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TOSSランドNo: 1213175 更新:2012年12月31日

体育館騒然!コートのないドッジボール


 運動としてのドッジボールの欠点に、少数の子しか活躍しない、子ども一人あたりの運動量が少ないということがある。
 運動の苦手な子は一度外野に出てしまうとボールも回ってこないことが多く、ゲームが終わるのをじっと待っていることが多い。
せっかくボールが回ってきてもすぐに相手をねらわず、ボールを持って立ち往生することもある。
ところが、ちょっとした味付け一つで、ドッジボールも楽しくどの子にも運動量が保証される運動へと変わる。
例えば、向山洋一氏の実践にある「男女のコートの大きさを変える」ドッジボール(『特別活動研究』一九八三年一二月号・明治図書)は、その代表的なものである。
同様に、ボールを二つにする、コートを三分割する等、場の設定を少し工夫しただけで運動量を増やすことができる。
また、王様ドッチや監獄ドッチ等、ルールを工夫することにより、どの子にも楽しく運動量を保証することもできる。

 今回紹介するボール運動も、私が子どもの頃休み時間学校でいつもやっていた「天下」という遊びを、運動の苦手な子でも楽しめるようにアレンジしたものである。

 五年生に実践してみて次のような子どもの様子が見られた。

①運動量

・どの子も汗びっしょりになるほど動き回っていた。

②意外性

・女子も男子に当てることができた。

・運動の得意な子が意外と何度も当てられていた。

③盛り上がり

・当てられた子から「お願いコール」がわきおこった。

ゲームのやり方を示す。

・ 体育館で行う。

・ チームはなく、自分以外は皆敵である。

・ ボールはソフトドッジボールを二球使用する。

・ ボールを持っての移動は五歩までとする。

・ 相手の投げたボールは捕ってもよけてもよい。

・ 当てられたらステージに上がって座る。

・ 自分を当てた相手が誰かに当てられたら、ゲームに復帰できる。

・ ゲーム時間は三分から五分がよい。

・ 時間内に全員を当てた子か、ゲーム終了時に最も多くの子を当てていた子がチャンピオンとなる。

「天下」は運動場で行っていた。
もちろん、ボールは一球使用する。
基本的なルールは、ボールを当てて一人残らず倒したら「天下」をとる、倒された子は自分を倒した相手が当てられると復活するというものである。
男の子だけ、十人程で遊んでいたので、逃げ回るだけの子もいないし、みんな天下を取るためにボールを積極的に捕りにいった。
枠が決められていないので、どこにでも行けること、当てられても助けてもらえることが、ドッジボールと違っている点である。
「天下」は子どもの頃、とても楽しかった遊びの一つなのである。
しかし運動場でした場合、それたボールがどこまでも転がっていき、時間がかかる。
そこで、体育館で行うことにした。
体育館だと、ボールがそれても壁に当たりすぐに誰かが手にすることができる。
自分が投げたボールが壁に当たりリバウンドをもう一度つかんで相手に当てるということもできる。
また、逃げ回ろうとする子も、範囲が限定されてくるので、ボールの射程距離外へは逃げることができない。
常にハラハラドキドキなのである。
ボールを二球にしたことにより、思いもよらぬ方向からボールが飛んできたり、ボール運動が得意な子でも当てられてしまうという意外性が生じた。
運動が得意な男の子は積極的に相手を当てにいくために、体育館の中央によく出てくる。
そうすると、思いもよらぬ方向からボールが飛んできてあえなく討ち死にというケースがよく見られるのである。
ボールは柔らかいソフトドッジボールを使用しているため、後ろから当てられても痛くはないのである。
但し、正面から顔をねらうことは禁止し、偶然顔に当たってしまったときもセーフとした。
ゲーム開始時は人間がごちゃごちゃと多いので、誰に当てられたか分からないという子がいる。
基本的には教師が審判をして、誰に当てられたか教えてあげるのだが、なかなか二球を同時に視野に入れることは難しい。
そこで、当てた子にはちゃんと「自分が当てた」と言うようにさせた。
ゲームの中盤になるとそのような配慮は無用となる。
ステージ上の子が自分を当てた子に熱い視線を送っているからである。
もちろん、「当たってくれ!」と。
そのうち、「○○君を当てて!」とお願いコールが出てくる。
ステージ上からいろいろなお願いコールがわき起こるのである。
ある程度、ステージ上に子どもが上がってきたら終了の合図をする。
三~五分を目安にしたのは、早くから当てられた子が復帰できないままステージ上に長く残したくないからである。
しかし、終了の合図を出そうとしたとたん、多くの子を当てていた子が当てられ、ステージ上に子どもがいなくなるということもある。
その場合はもちろん延長する。

学級の人数にもよるが、時間内に一人の子が全員を当てることはまずないと考えた方がよい。
私は次のような手順でチャンピオンを確認し決定した。

① ゲームの終了を告げる。

② フロアにいる子をステージ前に一列に集合させる。

③ ステージ上の子に自分を当てた子の前に並ばせる。

④ 前に一番多く当てられた子が並んだ子がチャンピオンとなる。

チャンピオンとなった子にはみんなで拍手を送る。
引き続き、二回戦を行うのだが、その時次のような言葉をおくる。

説明1:

○○君チャンピオンおめでとう。

他の人は彼に連続チャンピオンにさせないように頑張りましょう。

エピソード

このゲームを考案したきっかけは一人の男の子の転校だった。
お別れ会で何がしたいかを学級会で彼に聞いたら「何でもいい」と答えた。
他の子の意見は「ドッジボール」が圧倒的だった。
運動は必ずしも積極的にしない子だったので、本当にドッジボールでいいかと確認したところ、「ドッジボールでいい」と答えた。
しかし、それまでの体育や遊びの様子から、彼がドッジボールを苦手にしていることは分かっていた。
最後の思い出に、彼が楽しく積極的にゲームに参加できるドッジボールは何があるだろうかと考えた結果、コートをなくすことが思い浮かんだのである。
お別れ会までに、体育の授業でこのボールゲームを何度かした。
彼は、体育館の隅で目立たぬようにしていた。
たまにボールが来ると、別の隅まで走って移動した。
決して当てることはなかったが、当たることもなかった。
それでも、逃げ切ったということが楽しいといっていた。
お別れ会当日、彼は一度だけボールを当てた。
どさくさに紛れてこっそりと男の子の背後から投げたのだ。
油断していた男の子はびっくりしてあっけにとられていた。
ステージ上にいた子も大喝采だった。
その瞬間彼は文字通り主役だった。
それまでの行動が、このときの布石だったのかと思えるような一瞬だった。


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