3時間分行うところを、大幅に修正した。

6.発問・指示

1)要約「桃太郎」

指示1 「桃太郎」のお話。みんなは、20文字以内にまとめました。読みます。さん、はい。

(「犬・サル・キジと鬼退治に行った桃太郎。」)

説明1 キーワード3つ。「犬・サル・キジ」「鬼退治」「桃太郎」

既習事項。テンポよく。

発問1 この中で、一番大切な言葉はどれですか。「犬・サル・キジ」?「鬼退治」?「桃太郎」?

挙手させる。

説明2 「桃太郎」ですね。一番大切な言葉は、最後に来るんだったね。

ポイントとなる。「最後」を強調する。

2)第一場面「おくびょう豆太」の音読

指示2 これをみんなが勉強している「モチモチの木」でやってみよう。「モチモチの木」出しなさい。

いきなり、「モチモチの木、出しなさい」だと途切れる。途切れないように、言葉でつなぐ。

指示3 全員起立。「おくびょう豆太」の場面、読んだら座りなさい。

「全員起立」と言ってから、「~したら座りなさい」と指示する。
この指示はシステムとなっているからである。
また、「全員起立」という指示は、100%通りやすい指示である。
それを確認してから、次の指示をすることで、入りやすくなる。
一人目が座ったら、「座っている人も読んでおくんですよ。」と言う。時間調整である。

3)要約1回目

指示4 今読んだところを、20文字以内にまとめなさい。一番大切な言葉で終わります。

特に「一番大切な言葉で終わります」を強調する。
一人目が書けた所で、「書けたら持って来なさい」と指示する。
時間の都合で、3名まで黒板に書くこととする。

指示5 発表してもらいます。鉛筆を置きなさい。

趣意説明して、全員の活動を止める。
評定  「~があるから、○点。…。」
キーワードに線を引き、解説しながら採点する。
前述したように、本来なら、キーワードを示さずに採点し、2回目に示す。
今回、時間の都合で、要約1回目に、解説を入れる。
「豆太」があれば4点、「しょんべん」または「せっちん」が3点、「夜中」または「真夜中」が3点。誤字脱字が1点減点。「豆太」があっても、本文の言葉から大きくかけ離れていれば、1点。

4)要約2回目

指示6 もう一度書き直しをしなさい。
ここで、ほぼ全員が10点満点になる。

7.引用参考文献

「向山洋一全集50 向山型国語の授業の実践記」 向山洋一著 明治図書
「伴一孝「向山型国語」で力をつける 第1巻 「向山型国語」は旧文化を駆逐する」 伴一孝著 明治図書
「新しい学力観による授業改革2 中学年の授業をどう変えるか」 甲本卓司監修 TOSS岡山サークルMAK著  明治図書
「TOSS小事典シリーズ 向山型国語入門Q&A小事典」 松藤司編著 明治図書
「文学教材キー発問活用小事典」 向山洋一編 明治図書
「国語の授業が楽しくなる」 向山洋一著 明治図書
「基礎学力を保障するノート指導 国語科編」 甲本卓司監修 三浦広志著 明治図書
「学年別討論の授業 小学3年」 石黒修著
「国語科 到達目標に達しない子への補充的指導 中学年」 伴一孝・藤本敬介編著 明治図書
「向山型『分析批評の観点別』実践事例集 第1巻」 石黒修編 明治図書
「モチモチの木(絵本)」
「教科書のでてくるお話 6年生」西本鶏介監修 ポプラ社

【2】 松崎力氏からのコメント(文責:大川)

1.キーワードについて

「大切な言葉」(大川の発問1)は、発達障がいの子にはよくわからない。
主観ではなく、「手立て」を示す。

①一番のキーワード
 ⅰ)何度も出てくる
 ⅱ)この人がいないとお話にならない
 ⅲ)タイトル
この3つから考える。
これを、主語とする。
②①の述語となる言葉
③①を飾る言葉

2.教態について

言葉等、とてもしっかりしている。

3.その他

骨太な実践に向かい合っていていい。

(このコメントを、大川指導案に直筆で書いて下さった。今でも宝物として鞄の中に入れ持ち歩いている。)


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