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TOSSランドNo: 9282365 更新:2012年12月31日

「お手紙」 実践記録


教材について

  一通の手紙を通して、かえるくんとがまくんの心の触れあい、友情の絆がさらに深まっていく様子を描いた作品である。
 二人は、対照的な性格でありながら、「親友」として描かれている。それは、次の文によく表れている。

  ふたりとも、かなしい気分で、げんかんの前にこしを下ろしていました。

  ふたりとも、とてもしあわせな気もちで、そこにすわっていました。

 がまくんのかなしい気持ち、幸せな気持ちは、2年生でも一読すればすぐに捉えられる。
 手紙をもらったことのない悲しさ、手紙がもらえるうれしさそのものは、わかりやすい。

 だが、なぜ、かえるくんまで悲しく、また、同時に幸せになるのだろうか。

 ここに、この物語一番の美しさがあると考える。

 がまくんが、悲しみに浸っている。
 かえるくんは、親友であるがまくんが悲しみに浸っていることが悲しい。
 (あるいは、がまくんの悲しみを知りながら何もできない自分自身に対して、悲しい。)

 やがて、がまくんは幸せな気持ちになる。
 親友であるがまくんの喜びを知って、自分も幸せになる。
 友だちの幸せが自分の幸せだというかえるくんの心の美しさ、また、がまくんの幸せも単に手紙をもらえたからではなく、かえるくんとの絆が深まったからであることにも、学習の中で気づかせていきたい。

 「お手紙」は、教材のほとんどが、かえるくんとがまくんの会話を中心に展開している。

 その会話には、それぞれの人柄が表れている。
 会話文を読むだけで、物語のあらすじは理解できるが、だれが言っているのかを気を付けながら読まないと、2年生では捉えにくい箇所がある。

 例えば、一の場面では、かえるくんのセリフとがまくんのセリフが交互に出てくるので、混乱することは少ないが、三の場面になると、かえるくんやがまくんのセリフが続けて出る箇所がある。

A 「がまくん。」
  かえるくんが言いました。
A’「きみ、おきてさ、お手紙がくるのを、もうちょっとまってみたらいいと思うな。」
B 「いやだよ。」
がまくんが言いました。
B’「ぼく、もうまっているのあきあきしたよ。」

 この場合は、AとA’、BとB’が同一人物のセリフだが、読みとりの浅い子は、瞬間的にこれを判断するのは難しい。
 そこで、単元の導入時には、まずはっきりと会話の主が誰かをつかませておくことが必要である。
 手立てとしては、かえるくん役とがまくん役を分けた役割読みを多く取り入れていくことが有効だ。
 二人で・グループで・列で・男女で・教師と児童で、など、様々な読み方を取り入れて、経験させたい。

 かつて、この単元では、ペープサート「紙人形げき」という活動が教科書に大きく取り上げられ、そのような学習が行われることが多かった。
 しかし、「紙人形劇をしてお話を楽しむ」という目標が前面に押し出されると、「確かな言語能力の育成」からは、はずれてしまうことが危惧される。
 国語科として表現活動は、大事にしながらも、あくまで「読みとり」あっての表現というスタンスで学習をしていきたい。

指導計画

【1~3時間目】

○ 「お手紙」の範読を聞き、初発の感想を書く。
 ・思ったこと
 ・考えたこと
 ・はてな

○ 本文がすらすら読めるように、音読をする。
 ・追い読み、交代読み、(2人組、班、列等)
  リレー読み、たけのこ読み、など。
 ・叙述の特性に照らし、読み方の工夫をする。

【4~5時間目】

○ お手紙の設定を確認する。
 ・登場人物は誰か
 ・誰がどのセリフを言っているのか
 ・主役、対役は誰か

【6時間目】

○ 第一場面の読みとりをする。

★ がまくんとかえるくんは、なぜ悲しい気分なのだろう。
 
 ・ がまくんは、誰からもお手紙をもらったことがないから。
 ・ かえるくんは、親友のがまくんが悲しい気持ちでいるのを知ったから。
 ・ がまくんと、かえるくん、どちらの方がより悲しいだろうか。

 ※初発の感想(はてな)を生かして、学習課題を設定する。
  子どもから出なければ、教師から問題を提示する。

【7時間目】

 ○ 第二場面の読みとりをする。

 ★かえるくんは、なぜ、かたつむりくんに、お手紙を頼んだのだろう。(自分で届けなかったのは、なぜか。)

  ・ がまくんと二人で手紙を待ちたかったから。
  ・ 偶然出会った、かたつむりくんに出会ったから。
  ・  自信満々のかたつむりくんを信じてしまったから。

【8時間目】

 ○ 第三場面の読みとりをする。

 ★がまくんとかえるくんは、お手紙が来ると信じていたのだろうか。

  ・がまくんは、信じていない。
    →「あきあきしたよ」「ばからしいこと、言うなよ」
  ・かえるくんは、信じている。
    →3回も、窓から郵便受けを見ている。

【9~10時間目】

 ○ 第四~五場面の読みとりをする。

 ★ がまくんの気持ちが変わったのは、いつだろう。

  ・「きみが」→お手紙がもらえることがわかったから。
   ・「ああ」→お手紙の内容がわかったから。

 ★がまくんとかえるくんは、何が幸せなのだろう。

  ・がまくん→お手紙がもらえたこと。かえるくんの気持ちがわかったこと。
   ・かえるくん→がまくんが喜んでくれたこと。

【11~13時間目】

 ○読みとったことを生かして音読発表する。

  ・役割を決めて練習し、発表会を行う。
  

【14時間目】

 ○ がまくんとかえるくんのほかのお話の読み聞かせをする。

1時間目の詳細

 1.漢字スキル

 2.全文通読

 3.初発の感想を書く。(思ったこと・考えたこと・はてな)

〈子どものノートから〉

○思ったこと・考えたこと

 【がまくんに関すること】

 ・がまくんにお手紙がきたのがうれしいと思った。
 ・がまくんに手紙が来ないなんて、ちょっとびっくりした。
 ・わたしは、がまくんが、一度もお手紙をもらったことがないと言ったので、「お手紙出したらよろこぶかなあ。」と考えていた。
 ・がまくんが、かわいそうだなと思った。
 ・がまくんに、手紙が来てよかった。
 ・がまくんは、かえるくんがお手紙をくれるまでお手紙というものをもらったことがないから、あまり尊敬されていなかったのではないか。
 ・がまくんは、一度もお手紙をもらったことがないから、かわいそうだった。
 ・(がまくんの)「ばからしいこと言うなよ」というセリフがおもしろかった。
  ・かなしそうにしているがまくんを見ていると、わたしもすごく悲しくなってきた。
 ・最後のがまくんの笑顔がよかった。
  ・がまくんが、楽しかった。
 ・がまくんは、一度もお手紙をもらったことがないから、もらったときは、すごくうれしかっただろうと思った。

 【かえるくんに関すること】

 ・かえるくんは、お手紙を出すとき、よっぽど喜ぶ顔が見たかったんだと思った。「ばからしいこと言うなよ」と言われたとき、かえるくんは、傷ついたと思った。
 ・「ばからしいこと言うなよ」と言われたかえるくんが、かわいそうだった。
  ・かえるくんが、自分が書いたことを言ってしまうのが変だと思った。
  ・かえるくんは、本当にがまくんのことを思ってお手紙をかいたなと思った。
  ・かえるくんがお手紙をがまくんにわたせてよかった。
  ・がまくんに、お手紙を書いたかえるくんがやさしいと思った。
 ・かえるくんは、一度もお手紙がもらえなかった友だちにお手紙を書いたから、やさしいと思った。

 【かたつむりくんに関すること】

 ・かたつむりが「すぐやるぜ」と言って、手紙を届けるまで四日間もかかったのがおもしろかった。
 ・かたつむりくんが、お手紙を「すぐやるぜ」と言ったのがおもしろかった。
 ・かたつむりくんの足って、遅いんだなと思った。
  ・四日もかかってお手紙を届けてくれたかたつむりくんが、やさしいと思った。

 【二人の友情に関すること】

 ・かえるくんとがまくんは、本当の親友だと思った。
  ・がまくんとかえるくんは、とても仲良しなんだな、と思った。
  ・4日間もかえるくんたちが、ずーっと待っていたなんて、すごいと思った。
  ・かえるくんが、がまくんと友だちでよかった。

 【その他】

 ・おもしろかった。「ばからしい」な、ということがあるんだなと思った。
 ・「一日のうちのかなしい時なんだ」というところが、すごいと思った。

○はてな

 ・かたつむりくんが、「すぐやるぜ」と言ったのに、四日間もかかったのは、なぜか。
 ・がまくんは、どうしてお手紙をもらえなかったのだろう。
 ・かえるくんは、お手紙来るの。
 ・がまくんは、なぜ(語尾に)「ぜ」と言うのだろう。
 ・どうして、かえるくんは、お手紙を書いたことを言ってしまったのだろう。
 ・かえるくんがくれたお手紙への返事をがまくんは、書いたのだろうか。

〈考察〉

 大まかな傾向として、教師から見て、国語がそれほど得意ではないと感じる児童は、感想の中心を「かたつむり」にもってくる傾向があった。
 「すぐやるぜ、という勇ましい返事にもかかわらず、4日間もかかってしまった」という出来事をおもしろかったと挙げていた。
 かえるくんの気持ちや二人の友情のの美しさには目が行かず、表面的なおかしさだけを、印象に残している。

 逆に、教師から見て、国語が得意であると感じる児童は、「かえるくんに関する記述」を書いている子が多い。
 (かえるくんを感想に書いている子は、28名中、7名。)

 子どもたちの読みとりの深さの傾向をまとめると、以下のようになる。

 読みとりのレベル1 ・・・ かたつむりくんのおかしさが、感想の中心になる。
        レベル2 ・・・ がまくんに関する分析・感想の記述が出る。
        レベル3 ・・・ かたつむりくん・がまくんに加えて、かえるくんに関する分析・感想を書くことができる。

 この話の主人公は、「がまくん」であろうか。それとも「かえるくん」であろうか。
 過去の実践記録を調べてみると、授業者によって「がまくん」と見るものもいれば、「かえるくん」と見るものもあった。
 「最も大きな心情の変化」という観点から考えれば、主役は「がまくん」かもしれないが、その変化に関して、がまくんは特にこれといった行動・努力をしていない。
 むしろ、がまくんのために、手紙を書き、二人で一緒に手紙を待てるように、行動・努力をしている「かえるくん」こそが、この話の主役であるとわたしは、考えている。
 (このあたりの話し合いは、子どもたちと5時間目にする予定である。)
 
 この時点での学級の実態を見れば、子どもたちは、わたしが主役と考える「かえるくん」の行動や性格を十分に読み味わっているとは言えない。
 かえるくんの心情に、どう気付かせていくか。今後の課題である。

2時間目の詳細

2時間目の詳細


 1.漢字スキル

 2.音読(追い読み・一人読み)

 3.会話文の主の確認

 会話文の主の確認は、子どもに予想をさせ、音読をしながら行った。
 指導計画上は、セリフの確認は4時間目にしていたが、音読練習をする上で、早めに確認した方がよいと考え、2時間目に行った。
 だが、まだ十分に読み込んでいない段階で、一つひとつ確認していくのは、時間がかかった。
 音読を重ねているうちに、自然と理解していくことができるので、やはり、指導計画通り、ある程度読み込んだ段階で行ってよい。

3時間目の詳細

 1.漢字スキル テスト

 2.音読(追い読み・一人読み)

 3.場面分け

 場面分けは、子ども聞くと、反応が分かれたが、討論をせず、教師の方で、さらりと確認をした。

4時間目の詳細

 1.漢字スキル

 2.音読(役割読み)   教師と子どもで・男女で

 ※休み時間にけんかがあり、その話し合いのため、10分授業開始が遅れた。

 4時間目を終えた時点で、音読10回を超えた子が10名いた。
 (家でも、読んでくるように投げかけはしている。)
 内容の話し合いに入るためには、どの子も本文を10回以上読んでいることが望ましいと考えている。
 引き続き音読練習を大事にし、子どもたちが興味をもって音読に取り組めるよう、取り組んでいく。

 役割読みは、4時間目に初めて取り入れてみたが、通常の音読よりも子どもたちには、難しいようだった。
 例えば、がまくん役の子が瞬時に自分のセリフを判断できず、(2時間目に教科書へチェックを入れていたにもかかわらず)声に出すのが遅れてしまう子がいた。
 しかし、男女で役割を分けると、声質の違いが出て面白い。

5時間目の詳細

 1.漢字学習

 2.音読 (リレー読み)

 3.登場人物について確認をする。

 ・がまくん  ・かえるくん  ・かたつむりくん

 4.本時の課題について話し合う。

発問1:

このお話の主役は、がまくんですか。それとも、かえるくんですか。

 5.授業の感想をノートに書く。

 4の話し合いは、自分の考えをノートに書いたのち、子どもたちだけで指名なし討論をする。
 ここでの討論は、「がまくん」か「かえるくん」かの決着をつけるのが目的ではなく、二人の人物像をより、はっきりと浮かび上がらせることを目的とする。

 〈4の部分のテープ起こし〉

【かえるくん派】 ・・・ 6名

S:わたしは、かえるくんだと考えます。だって、お手紙をあげたのは、かえるくんだからです。
U:わたしは、かえるくんだと考えます。だって、題名になっているお手紙を作ったのは、かえるくんだからです。
A:ぼくは、かえるくんだと思います。なぜなら、かえるくんの方が言葉が多いし、かえるくんの方が絵が多いからです。
T:ぼくは、かえるくんだと思います。最初に出てくる言葉が、かえるくんの言葉だからです。
O:ぼくは、かえるくんだと思います。なぜなら、かえるくんのセリフが多いからです。
S:ぼくは、かえるくんだと思います。なぜなら、かえるくんが、がまくんにやさしいことをしてあげているから、かえるくんだと思います。

【がまくん派】 ・・・ 22名

S:ぼくは、がまくんだと思います。だって、最後の場面にがまくんがお手紙をもらって、がまくんがよろこんでいたと書いてあるからです。
O:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがかえるくんからお手紙をもらったからです。
H:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがお手紙をもらう話です。
U:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、題名がお手紙で、お手紙を渡されるのが、がまくんだからです。
Y:わたしは、がまくんだと考えます。なぜなら、お手紙をもらったからです。
S:わたしは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがお手紙をもらったら、話がすすまないからです。
N:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、お手紙をもらうのががまくんだからです。
M:わたしは、がまくんだと考えます。理由は、がまくんがお手紙をもらったことがないから、お手紙という話ができたと思いました。
K:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがお手紙をもらう話だったからです。
U:ぼくは、がまくんだと思います。なぜなら、かたつむりくんが、がまくんにお手紙を渡すからです。
K:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんの方がお手紙をもらうからです。
Y:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんが言っていることが多いからです。
Y:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまがえるくんがお手紙をもらったからです。
S:わたしは、がまくんだと考えます。なぜなら、最後のページに、がまくんは、お手紙をもらって、とてもよろこびました、と書いているからです。
K:ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがお手紙をもらうからです。
I:わたしは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがお手紙をもらったことがないお話だし、題名がお手紙で、主役もがまくんだと思います。
K:ぼくは、がまくんだと思います。がまくんが、お手紙をもらう人だからです。
H:わたしは、がまくんだと考えます。なぜなら、がまくんがはじめに玄関の前ですわっていたからです。

※ここで、チャイム。
 次の時間に討論の続きをすることに。

 子どもたちの意見を整理すると、

 ①お手紙を書いた方が主役なのか。もらった方が主役なのか。
 ②セリフの数。登場回数。

がポイントとなっている。

 二人は、お話の中で、どんな行動をしたのか、どんな成長があったのかを考えさせながら、二人の人物像が浮かんでくる話し合いにしたい。

6時間目の詳細

漢字練習の後、前時の続き。

机をコの字型にして、話し合いができるようにする。

以下、テープ起こし。

T: 昨日の討論の続きをします。これまで出たみんなの意見を整理すると、
    ・がまくん派は、お手紙をもらったのががまくんだから、がまくんが主役、
    ・かえるくん派は、お手紙を書いたのがかえるくんだから、かえるくんが主役、
   という意見でした。もらった方が、主役なのか。書いた方が主役なのか。
   この辺をヒントに、話し合ってみましょう。

 人数を確認すると、がまくん派21名、かえるくん派7名。
 ある女の子が、がまくんから、かえるくんに意見を変えた。
 家で、お母さんに相談した結果、「かえる」になったという。
 まだ、だいぶがまくんが多いので、子どもの思考を揺さぶるために、「ドラえもん」の主役は、ドラえもんか、のび太か、という話を挟んだ。
 以下、その後の討論である。

T:ぼくは、昨日のAさんの「かえるくん」という意見に賛成です。なぜなら、かえるくんの方が、話している行が多いからです。
S:ぼくは、Tさんに、反対です。いくら話しているのが多かったって、だめ。最後に、お手紙をもらったがまくんです。
M:わたしは、Sさんの意見に反対です。お手紙を書いたのは、かえるくんで、お手紙をかかなかったら、がまくんはお手紙をもらうことができなかったからです。
A:ぼくは、Sさんに反対です。なぜなら、かえるくんがやってきて、がまくんがしょんぼりしているのに気が付かなかったら、かえるくんはお手紙を書かないと思います。
S:わたしは、Aさんに賛成です。かえるくんは、がまがえるくんにあって、しょんぼりしているのに気づいたから、Aさんに賛成です。
O:ぼくは、Aさんに反対です。なぜなら、かえるくんが、がまくんがしょんぼりしているのに、気が付かなかったら、このお話はできないと思います。

 ※ここで、子どもたちから「えっ?」という声。

T:Oさんの今の言い方だと、先生、かえるくん派に聞こえたんだけど。

 ※Oさん、困った様子。

T:Oさん、よく考えて、また意見言ってね。

H:わたしは、Aさんに反対です。だって、がまくんが玄関にすわっていなかったら、かえるくんが気が付かなかったと思います。
K:ぼくは、Aさんに反対です。
   (ドラえもんを例に、説明を始めるが、途中で、こんがらがってしまう。)

M:わたしは、Aさんの意見に賛成です。かえるくんがお手紙をかかなったら、がまくんはもらうことはできなかったし、かえるくんは、手紙を書いたから、がまくんに~(不明)
I:わたしは、がまくん派です。なぜなら、この話の中心は、がまくんであるような気がするからです。だから、がまくんが主役だと思います。
T:ぼくは、MさんとAさんの意見に賛成です。なぜなら、最初のページの「かえるくんがやってきて言いました」のところは、かなしい気持ちだから、かえるくんが尋ねないと、お手紙を書かないと思うから、MさんとAさんの意見に賛成です。
A:ぼくは、かえるくんだと思います。なぜなら、がまくんは玄関の前にすわっていましたと書いてあるし、その次、かえるくんが来て言ったからです。

 ※子どもたち、わからないと言った感じで首をかしげる。

T:今のAさんの意見、わかった人。(挙手なし。)
  わかりにくかった人。(挙手多数。)
  ちょっと、わかりにくかったね。
  Aさん、わかりやすい説明を考えておいてください。

M:わたしは、がまくんが主役じゃないと思います。だって、かえるくんがかたつむりくんに手紙を渡してって頼んだ後、そのあと、がまくんはベットで寝ていましたという文章があって、がまくんはもうお手紙を待たないつもりでいるからです。
Y:ぼくは、Hさんの意見に賛成です。だって、がまくんがさびしそうに座っていないと、かえるくんが、「どうしたんだい、がまがえるくん。きみ、かなしそうだね。」と尋ねないからです。

 ※ここで、いったん現在の自分の考えを確認する。意見を言っていない子も、自分の考えをしっかりもってこの先の話し合いに参加してほしいからだ。

  がまくん派・・・15名  かえるくん派・・・13名

  がまくん派が大きく減り、かえるくん派が増えた。子どもの考えに変容が起こってきている。

  以下、討論の続き。

S:ぼくは、最初方のページの「今、一日のうちのかなしい時なんだ。つまり、お手紙をまつじかんなんだ。」と書いてあって、そうしたら、かえるくんが気が付くから、ぼくは、がまくんだと思います。

S:ぼくは、かえるくんだと考えます。なぜなら、かえるくんが多かったからです。

T:Sさん、かえるくんが多く出たからだと思ったんだね。
  登場回数は、どっちが多い?

子どもたち:かえる!

 ※ぼく、「かえるに変える」という声も。

I:わたしは、Aさんに賛成です。「どうしたんだい、がまがえるくん。きみかなしそうだね。」と言わなければ、お手紙という話ができないからです。

T:教科書に書いてあることをもとに発言しているのは、りっぱだね。

N:ぼくは、Sさんに反対です。絵は、かえるくんの方が多いけど、絵は意味ないからです。

T:絵はかえるくんかあ。じゃあ、セリフの数はどっちが多い?

 ※子どもたち、「かえるだ」「がまくんだ」とつぶやきながら、数え始める。
  数えた結果は、がまくん「17」かえるくん「17」
  (実際、かえるくんは「16」。子どもは、第2場面の「がまがえるくんへ」も数に入れてしまっている。)

T:セリフの数は、全く一緒なんだ。

T:ぼくは、かえるくんに賛成です。なぜなら、一番最初に、かえるくんがやってきて、「どうしたんだい、がまがえるくん。きみかなしそうだね。」と言わなければ、かえるくんは、お手紙を書かないからです。

K:ぼくは、かえるくんが主役だと思います。なぜなら、かえるくんが主役だからです。

 ※子どもたちから、「え~」「どういう意味でかえるなの?」「理由は?」「なんで?」と声。
 
T:Kさん、どうして、かえるくんだと思った?

K:え~と、セリフが多いから。

T:でも、セリフの数は参考にならなかったんだよね。

M:わたしは、がまくんが主役じゃないと思います。理由は、がまくんの「いやだよ」「もう、あきあきしたよ」「そんなことあるものかい」というセリフでわかったのですが、お手紙を決して来るとは、思っていないから、がまくんが主役じゃないと思いました。

S:わたしは、かえるくんだと考えました。なぜなら、かえるくんが、「一度もかい」って言って、がまくんが「ああ一度も」っていったから、かえるくんが主役だと思いました。
    ※Uさん、「ぼく、かえるに変える」とのつぶやき。

A:ぼくは、かえるくんだと思います。なぜなら、かえるくんはがまくんのことを「かなしそうだな」ってわかって、お手紙を書いたのだから、かえるくんがいないと、お話ができないからです。

N:ぼくは、Aさんの意見に反対です。なぜなら、がまくんが玄関の前に座って、「悲しそうだね」って、かえるくんが・・・(混乱していく)

U:わたしは、Aさんの意見に賛成です。なぜなら、がまくんが一人のときに、かえるくんがこなかったら、お手紙を書いてあげて、出すことがなかったからです。

K:ぼくは、かえるくんだと思います。理由は、かえるくんががまくんに、「どうしたんだい、がまがえるくん、きみかなしそうだね。」って言わないで言ったら、がまくんに失礼だし、今度は、一度も、がまくんがもらっていないのに、知らないで行っちゃうと・・・(混乱していく)

K:ぼくは、Kさんの意見に賛成です。なぜなら、かえるくん「どうしたんだい、がまがえるくん、きみかなしそうだね。」と言って、気が付かないと、がまくんがお手紙をもらえなかったからです。

T:じゃあ、先生の考えを言います。
 昨日も言ったけど、「がまくん」か「かえるくん」かは、大人でも、意見が分かれます。
 あくまで、先生の意見です。
 先生は、どっちが「頑張ったかな」ということを考えました。
 このお話は、がまくんが頑張っているのかな。かえるくんが頑張っているのかな。
 そのように、考えると、このお話のがまくん、ベットで寝ているんだよね。

子どもたち:「お昼寝をしていました」って書いてあるー!

T:あとね、がまくんは、「いやだよ」とか「ばからしいこと言うなよ」とか「あきあきしたよ」とか小さい子どもみたいなこと言っているんだよね。
  かえるくんは、がまくんにお手紙を書いたり、がまくんに「お手紙がきっと来るよ」と言い続けて、頑張っています。
  だから、先生は、「かえるくん」が主役だと考えました。

 
 ※最後に子どもたちに、どちらか聞いた。

  がまくん・・・2名   かえるくん・・・26名

   【考察】

 「主役は誰か」という討論を通して、お手紙という話の設定・がまくん、かえるくんの人物像が浮かんでくれば、という意図で、学習活動を行った。
 初発の感想では、ほとんど目が行かなかったかえるくんの行動や、心情についてずいぶんたくさんの意見が出たのがよかった。
 物語の中でのがまくんの行動、かえるくんの行動については、大方意見が出たので、ねらいは達成できたと考える。
 今後、場面ごとの読みとりに入っていくので、この日の学習を生かしていきたい。

 討論の学習は、以前から行ってきているので、だいぶスムーズに話し合いを進めることができるようになった。
 実際の討論をしている時間は、20分弱だったが、この間、子どもの発言が途絶えることがなく、次々と意見が出た。
 以前からの進歩として、教科書を読み、教科書の叙述をもとに、意見を言っている子が増えたことだ。
 特に、Mさんの『がまくんの「いやだよ」「もう、あきあきしたよ」「そんなことあるものかい」というセリフで分かったのですが、お手紙が決して来るとは思っていない』というような発言を褒め、クラス全体に広げていきたい。

7時間目の詳細

 1.音読 (リレー読み)

 2.本時の課題について話し合う。

  ☆一の場面のがまくん、かえるくんの気持ちについて

  ・一の場面で、がまくんは、どんな気持ちだったか。
  ・      かえるくんは、どんな気持ちだったか。
  ・二人のかなしさは、どちらがより、かなしいか。

 3.授業の感想をノートに書く。

 二人のかなしさを比べさせるのは、そのかなしさの理由を分析させるためである。

 感想は、毎回、わかったこと・思ったこと・考えたことなどを書くように指導している。

 授業の記録をMDに撮ったのだが録音機器の操作ミスにより、音声に残すことができなかった。
 記憶をたどりに、大まかな授業の様子を再現してみる。

発問2:

一の場面のがまくんは、どんな気分ですか。ずばり一言でノートに書きなさい。

 ノート作業を30秒ほどとり、発表させる。
 出た意見は、次の4つ。

 ・いやな気分
 ・ふしあわせ
 ・さびしい気分
 ・かなしい気分

 いずれも妥当な意見であるが、教科書に書いてある「かなしい」「ふしあわせ」をあげている子は、よく教科書を読んでいる。

発問3:

一の場面のかえるくんは、どんな気分ですか。ずばり一言でノートに書きなさい。

 再び、ノート作業。30秒くらいで、ぱっと書かせる。
 授業では、短い時間でノートに書く時間をとるようにしている。
 これは、一部の反応の早い子どもたちが、さっと手を挙げて答えてしまうのを防ぎ、どの子も自分の考えをもてるようにする全員参加の授業づくりのための手立ての一つである。
 出た意見は、次の通り。

 ・かなしい気分
 ・かわいそうな気分
 ・「どうしたの」という気分

 がまくんの「かなしい気分」とかえるくんの「かなしい気分」を赤枠で囲い、次のように問うた。

発問4:

がまくんと、かえるくん。二人とも「かなしい気分」で同じなんだね。じゃあ、それが分かるところを教科書から見付けて、指をおいてごらん。

 子どもたちは、自信ありげに指を置いて、教科書の叙述を指摘する。
 お手紙の単元に入ってから、気合いが入っているHさんが手を挙げていたので、指名した。

H:はい、「ふたりとも、かなしい気分で、げんかんの前にこしをおろしていました。」です。

 「Hさんと、同じ意見の人?」と聞くと、クラスのみんなが手を挙げた。
 Hさんは、うれしそうである。

 みんなを褒めた後に、次のように問うた。

発問5:

二人のうち、より「かなしい」のはどちらでしょうか。

 二人の悲しみの比較・分析をさせ、討論でそれを浮かび上がらせようという意図であったが、今回は、うまくいかなかった。
 がまくん派22名、かえるくん派3名(欠席3名)と人数のバランスが、あまりにもとれなかったからである。
 ノートに書かせ発表させると、次のような意見が出た。

【がまくん派】
 ・わたしは、がまくんだと思います。なぜなら、がまくんは、お手紙をもらったことがないからです。
 ・ぼくは、がまくんだと思います。教科書4ページに「どうしたんだい、がまがえるくん。きみ、 かなしそうだね」と書いてあるからです。
 ・ぼくは、がまくんだと思います。なぜなら、かえるくんは、ただとおりかかって話をしただけだからです。
 ・ぼくは、がまくんだと考えます。なぜなら、教科書の6ページに「まい日、ぼくのゆうびんうけは、からっぽさ」と書いてあるからです。
 ・わたしは、がまくんだと思います。なぜなら、お手紙をかいてあげるほうより、お手紙をもらわない方がかわいそうだからです。

【かえるくん派】
 ・ぼくは、かえるくんだと思います。なぜなら、話を聞いたかえるくんはかなしくなるからです。
 ・かえるくんが、よりかなしいと思います。なぜなら、がまくんはお手紙をもらっていないけど、その話をきいたかえるくんのほうが、かなしいと思います。

 かえるくんのかなしさが、思ったよりも浮かび上がってこなかったので、討論を打ち切り、次のように、授業を修正した。

発問6:

みんなの多くは、がまくんの方がかなしいと考えているけれども、教科書には、かえるくんもかなしいと書いてあるよね。
では、どうしてかえるくんは、かなしいのだろうか。

 このように、子どもたちに聞くと、なんと多くの子がわからないと言う。
 (ストレートに、この課題を考えさせれば、よかった。)
 ここは、しっかり考えさせなければいけないと思い、ノートに意見を書かせ、発表させた。
 出た意見は、次の通り。

 A がまくんが、ずっとかなしいから。
 B がまくんが、お手紙をもらったことがないから。
 C 友だちがかなしいから。
 D 友だちのかなしい話を聞いて、自分もかなしくなってしまったから。

 友だちの意見を聞いているうちに、さきほどわからないと言った子が、「なるほど」と次々に納得していった。
 子どもたちに、一番人気のあった意見は、Dである。
 Dのような経験があるかと、聞くと多くの子が手を挙げてあると言った。
 そこで、MさんとTさんにそのエピソードを話してもらった。

発問7:

みんなの言ったように、かえるくんもかなしいんだね。でもね、一の場面でかえるくんは、かなしい気持ちから、かなしくなくなる時があるんだね。どこだろう。教科書から探して、指を置いてごらん。

 このような、作業は大好きだ。
 みんな熱中して、教科書を読む。
 「ここだ!ここだ!」とうれしそうに、指摘をする。

 ほぼ、全員が見付けたようなので、次のように言った。

指示1:

では、みんなで読んでみよう。さん、はい。

子どもたち:「ぼく、もう家へ帰らなくちゃ、がまくん。しなくちゃいけないことが、あるんだ。」

 Oさんが、がまくんはかえるくんにお手紙を書くことを思いついたから、悲しくなくなったことを説明してくれた。

 最後に、読みとったことを生かしての音読を行った。
 始めの音読よりも、それぞれのセリフにこだわりをもって読んでいる様子が見られたので、それを褒め、感想を書かせて授業を終えた。

   【考察】

 3時間目に始まった授業だが、終了時間を20分もオーバーした。
 (切るに切れなかった。)授業の組み立てが悪く、猛反省である。
 がまくんのかなしさについては、すでに子どもたちはよく捉えていた。
 がまくんとかえるくんのかなしさの比較は、さらっと行い、当初からつまずきが予想された「かえるくんのかなしさ」に始めから焦点を当てる展開を考えるべきだった。
 例えば、次のような発問をしたら、どう展開したであろうか。

 ☆「二人ともかなしい」と書いてありますが、かなしい理由は、同じですか。それとも、違いますか。

8時間目の詳細

1.音読 (リレー読み)

2.本時の学習問題について話し合う。
 二の場面

発問8:

かえるくんは、なぜかたつむりくんにお手紙をたのんだのですか。

  ・かえるくんは、はじめからかたつむりくんにお手紙を頼むつもりだったのか。
  ・かえるくんのあわてている様子がわかる叙述について。

3.授業の感想をノートに書く。

・かえるくんが、かたつむりくんに頼んだ理由を考えることで、がまくんには秘密にしたかったこと、かたつむりくんには、たまたま頼んだだけであることに気づかせたい。

・「おおいそぎで」「とびだした」の叙述から、かえるくんの気持ちも想像させたい。

 二の場面の登場人物は、かえるくんとかたつむりくん。
 ページ数も少なく、読みとりには大きな混乱はないであろうと、授業前は考えていた。
 ところが、そんな担任の予想とは裏腹に、授業は思わぬところで紛糾することになる。

 音読後に、学習問題の提示。
 いつものように、自分の考えをノートに書かせた。
 「自分の意見をさっと書く」という活動には、ずいぶん慣れて、短い時間で作業できるようになってきた。
 ノートに自分の意見が書けたら、教師のところへ持ってくることになっている。
  ・期間巡視をしなくてよい。
  ・どんな意見を子どもがもっているのか、短い時間で把握できる。
  ・クラス全体の子どもの作業の進行具合を把握できる。
  ・一人ひとりに声をかけることができる。
というよさがある。
 教師はその意見を褒め、発表へ向けて、自信をもたせる。

 発表は、列指名で全員に発表してもらった。
 次のような意見が出た。

 A がまくんに、ひみつにしたかったから。
 B たまたまかたつむりくんに会ったから。
 C ゆうびんきょくが、ないから。
 D ぐうぜん、知り合いのかたつむりくんに会った。
 E  もっていくのが、めんどうくさかったから。
 F かたつむりくんは、ゆうびんやさんだから。

 出た意見は、誤答も含めて、板書をした。
 耳では聞き逃してしまう子も、目で見ると、その意見の不備な点に気が付くことがあるからだ。
 そこから、話し合いを深めていくきっかけにもなる。
 「先生が黒板に書くことはすべて正しいこと」ということは、わたしの学級ではない。
 子どもたちは、黒板に書かれていることにも不備がないか、注意深く考えるように投げかけている。

 Eについて、すぐ意見が出された。明らかな読み誤りである。
 「がまくんの家は、歩いてすぐに行ける」
 「自分で届けたら、がまくんにお手紙を書いたことがばれてしまう」
という子どもの意見により、否定された。意見を言った本人も納得した。
 Eの意見を言った子は、意見を言うのは上手な子だが、なかなか頑固な子である。
 「かたつむりくんは、郵便屋さんの格好をしていない」「4日もかかるのに、郵便屋さんはおかしい」という意見に対しても、考えを変えることはなかった。
 時には、友だちの意見を聞いて、自分の考えを変容させる意義を学ぶことが、この子の課題である。

 その子以外は、納得したようなので、とりあえず先に進む。

 板書されている「たまたま」と「偶然」を黄色のチョークで囲んで、この言葉を確認した後、次のように発問した。

発問9:

かえるくんは、始めからお手紙をかたつむりくんに頼むつもりだったのですか。
始めからかたつむりくんに頼むつもりだったと思う人はノートに○、
そうではない、と思う人はノートに×を書きなさい。(野口芳宏氏の発問)

 「細かいノート作業」全員参加、全員に考えをもたせるための作業である。
 さっと、ノートに書いてもらい、子どもたちに聞く。 

          ○・・・4名      ×・・・21名     (欠席3名)

 教師の予想通りである。
 今日は、話し合いが混乱することなく、スムーズに子どもたちの意見がまとまるかなと、この瞬間は思ったが、このあと授業は、思いもよらない方向に流れていく。

 以下、テープ起こしである。

K:かえるくんは、知り合いのかたつむりくんに会うつもりでいて、がまくんには、知らせないで、長いこと待たせて、手紙をわたすつもりだった。

T :始めから、待たせるつもりだったの?

K:うん。

S:「知り合いのかたつむりくんに、会いました」と書いてあるから、×です。

T:過去の文だよ、それは。
    ※突然、「○に変える」とつぶやいたUさんが、発言した。

U:教科書に書いてある草が、かたつむりくんの家だと思って、かえるくんが行っているから○に変えました。
    ※この意見に触発されて、○に変えたOさんが続いて発言。

O:がまくんにばれないように、かえるくんはかたつむりくんに会っていたから、○です。

 ※
 ずいぶん○派が増えてきたようである。
 そこで、○か×かをもう一度聞いたら、驚いた。
 なんと、○×がほぼ同数になっていたのである。
 討論が得意なOさんと、○派の意見が続いたため、読みがあいまいな子たちが、そちらへ流れてししまった。
 これでは、いけない。
 今日は、すんなり話がまとまると思ったのに。
 いや。でも、この混乱を逆に利用して、子どもたちにしっかりとした話し合いをさせようと考えた。
 最後の音読に使おうと思っていた時間を使って、もう少し話し合いをさせることにした。
 時間がきても、子どもたちで正しい読みとりに修正できなかったら、教師の出番である。
 だが、討論にもずいぶん慣れてきているので、子どもたちで正しい読みとりに戻ってほしい。

T :困ったねえ。○×、はぼ半々になっちゃった。じゃあ、あと5分あげます。
   君たちだけで、話し合ってごらん。

   ※今日は、ここで机をコの字にした。教師は、欠席している子の席に座り、しばし子どもたちの話し合いを黙って見守ることにした。

T:ぼくは、○だと思います。なぜなら、教科書に「おねがいだけど、このお手紙をがまくんの家へもっていって、ゆうびんうけに入れてきてくれないかい。」と書いてあるからです。

A:ぼくは、×だと思います。なぜなら、二の場面のかたつむりくんに会うページで、もしも待ち合わせをしていたら、「かたつむりくん」と言わないと思います。

U:わたしは、×だと考えます。なぜなら、Aさんと同じで、待ち合わせをしていたら、かたつむりくんが待っていると思います。

K:ぼくは、Aさんと同じで、「おねがいだけど」って言っているのは、「偶然」だと思います。

M:わたしは、○だと考えます。理由は、Tさんと同じで、「おねがいだけど、このお手紙をがまくんの家へもっていって、ゆうびんうけに入れてきてくれないかい。」ってかえるくんが、かたつむりくんに頼んでいるみたいに、言っているからです。

S:わたしは、Kさんと同じで、「おねがいだけど」は、偶然じゃなかったら、使わないと思います。

A:ぼくは、×だと思います。教科書に、かたつむりくんと待ち合わせをしていたと書いていないからです。

O:ぼくは、Mさんと一緒で○です。「おねがいだけど、このお手紙をがまくんの家へもっていって、ゆうびんうけに入れてきてくれないかい。」と書いてあって、一緒に待ち合わせを・・・(つっかかって)わすれました。

T:ぼくは、Uさんの意見に反対です。なぜなら、待ち合わせをしたとは、書いていないけれど、待ち合わせをしたところでで、偶然、同時に出会ったときに、「おねがいだけど」と言ったと思います。

K:ぼくは、Mさんの意見に賛成です。「おねがいだけど、このお手紙をがまくんの家へもっていって、ゆうびんうけに入れてきてくれないかい。」は、かたつむくんと待ち合わせをしないと、「すぐやるぜ」とか「まかせてくれよ」と言えないからです。

U:わたしは、Oさんの意見に反対です。なぜなら、かえるくんは、時間を決めていないと思います。

S:ぼくは、Oさんの意見に反対です。かえるくんが、お手紙をわたそうとしたときに、たまたまかたつむりくんがかえるくんの家のそばにいて、お願いしたと思います。

O:ぼくは、UさんとSさんの意見に反対です。だって、時間とは書いてなくて、時間は関係ないと思います。

S:わたしは、Oさんの意見に反対です。なぜなら、さっきも言いましたが、知り合いのかたつむりくんに会いましたって、書いてあって、その文章が「会いました」だから、…(不明)

N:ぼくは、Kさんの意見に反対です。ぼくも、たまにやるんですが、ポストに手紙をいれるときに遅れて、バイクにのっている人(配達員)が行く前に、「これを渡してください」って言って、「すぐにやるぜ」はいいんですけど、「まかせてくれよ」…(不明)

  ※5分をオーバーして、約9分。10名による15の発言があった。
   事前に意見をノートに書かせていないため、発言できなたかった子も多いが、友だちの意見を聞きながら、○かな、×かなとつぶやいていた。
   討論で、子どもたちの意見に変容はあったであろうか。
   再び、自分の立場を聞いてみる。

          ○・・・5名      ×・・・21名

 約半数が○という状況からは改善したが、なお5名の子どもが読み誤りをしている。
 この状態で、授業を終えるわけにはいけない。
 教師の説明が必要である。

T:先生は、×だと考えます。
 3の場面で、かえるくんは、何度も「まだかな、まだかな」と窓の外を見ています。
 もし、はじめからかたつむりくんに頼むつもりでいたのなら、おかしいです。
 もっと、ねずみとか鳥とか、スピードの速い動物に頼むべきだよね。
 かえるくんが、たまたまかたつむりくんに頼んでしまったのは、かえるくんがすごくあわてていたからだと思います。
 それが、わかるところが教科書にあります。
 指を置いてごらんなさい。

 子どもたち、必死で教科書を目で追って、文を見付ける。
 挙手している子を指名して、全体で確認する。

H:「かえるくんは、おおいそぎで家へ帰りました。」です。

Y:「かえるくんは、家からとび出しました。」です。

 すでに、5時間目終了のチャイムが鳴って、1分ほど経過してしまっていたが、感想を書いてもらい、書けた人から帰りの支度をした。

【考察】
 子どもたちは、改めて本文を理解しているようで、理解していないものだと思った。
 子どもたちが迷った発問、

 かえるくんは、始めからお手紙をかたつむりくんに頼むつもりだったのですか。
 始めからかたつむりくんに頼むつもりだったと思う人はノートに○、そうではない、と思う人はノートと×を書きなさい。

は、野口芳広氏の発問である。

 学級でこの発問をしたとき、始めはこれほど意見が対立し、討論が白熱するとは思わなかった。
 2年生という子どもたちは、まだ作品全体を通して読みとる力が十分に育っていない。
 二の場面だけのかえるくんとかたつむりくんのやりとりを読んで、「始めからかたつむりくんに頼むつもりだった」と判断してしまう子が多くいた。
 この発問に答えるには、二の場面だけの叙述だけでは、根拠が少ないので、作品全体をみとる力が必要になってくる。
 発問一つで、その子の読解の深さがわかってしまうという、発問の奥深さを学んだ。

9時間目の詳細

1.音読 (リレー読み)

2.本時の学習問題について話し合う。
 三の場面

発問10:

がまくんとかえるくんは、お手紙が来ると信じていましたか。

  ・がまくん  ・・・ 信じていない。
  ・かえるくん ・・・ 信じている。
  ・音読をどのように、工夫したらよいか。
 
3.読みとりを生かした音読をする。

4.授業の感想をノートに書く。

・ 学習問題の解自体は、子どもたちもすぐに分かる。
  それが、教科書のどの記述から分かるのかを指摘させて解釈を深め、音読で表現させたい。

・ 一の場面、二の場面でも読みとりを生かした音読を入れたかったが、話し合いに時間がかかりすぎ、十分にできなかった。
 本時は、時間の確保をしておきたい。

 がまくん、かえるくん両方を丁寧に扱っていると、時間が足りなくなる。
 がまくんはさらっと押さえて、かえるくんの方に、重点を置きたい。
 かえるくんは、かたつむりくんが来ないか、三回も窓から見ている。
 地の文であるが、ここをどう解釈し、どう読んだらよいのかに気付かせたい。

 以下、授業の記録である。

 この日は音読後に、自分たちの音読を自己評価させた。

☆今の音読に、点数を付けてもらいます。
 20点だと思う人。50点だと思う人。80点だと思う人。100点だと思う人。

 20点、50点が多く、80点、100点が少なかった。
 減点の理由を尋ねると、間の取り方や、すらすら読めているかどうかを問題にした。

☆先生は、50点だと思います。すらすら読めて、上手だけど、文章の意味を考えて読んでいません。
 でも、今日の授業を受けた後は、きっと80~90点にはなります。
 頑張って、勉強していきましょう。

 本時が終われば、自分たちによい変容が現れる。そんな期待を持たせたい。
 自己成就感、自分の成長が、学習への強い動機付けになる。

 学習問題の提示。

 ★がまくんとかえるくんは、お手紙が来ると信じていたか。 

 やさしい問題である。
 がまくん・かえるくんについてそれぞれ、

 「信じている ○」「信じていない ×」

 をノートにさっと書かせて、確認した。
(1名ほど、誤答をした子がいたが、ここでは話し合いをせずに、進めた。)
 大切なのは、その根拠を文章中から見付けられるかだ。

 まず、がまくんが信じていない根拠を教科書から見付け、サイドラインを引かせた。
 以下の意見が出た。

 ・「いやだよ。」
 ・「もうまっているの、あきあきしたよ。」
 ・「そんなこと、あるものかい。」
 ・「ばからしいこと言うなよ。」
 ・「今日だって、同じだろうよ。」

 何人かの子に、実際に音読してもらった。
 「信じていない」というのが、伝わってくるよう、工夫させて読ませた。

 本時の始めのときよりも、上手に読めている。
 ここでは、「朗読をする」というよりも、それぞれが「このように読みたい」というこだわりをもち、読み方に変化を付けられればよい。
 それが、わたしの考える「読みを生かした音読」である。

 続いて、かえるくんが信じているという根拠。

 ・「きみ、おきてさ、お手紙が来るのを、もうちょっとまってみたらいいと思うな。」
 ・「ひょっとして、だれかかが、きみにお手紙をくれるかもしれないだろう。」
 ・「きょうは、だれかが、きみにお手紙くれるかもしれるかもしれないよ。」

 始めはセリフの部分しか出てこなかったが、あとから、地の文からも出た。

 ・かえるくんは、まどからゆうびんうけをみました。【かたつむりくんは、まだやってきません。】
 ・かえるくんは、まどからのぞきました。 【かたつむりくんは、まだやってきません。】
 ・かえるくんは、まどからのぞきました。 【かたつむりくんは、まだやってきません。】

 板書をしていくと、子どもたちから笑い声が出てくる。

T:かえるくんは、何回、窓を見ていますか。

C:3回です。

T:これに番号を付けます。
  ①かえるくんは、まどからゆうびんうけをみました。【かたつむりくんは、まだやってきません。】
  ②かえるくんは、まどからのぞきました。 【かたつむりくんは、まだやってきません。】
  ③かえるくんは、まどからのぞきました。 【かたつむりくんは、まだやってきません。】

  ①から③の読み方は、同じように読んだ方がよいですか。それとも、変えて読んだ方がよいですか。
  同じに読んだ方がよいと思う人は、ノートに「○お」
  変えて読んだ方がよいと思う人は、ノートに「○か」と書きなさい。

 30秒ほどで、ぱっと書かせる。
 全員参加のための授業技術、「細かいノート作業」指示である。
 挙手だけでは駄目だ。ノートに書かせることで、自分の意見ち、全員を授業に巻き込むことになる。

      「○お」・・・1名 「○か」・・・26名 (欠席1名)

 「○お」か「○か」の判断は、誰でもすぐにできる。
 問題は、なぜその判断なのか。その根拠である。
 その根拠を指摘させ、解釈を深めさせていく。

 【判断 → 根拠の指摘 → 解釈】

 この思考の仕方は、できない子に対するスモールステップにもなっている。

 根拠は、人それぞれ違う。
 話し合いをさせても、おもしろいのだが、今回は最後の音読の時間を確保したい。
 どのように変えたらよいかのみ、尋ねた。
 
 次のような意見が出た。

 A だんだん、強く読む。
 B だんだん、高く読む。
 C だんだん、弱く読む。

 何人かの子に、「では、そのように読んでごらん。」と指示。
 どの子も、自分のこだわりをもった読み方に変容している。

 教師の方で、A~Cの工夫で範読してみると、A、Bがよいと言う。

 個人の練習時間をとり、最後に全体で、役割読みをした。
 クラスみんなで、この時間の成長を確認したかったからである。

 授業の始めは50点でしたが、今の音読は80点です。
 今日の授業で、自分の音読が上手になったと思う人?

 たくさんの手が、勢いよくぴんと上がった。
 
 授業の感想を書いて、授業を終えた。

【考察】 
 今日の授業は、子どもの意見に大きな対立がなく、スムーズに進んだ。
 討論がなかったことを、寂しがる声もあったが、自分の意見の根拠を見付ける作業に子どもたちは熱中し、教室は熱気に包まれた。
 「自分の考えの根拠を本文から探す」というよい学習ができたように感じる。
 (この学習の積み重ねが今後の討論の仕方にも生きてくると考える。)

 音読のポイントをどこに絞るかが、今回の悩み所であった。
 たくさん扱うと、授業の焦点がぼやける。
 ポイントを絞るべきは、がまくんのセリフか。それとも、かえるくんのセリフか。

 悩んだ末、授業の押さえどころに選んだのは、そのどちらでもない以下の地の文にした。

 ・かえるくんは、まどからゆうびんうけをみました。【かたつむりくんは、まだやってきません。】
 ・かえるくんは、まどからのぞきました。 【かたつむりくんは、まだやってきません。】
 ・かえるくんは、まどからのぞきました。 【かたつむりくんは、まだやってきません。】

 がまくんのセリフやかえるくんのセリフは、子どもたちは案外工夫して読めるものである。
 授業ではあえて、子どもたちが注目しないであろうという箇所を取り上げてみた。
 同じ文が登場するこの部分は、子どもたちに読ませ方を工夫させてもおもしろいと思ったからだ。
 授業後の感想では、「同じ文がたくさんあるなんて、はじめて知った」という感想もいくつかあった。
 はやり、取り上げる価値はあったと感じる。

 全体的には、「読みとったことを生かして音読をする」とは、どういうことなのかということを示すことができた授業だと思う。
 最後に、子どもたち自身も自分たちの変容を自覚することができたのは、よかった。
 今後の学習に生かしていきたい。

 授業後の感想が、短時間でたくさん書けるようになってきた。
 (満足に書けない子もたくさんいるが。)
 もちろん、子どもたちが始めからすらすら書けるわけがはない。
 書き方のわからない子には黒板で書き方の例を示したり、上手な子のノートをコピーしてクラスみんなに紹介をしてきた。
 まだまだ、指導が足りないが、このような地道な積み重ねが大切なのだと考えている。

 国語の授業でワークシートを使う先生も多いが、わたしはノートを使わせている。
 ノートに書くというのは、一つの学習スキルであり、使うことに慣らせないと、書き方が向上しないからだ。
 授業が終わっても、「先生、もっと書きたい。後で、提出してもいいですか。」と言ってくる子がいる。
 ノートに書くことに熱中し、10ページ近くも感想を書く子もいる。
 あらかじめ罫線が引かれ、書く分量が定められたワークシートでは、起きない現象である。

10時間目の詳細

1.音読 (リレー読み)

2.本時の学習問題について話し合う。

発問11:

4の場面 がまくんの気持ちは、いつ変わりましたか。

3.読みとりを生かした音読をする。

4.授業の感想をノートに書く。

・ クライマックスを問う発問である。話し合いの視点を絞るため、がまくんのセリフに限定するヒントをいれるようにする。

・ 今回の討論の結果は、無理に一つにまとめようとせず、それぞれがこだわりをもった音読に生かせればよしとする。

 授業直前まで、悩んだのが子どもへの主発問だ。

  A「がまくんの気持ちは、いつかわったか。」
  B「がまくんの気持ちは、どのセリフでかわったか。」
 
 ある校長先生から、Bの方がよいと提案されたのだ。
 悩んだが、Aを主発問とした。

 確かに、Bの方が子どもにはわかりやすく、スムーズに課題へ取り組むことができる。

 一つ上の学年、3年生のクラスで、この授業をさせてもらった。
 そのとき、Bの発問で行ったのだが、すぐにがまくんのいくつかのセリフを指摘できた。

 わたしが授業で子どもたちにこだわらせたかったのは、「ああ。」のセリフである。
 だが、子どもたちは、最後まで多くの子が「とても、いいお手紙だ」を主張した。
 (わたしの説明にもあまり納得してくれなかった。)
 これは、Bの発問だと、気持ちが変わったという時点よりも、セリフの内容に重点がかかってしまうからだと考えた。

 今回の授業は、気持ちの変化を問うクライマックスを扱った授業である。
 はやり、時点をストレートに問うAの発問をし、Bはヒントとして、子どもたちに投げかけることにした。

 音読(リレー読み)のあと、前回と同じように自分たちの音読を自己評価させた。
 
 「授業が終わった後、90点になっているといいね。」と言って、授業への期待を持たせる。

 第1場面のがまくんの絵(教科書の絵を拡大)を見せて、次のように問う。

T:第1場面のがまくんです。第1場面のがまくんは、どんな気持ちですか。

C:かなしい気持ち。

 続いて、第4場面のがまくんの絵を提示。

T:第4場面のがまくんです。第4場面のがまくんは、どんな気持ちですか。

C:しあわせな気持ち。

T:では、がまくんは第4場面のどこで、かなしい気持ちからしあわせな気持ちへ変わったでしょう。
  『このときだ』という場所を、教科書から見付けて、指で押さえてごらんなさい。

 ヒントは、がまくんの気持ちがかわった場所ですから、がまくんのセリフです。

 クライマックスを問う発問である。
 時間があれば、ノーヒントから検討をさせるが、今回は時間短縮のため、がまくんのセリフに限定をかけた。

 隣同士、近くの人で、押さえている場所を見せっこをさせる。
 そのあとに、発表。
 出た意見にA~Eの記号を振る。

 A「きみが。」 9名
 B「お手紙になんて書いたの」 5名
 C「ああ。」 5名
 D「とてもいいお手紙だ。」   6名   (1名欠席)

理由を書かせ、発表させる。
A~Dの意見の主な内容は、次の通りである。

 A「きみが。」
 ・かえるくんが、「だって、ぼくが、きみにお手紙出したんだもの」と言ったから。
 ・「きみが」という時点で、うれしい気持ちになるから。

 B「お手紙になんて書いたの。」
 ・「お手紙になんて書いたの」とかえるくんにがまくんが聞いているから。
 ・「お手紙」という言葉が入っているからです。
 ・「お手紙になんて書いたの」ってうれしくなって聞きたくなったから。

 C「ああ。」
 ・お手紙を聞いて、最初のがまくんのセリフが「ああ」だから。
 ・「ああ」というセリフは、晴れやかな気持ちで言ったから。
 ・お手紙を聞いて、「こんないいお手紙をかえるくんはくれたんだ」とがまくんは、思ったから。
 ・「ああ」というセリフの前にある、かえるくんのお手紙を聞いたから。

 D「とてもいいお手紙だ。」
 ・とてもいいお手紙だと思ったから。
 ・とてもいいお手紙だと言っているから。
 ・「きみが。」というセリフでは、まだがまくんの気持ちは半分、半分だと思う。
 ・とてもいいお手紙だから、うれしい気持ちになったから。
 ・かえるくんのお手紙を読んだあと、がまくんがうれしがっているから。

以下、討論のテープ起こしである。

A:ぼくは、(A派の意見を言った)Oさんに反対です。なぜなら、「きみが。」という言葉は、急に言われたから、びっくりしたんじゃないかな。だから、反対だと思います。

A:わたしは、Aさんの意見に賛成です。だって、「きみが。」という文章は、「きみが。」と驚いているような気持ちでいると、アーノルド=ローベルさんは書いたと思います。

    ※AさんとMさんの二人に「きみが。」を音読させる。

 続けて、全員で「きみが。」を音読し、驚いている感じがするかどうか、確かめる。

 これで、まとまるかなと思ったが、Kさんが反論をする。

K:ぼくは、MさんとAさんに反対です。なぜなら、「きみが。」と驚いているから、幸せな気持ちになったと思います。

    (「K、よく言ってくれた」というOのつぶやき。)

T:ぼくは、Aの人に反対です。なぜなら、「きみが。」という言葉は、驚いたように言っているので、まだうれしいとは思っていないと思います。

H :わたしは、Kさんに反対です。Kさんの言っていることは、あっていると思うんですけど、「きみが。」というのは、びっくりしているところだからです。

  ※A派に対する反論がまとまってきたので、討論の課題を確認する。

 ☆がまくんの気持ちは、いつかわったか。

T:「きみが。」のがまくんは、びっくりしているの?それとも、しあわせな気持ちなの?

 ※多くの子が、「びっくりしている」と言う。
  ここで、最初の発表で、Aはしあわせな気持ちは半分半分だと発言したKの意見をとりあげて、 一応の賛同を得た。
  残りのB、C、Dで討論を続けるように指示。

K:ぼくは、Hさんに反対です。・・・忘れました。

  ※Kは、まだAにこだわりが残っているようである。

A:ぼくは、Bの人に反対です。なぜなら、「お手紙になんて書いたの」というのは、少し幸せになったけど、その話を聞かないとうれしくならないと思います。

S:わたしは、Bの人に反対です。「お手紙になんて書いたの」というのは、質問だからです。

T:Bのセリフは、質問ですか。

  ※多くの子が、「質問」とつぶやく。
   時間の制約もあるので、Bの意見はのぞき、CとDで、話し合うように指示。

T:CもDもしあわせな気持ちなんだけど、すでにしあわせな気持ちになっているのは、どっちだろう。

  ※揺さぶりをかけると、子どもたちは、「Cだ」「Dだ」と興奮しだした。
    挙手で確認をすると、Dの意見の多い。

H:Cは、二文字しかないから反対です。

S:「ああ」は、最初で・・・がまがえるくんが言っている言葉だから・・・関係ないと思います。

T:ぼくは、Hさんに反対です。なぜなら、「ああ」二文字だけでも、喜んで言っているのは、「ああ」だと思います。

H :わたしは、Tさんの意見に反対します。理由は、「ああ」だと「わかったよ」という感じだし、「とてもいいお手紙だ」だと、かなりしあわせな気持ちだとわかるからです。

N:ぼくは、Cの人に反対です。なぜなら「ああ」と言っても、まだそんなにいい気持ちになっていないからです。

I:わたしは、Cに反対です。なぜなら、「ああ」は「お手紙だしたんだあ」という感じだからです。

S:わたしは、Cだと思います。Hさんの意見に反対です。なぜなら、二文字だって、気持ちが伝わるからです。

  ※Sさんに、気持ちが伝わるように「ああ」を音読するように指示。
    教師は、直前のかえるくんのセリフを読んでやる。
    続いてMさんを指名、最後に全体で言ってみる。

討論は、ここで打ち切り、まとめに入る。

T:じつは、これ(「ああ」)と全く同じセリフが、第一場面のどこかにあります。
  探してみなさい。

 見つかった人は、指を置かせる。

「ああ。一度も。」の箇所である。
見付けた子どもたち、興奮しはじめる。

T:第一場面の「ああ」と第四場面の「ああ」は一緒ですか。

 子どもたちは、違うと主張する。
 教師が「でも、字は一緒だ」と揺さぶりをかける。
 「気持ちが違うと」騒ぎ出す。

T:先生に反論がある人。

 たくさんの手が上がる。
 Sさんを指名。

C:かなしいときと、うれしいときの「ああ」があるからです。

 かなしいときと、うれしいときの「ああ」の比べ読みをさせる。(全員で)
 「ああ」が上手に読めるようになったことを褒める。

 課題に対する教師の解を言う。

T:先生は、Cだと考えました。
  がまくんの気持ちが変わったのは、どうしてですか。

C:かえるくんのお手紙を聞いたから。

T:そうですね。
 お手紙の内容を知って、一番はじめのセリフは何ですか。

C:「ああ」です。

T:そのとおり。だから、先生は「ああ」だと考えます。 

討論で、Sさんが言った意見と同じだったということを告げる。

T:驚きの「きみが」。うれしいときの「ああ」。
 今日のお勉強を生かして、音読してみよう。

 個人で4の場面を音読。

 最後に、全体で、役割読み。

  地の文   - 教師
  かえる   - 児童代表
  がまくん  - みんな

T:今日の音読が、はじめよりも上手になった人?

 たくさんの手が挙がった。
 感想を書かせて、授業を終えた。

【考察】

 この日は研究授業。
 先生方から次のような意見をいただいた。

 ・音読がとても上手だった。
 ・先生が指名をしなくても、次々と意見が出てくるのに驚いた。
 ・2年生でも、話し合いができるのがすごい。
 ・友だちの意見をきちんと聞いて発言することができていた。
 ・授業の最後に、短い時間でたくさんノートを書いていた。書く力は、どのように付けているのか。

 いずれも「言語能力」という研究テーマに沿って、自分が追求してきたことである。

 講師の先生からは、主に次の3点について指摘をいただいた。

  ①もっと想像力を豊かにする授業を。
  ②挿絵を使う場面があったが、あそこは、じっくり立ち止まって、挿絵から何を感じるか、子どもから聞かなくては駄目。
  ③2年生の実態にあった授業を。

 いずれも反論があるので、記しておきたい。

 ①について。
 具体的にどんな授業が想像力を豊かにするかは不明だが、討論における子どもの発言をよく読んでいただきたい。
 子どもたちが想像力を働かせて、意見を言っていると考える。
 今回の授業は、子どもたちの意見を交流させ、そこから想像力も働かせ豊かにしていく授業でもある。

 ②について。
 まず、挿絵から読みとりをするのではなく、叙述から読みとりをするのが国語科としての本筋であるというのが一点。
 また、授業全体の組み立てを考えたら、あそこは、
  一の場面「かなしい気持ち」  四の場面「しあわせな気持ち」
で押さえるのがベストであったと考える。
 ここで、多様な解釈を認めると、その後の討論で、論題としての芯がブレるからである。

 実は、この授業以前に、子どもの反応をみるため、3年生の子どもたちに同じ授業をかけてみた。
 そのとき、一の場面の気持ちを「かなしい」「ふしあわせ」「さびしい」など、多様な言葉で押さえてしまったのだが、その後の討論がやりにくくなってしまった。

 授業全体の組み立てとしては、討論に入るまでは、できるだけシンプルに流すのがベストであったと授業後も考えている。

 ③について。
 低学年で討論の授業を公開すると、このような指摘を受けることが多い。
 確かに、鍛えていない2年生の子どもたちに同じ課題を与えては、難しいかもしれない。
 だが、本時の課題に耐えうる言語能力を子どもたちに付けてきたつもりである。
 研究授業は、その日だけの結果なのではなく、4月からの継続指導の結果である。
 課題は、簡単すぎては授業は楽しくないし、子どもも満足しない。
 「少し難しいな」と思うからこそ、子どもたちは熱中して追究するし、学ぶものも大きい。

 わたしはあらゆる教科の授業で、次の2点が満たされれば、その授業はよい授業だと考えている。

  ①子どもが力を付ける。  ②子どもが楽しい。

【おまけ】

 単元終了後にわかった失敗。

 模造紙三枚分に、授業の足跡として、これまでやったことをまとめて掲示しておいた。

 (学習の足跡として残すように、指導があったので。)

 単元が終わって、「そろそろはずそうかな」と掲示物を何気なく眺めていたら・・・。

 なんと、第3場面でがまくんの気持ちとかえるくんの気持ちを逆に書いてしまっている!

 かなり長い時間掲示しておいたが、子どもも教師も参観者も誰も気付かなかった。

 (講師の先生に、掲示物は褒められたが。)

 個人的には、参観者へのサービスに過ぎない過剰な掲示物は必要ないと考える。

11時間目の詳細

 1.音読 (リレー読み)

2.本時の学習問題について話し合う。
 
 ★4・5の場面

発問12:

がまくんは、なぜしあわせなのですか。
かえるくんは、なぜしあわせなのですか。

3.授業の感想をノートに書く。

 がまくんの気持ちは、とらえやすい。
 だが、かえるくんの気持ちの根拠は、二年生には捉えにくいと考える。
 だからこそ、授業でとりあげたい。
 人間は、問われるとそれについて思考を始める。
 かえるくんの幸せについて子どもたちに考えさせ、この作品がもつ子どもたちが気が付かなかった魅力に気付かせたい。

 音読のあと、課題を提示。

 ★がまくんは、なぜしあわせか。

  ・お手紙をもらったから。
  ・お手紙の話を聞いたから。

 予想通り、子どもたちは簡単に解を出した。

 メインは、次である。子どもたちはなんと答えるであろうか。

 ★かえるくんは、なぜしあわせか。

 ノートに考えを書かせた後、列指名で、発表させた。
 次のような意見が出た。

  ① がまくんが、しあわせだから。
  ② がまくんに、とてもいいお手紙だと言われたから。
  ③ がまくんが、お手紙をもらってよろこんでくれたから。
  ④ がまくんのうれしそうなかおを見たから。
  ⑤ がまくんが、お手紙をもらえたから。
  ⑥ かたつむりくんが、ちゃんと来てくれたから。
  ⑦ 気持ちががまくんに伝わったから。 

 
 ⑥以外は、妥当なとらえ方をしている。
 今回は、討論で解を一つに絞るような課題ではない。
 いろいろな解釈があることを学べればよい。

 だが、自分の解にこだわりはもってほしい。
 次のように指示した。

 ☆一番、いい表現をしているな。一番高級ないい方をしているなと思う意見を一つ選びなさい。

 子どもには、⑦の表現が好評だった。

T:みんなには、⑦が人気だったけど、自分の気持ちが伝わって、幸せになったという経験がありますか。

 3名の子が、けんかや落ち込んでいる友だちを励ました経験を語ってくれた。

 最後に、教師の解。
 ①~⑦から選ぶとしたら、①である。
 友だちの幸せを自分の幸せだと感じることは、人間としてとても美しい気持ちなんだという話をした。
 (もちろん、他の意見もすばらしいと認めた。)

 授業の感想を書かせて、授業を終えた。

【考察】

 「友だちの幸せを願う気持ちの美しさ」という主題をこの作品から感じた。

 子どもの発言の中で教師の解に一番近かったのは、①の意見(③④⑤も含む)だったが、

  ② がまくんに、とてもいいお手紙だと言われたから。
  ⑦ 気持ちががまくんに伝わったから。  

という意見には、なるほどと思わされた。多様な解釈ができる。 
 


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