大人になってしまったウェンディは、娘のジェインにピーターパンの思い出話を聞かせました。みんなが寝静まったある夜のこと。ジェインの部屋の窓をたたく音がします。「あなだはだあれ?」「ぼくは夢の国のピーターパンさ」…。
有名なピーターパンのお話の続きをクラスみんなで創作しました。歌あり、踊りあり、殺陣あり。楽しい劇に仕上がりましたよ。
◆脚本/井上好文&ピーターパン2実行委員会
◆上演時間 /18分
◆上演/井上学級2年生 31名
-ベルが鳴る。
-アナウンス
-音楽①-1(約30秒)
-幕が上がる。舞台中央に窓。上手にベッド、ウェンディとジェイン。
-照明、明るく。
-音楽①-1、小さくなって
ジェイン 「ねえ、ウェンディ母さん。いつものようにピーターパンのお話をして」
ウェンディ 「はいはい」
-音楽①-2、少しずつ大きく。
ウェンディ 「私が始めてピーターパンに出会ったのは、ちょうどあなたぐらいの頃だった…。私が眠ろうとしていると、窓から男の子が入ってきたの…」
ウェンディ 「(子ども時代の自分に戻って)あなたは誰?。(ピーターパンの口調を真似て)ボクは夢の国のピーターパン。ボクといっしょに夢の国に行ってくれないか。お母さんのいない子どもたちにお話を聞かせて欲しいんだ。(子ども時代の自分に戻って)でも、私、雲に乗れないわ。(ピーターパン口調を真似て)夢を持っている子どもなら大丈夫さ」
ウェンディ 「私は、ピーターパンといっしょに雲に乗って、夢の国へ行ったわ」
-音楽①-2、中断。
-照明、消える。
-舞台下手に、海賊①②③④。ピンスポットが照らす。
海賊①②③④ 「俺たちゃ、海賊4人組。4人組」
海賊① 「切って(海賊④を切る真似)」
海賊② 「奪って(海賊④から宝物を奪う真似)」
海賊③ 「踏んづけて(海賊④を踏みつける真似)」
海賊④ 「俺ばっかりやんけ~」
海賊①②③④ 「失礼しました。うふ」
-海賊①②③④、舞台下手に去る。
-舞台下手より、海賊フック。
海賊フック 「何が。何でも」
海賊フック 「あのピーターパンをぶち殺す」
海賊フック 「(ハンカチを取り出して、左手のフックを拭く)この左手に誓って」
海賊⑤ 「(海賊⑤、下手より)フック船長、子どもたちをひっとらえてきました。こい!」
-海賊⑥、子ども時代のウェンディと夢の国の子どもたち①②を縄で縛って、下手より。
海賊⑥ 「おい! 娘っこ」
子ども時代のウェンディ 「娘っこじゃあないわ。ウェンディよ」
海賊⑥ 「ピーターパンは、どこだ」
子ども時代のウェンディ 「みんな。死ぬときはいっしょよ」
海賊フック 「どこだ! 言え」
夢の国の子どもたち①②、子ども時代のウェンディ 「い~だ!」
海賊フック 「何だと!」
-ピーターパン、客席中央より、舞台中央へ走り出て。
-ピンスポットが追う。
ピーターパン「ボクはここだ!」
-照明、消える。
-照明、明るく 音楽①-2、少しずつ大きくなって。
ウェンディ 「ピーターパンはフックと戦って、勝ったの」
ウェンディ 「そして、私を雲に乗せて、ロンドンまで送ってくれたのよ」
ウェンディ 「ねえ、ジェイン。私はもう、雲に乗れなくなっちゃったけど、夢を持っている子どもなら大丈夫。雲に乗ることができるのよ。あら、いつの間にか眠ったのね」
-ジェイン、ウェンディの話を聞きながら寝てしまう。
-ウェンディ、窓の所に歩み寄って、窓を開ける。
ウェンディ 「まあ、きれいな星空」
ウェンディ 「私がピーターパンと出会ったのもこんなに星がきれいな夜だった」
ウェンディ 「お・や・す・み、ジェイン(ウェンディ、上手に去る)」
-音楽①-2、小さく
-窓をたたく音。 ジェイン、起き上がる。
ジェイン「だあれ?」
-窓をたたく音。
-ジェイン、起き上がって、窓の所へ行く。窓を開けて、外をのぞく。
ジェイン 「誰もいないわ。ウェンディ母さんは、夢を持っている子どもなら雲に乗れるって言ってた。私も、ピーターパンといっしょに雲に乗りたいなあ」
ピーターパン、窓から、入ってくる。
ピーターパン「やあ」
ジェイン 「(ジェイン、驚いて、それから嬉しそうに)私が、『あなたは、誰?』って尋ねると、『(ピーターパンの口調を真似て)ボクは夢の国のピーターパンだよ』って答えるんでしょう」
ピーターパン 「久しぶりだね。ウェンディ」
ジェイン 「それから、『(ピーターパンの口調を真似て)ボクといっしょに夢の国に来てくれ』って言うんでしょう」
-音楽①-2、少しずつ、大きくなって。
ピーターパン 「ウェンディ。ボクといっしょに夢の国に来てくれ」
ジェイン 「さっきから、ウェンディ、ウェンディって。私、ジェイン・モイデア・アンドラ・ダーウィングよ」
ピーターパン 「でも、どこからみても、ボクの知ってるウェンディそっくりだ」
ジェイン 「ウェンディは、私のお母さんだわ」
ピーターパン 「じゃあ、ウェンディ、じゃなかったジェイン。ボクといっしょに夢の国に来てくれ。手伝って欲しいことがある」
ジェイン 「でも、(首を振って)私、雲に乗れないわ」
ピーターパン 「夢を持っている子どもなら大丈夫さ。さあ」
-2人、窓から出ようとする。
-マイケルjr.下手より、眠気まなこで。
マイケルjr. 「ボクも連れてって」
-照明、消える。
-海賊⑦⑧⑨⑩、舞台上手。
-音楽②-1。ピンスポットが照らす。
-海賊たち、踊る(約50秒)。
-その間を利用して、ロンドンの部屋を裏返しにして、暗闇の世界のセットに。
-生徒用机、下手に3つ。
-音楽②-2。
-雲①②③④⑤⑥、2列になって、ゆっくりとたなびく。
-ピーターパンたち3人、生徒用机の上。
-サイド、フットライト青色。
-ピンスポットが照らす。
ジェイン 「ところで、ピーター。私に手伝って欲しいことって何?」
ピーターパン 「おい! 雲。地図だ。地図を持ってこい」
-雲③、上手に、すぐに戻ってもとの位置へ。
-雲③、床を踏みつける。
-タイミングを合わせて、夢の国の地図、舞台中央へ。
-半分、黒く塗りつぶされている。
ジェイン 「なあに? この地図。半分、真っ黒じゃあないの」
ピーターパン 「世界中の子どもたちが夢を持たなくなってしまった。だから、暗闇が夢の国を包み込もうとしている」
ピーターパン 「ねえ、ジェイン。子どもたちは、本当に、夢をなくしてしまったのだろうか?」
ジェイン 「(首を振って)でも、私、雲に乗れたわ」
マイケルjr. 「ボクもだよ」
ピーターパン 「風が出てきたぞ(雲①②③④⑤⑥、大きく動く)」
ジェイン 「雨も降り出してきたわ(ジェインとマイケルjr.傘を取り出すが、風に飛ばされそうになる)」
ピーターパン 「気をつけろ!暗闇がこんなところまでやってきている(雲①②③④⑤⑥、さらに大きく動く)」
3人 「わ~」。落ちる。
-音楽②-2、消える。 照明、消える。
音楽②-3(不気味な音楽)。
-舞台下手より、海賊フック。
-サイド、フット赤く。ピンスポットが照らす。
海賊フック 「何が。何でも」
海賊フック 「あのピーターパンをぶち殺す」
海賊フック 「この左手に誓って」
海賊フック 「いやいや、それどころではない。こんなところまで、暗闇が広がってしまった」
-海賊フック、舞台、下手に去る。 ピンスポット消える。
-サイド、フット赤く。再び、ピンスポットが照らす。
-ピーターパンたち、下手より。
-ピンスポットが追う。
ピーターパン 「こっち、こっち」
ジェイン 「ねえ、ピーター。ここは、本当に夢の国? ウェンディ母さんの話と随分違うわ」
ピーターパン 「気をつけろ、ジェイン。暗闇が襲ってくるぞ」
-暗闇①②③④⑤、上手より。踊る。
(約10秒)
-暗闇①②③④⑤、ピーターパンと戦う。
-ピーターパン、暗闇たちを追いつめる。
-暗闇大王①② 、舞台上手より。
暗闇大王①②「今度は、わしが相手だ」
-ピーターパン、舞台中央で、倒される。暗闇大王①② 、舞台上手に去る。
-音楽②-3消える。
-海賊⑤、上手より。
海賊⑤「死んでる」 海賊⑥、下手より。
海賊⑥「主人公が、死んでしまったら、この話はおしまいじゃあないか」
-音楽②-4、静かに流れて。
-夢の国の子どもたち、ジェイン、マイケルjr. 駆け寄る。
夢の国の子どもたち 「ピーターパン」「ピーターパン」「ピーターパン」
海賊⑤ 「世界中の子どもたちが、夢を持たなくなってしまった」
海賊⑥ 「だから、こいつまで死んでしまったのさ」
ジェイン 「でも、私、雲に乗れたわ」。
マイケルjr. 「ボクもだよ」
ジェイン 「(ステージ前に歩み寄って)ねえ、子どもたち。世界中の子どもたち。夢を持っている子どもたち、私に力を貸して下さい」
-ステージ袖、客席の後ろから声(約10秒)。
-「ピーターパン」「ピーター」「ピーターパン」「ピーターパン」
-音楽③-1、勇ましく。
-海賊⑤⑥、ピーターパンをリフティング。
ピーターパン 「ボクは、もう大丈夫」
-暗闇①②、再び上手より。
-海賊⑤⑥、子どもたち、マイケルjr.、舞台下手に去る。
-暗闇①、ピーターパンと戦い敗れる。
-暗闇②、ピーターパンと戦い敗れる。
-暗闇③④、上手より。ピーターパンと戦い敗れる。
-暗闇⑤、上手より。ピーターパンに襲い掛かるふりをするが、途中で逃げ出す。
暗闇大王①② 「(舞台上手より)今度は、わしが相手だ」
-ピーターパン、暗闇大王①②と戦い勝つ。
-照明、明るく。
-場面、花畑の背景に変わる。
ピーターパンたちみんなで 「エイ、エイ、オー」
-音楽③-1、消える。照明、消える。
-音楽③-2。
-雲①~⑥、ピーターパン、ジェイン、マイケルjr.舞台下手。
-サイド、フット青色。ピンスポットが照らす。
-雲①~⑥、ピーターパン、ジェイン、マイケルjr.を取り囲んで踊る(約50秒)。
-その間を利用して、舞台をロンドンの部屋に。
-ピンスポット消える。
-音楽③-2、消える。
-音楽③-3、少しずつ大きく。
-照明、明るく。舞台、上手にベッド。中央に窓。
-窓から、ジェインとマイケルが入ってくる。
-ジェインは、ベッドに。マイケルは、舞台下手に。
-上手より、ウェンディ。
ウェンディ 「まあ、この子ったら、よく寝ていること」
ジェイン 「(起き上がって)、あのね。お母さん。私、ピーターパンに出会ったわ。そして、雲に乗って、夢の国に行ったの」
ウェンディ 「(首を振って)きっと夢だったのよ」
-音楽③-3、消える。
ピーターパンたちの声 「夢なんかじゃあないよ」
-窓から、ピーターパン、海賊たち、雲たち、夢の国の子どもたちが入ってくる。
-ピアノが鳴る。舞台横から暗闇たち。
-みんなで踊りながら歌。
-窓から、海賊フック。
海賊フック「ピーターパン、勝負だ!」
ピーターパン 「望むところだ!」
-幕が降りる。
-音楽③-4
-全員で、後片付け。
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