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TOSSランドNo: 2558246 更新:2012年12月30日

顔つけすら嫌がっていた子が10秒間浮いた水泳指導


A子は顔を水につけるのがやっとだった。
みんながプールを横に使って必死に泳いでいる中,ほとんど顔を水につけずに歩いているだけだった。
側に担当の教員が行っても駄目だった。

以下,A子を含む泳げない子8名のグループの担当になった時の実践である。

最初にプールサイドでグループのメンバーを集めた。
子どもたちと目を合わせるためにしゃがみ込み,聞いた。
「顔をつけられる人?」
8名中6名が手を挙げた。
A子もうーんと首をひねっていた。
最初にやったことはこれだ。

だるま浮きの格好を陸上で教えた。

この時点で,A子だけは頭が入っていなかった。
「おへそを見るんだよ。」
そう言いながらA子の頭を軽く触った。

指示1:

じゃあ,この格好で息を10秒止めますよ。1,2,3,…

陸上ならこれも当然のようにみんなできる。

説明1:

そうだ!これと同じことを水中でやればいいんだ。

そしてプールの中へ移動した。

指示2:

さぁ,さっきと一緒。だるま浮きをします。
10秒。せーの。1,2,…10。

ここでのポイントはこれだ。

陸上の時よりも10秒を少し早く数える。

大切なのは「できた」という成功体験を与えることなのだ。

何度かやるうちにあっというまに
ほとんどの子ができるようになった。
1回やる毎に5年生男子から歓声が上がった。
「やった!」
「できました!」
「見てて下さい!」
普段はおとなしい子たちが興奮気味に話していた。
よっぽどうれしかったのだろう。
次の「おばけになりなさい」も「連続だるま浮き」も
次々と私が出す課題をクリアしていった。
5年生男子7名中5名は25mの半分以上をゆったりと泳ぎ,
うち2名はあともう少しで25mというところまで到達した。

しかし,A子は10秒も浮けなかった。
何度やっても3秒程すると顔を出してしまう。
「すごい!3秒!」
「顔をつけてるだけで立派だよ!」
力強くほめながら,A子がすぐに顔を出してしまう原因を探していた。

原因は2つあった。

(1)抱え込んでいる両手が離れてしまう。
(2)顔がおへそではなく前を向いてしまう。

顔をつけることはできたが,「恐怖心」があることが伺えた。
それが水への恐怖心なのか,傾くことへの恐怖心なのか,
あるいは両方なのかははっきりとはわからなかった。
そこでプールから上げ,プールサイドで次のことを教えた。

立ち方

手で水を押さえるようにすればすぐに立てることをやってみせ,子どもたちにもそれを真似させた。
そして水中でもやらせた。

再びだるま浮きの練習を再開した。
「手が離れてるからね,離さないようにしようね。」
これは何度かやっているうちにできるようになってきた。

「頭を入れよう。」
こちらはなかなか難しかった。
A子の頭を軽く触ると,ちゃんと頭はぐっと中に入れられる。
そうすると水中に縦に入っていたA子の体がふわっと浮いてきて,
背中がぽこっと水面に見えた。
やった!と思ったのも束の間,A子はすぐに立ってしまった。
何度やってもそうだった。
水中で体が傾いてしまうのが怖いのだ。
A子には次のように補助することを伝えた。

陸上でだるま浮きの姿勢をとらせ,A子を挟むように背中と両膝のあたりに手を置く。
これを水中でも同じように補助する。

「こんなふうに先生が水中で支えるからね。大丈夫。」
そう言って再度プールに入った。

A子の背中に手のひらを置いた。
そしてそっと膝の方にも手を添えた。

手のひらでトントントンとしながら急ぎ足で10秒数えた。
なんとA子にもできた。これならできるのだ。
「すごい!すごい!できたぞ!」
「もう1回やろうか!」

また手のひらでトントントンと10秒数えた。
そしてここで変化をつけた。

膝に置いていた手のひらは途中でそっと離した。

今度もできた!
「よーし!できたぞ!先生,手を離したのにできたぞ!」
水中から顔を出したA子を力強くほめた。
A子も浮くことへの恐怖心が少しずつとれていることが分かった。
さらに次のように変化させていった。

指の先だけでトントントンと10回
     ↓
指1本だけでトントントンと10回
     ↓
何も補助なしで10秒数える

私は何度も何度もA子をほめた。
「すごいよ!今日の目標はもう十分達成だ!」
自分でも声のトーンが高くなっているのが分かった。
普段はどちらかというと控えめなA子が
「やった!」とちっちゃくガッツポーズをした。

結局,当初考えていたよりも
遥かに多くの練習を最初の時間にできた。

水中で息を吐くこと,パッと息を吸うことも教えた。
途中で足をつきながらだが,連続だるま浮きに近い形ができるところまで来て練習を終えた。

次の朝に提出されたA子の日記にはこう書いてあった。

■今年初めてのプールです。
 正直,上手く顔をつけられるかどうか心配でした。
 でも,思っていた以上に顔をつけることもできて,
 長く顔をつけていられました。
 先生に「だるま浮き」というのを教えてもらいました。
 最初は浮くのがこわくて,
 3秒ぐらいしかもぐれていませんでした。
 でも,先生にコツを教えてもらったり,
 自分でも努力していくうちに
 だんだん上手にできるようになりました。

 水のこわさや,浮くことはこくふくできたけど,
 息つぎがうまくできないので
 それが次の課題だと思っています。■


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