発問1:
50音って聞いたことある人?
説明1:
あいうえお、かきくけこっていうのですね。
指示1:
では、あいうえお・・・から50音を、正しい図でノートにかきなさい。
ん わ ら や ま は な た さ か あ
り み ひ に ち し き い
る ゆ む ふ ぬ つ す く う
れ め へ ね て せ け え
を る よ も ほ の と そ こ お
説明2:
これを「五十音図」と言います。
指示2:
50音ということは、音が50あるはずですね。
いくつありますか。
数えてごらん。
これは「46」である。
説明3:
50音でないのに、50音なんですね。
不思議だね。
説明4:
次に100年前の五十音図を配ります。
今から100年前の五十音図です。
資料:100年前の五十音図
Google画像で「五十音図 100年前」と検索すると出てくる。
指示3:
アイウヱヲ。
見てごらん。
今と違う字が使われていますね。
こういう風に今と違う字が使われているところに鉛筆でグルッと○をします。
発問2:
どこが違っていますか。
「ヲ」、「オ」、「ヱ」、「ゐ」、「ゑ」がちがう。
説明5:
これ、昔の書き方なんですね。
昔はこんな風に書いていたんです。
説明6:
この五十音図をつかった歌があります。
先生が読んでみます。
いろはにほへと・・・
いろはうたのプリントを配る。
なければ板書するとよい。
説明7:
「いろはうた」と言います。
たぶんお父さんやお母さんたちは、学校で覚えたはずです。
指示4:
この歌にはある秘密があります。
どんな秘密でしょうか。
近くの人と相談してごらん。
「古い字が使われている。」「いろは・・がある。」など、が出てくる。
どの意見も認めていく。
指示5:
50音全部が歌の中に1回ずつ入ってるんだ。
確認してごらん。
発問3:
では、あいうえおのような、日本語の音は、全部でいくつくらいあるでしょう。
予想をノートに書きます。
説明8:
がぎぐげごとか、きゃきゅきょとかもありますね。
数名指名する。
70くらいの子の意見を基準にして、それより上か下かを予想させ、挙手させる。
説明9:
日本語には約120の音があると言われています。
金田一先生っていう有名な日本語の研究をしている先生が研究をして、そう言っています。
指示6:
では、「しゃ しゅ しょ」のつく日本語をそれぞれ3つずつノートに書いてごらん。
ふつうカタカナで書くものはダメです。
<例>
しゃ:しゃかい、しゃそう、きしゃ、・・・
しゅ:しゅうきょう、うんてんしゅ、しゃしゅ・・・
しょ:しょうがっこう、しょくじ、しょうが・・・
ノートチェックをし、黒板に書かせる。
黒板は3つに分けておき、しゃ、しゅ、しょと書いておく。
参観日であれば、そのため実際の授業では、「大人に相談してきてもいいですよ」とすると盛り上がる。
「大人」とすると、保護者の来ていない子への配慮になる。
また、先生も大人だから聞きに来させることができる。
指示7:
順番に読んでもらいます。
板書を順に読ませる。
自分が書いていないものはノートに写させる。
指示8:
「きゃ きゅ きょ」のつく日本語をそれぞれ3つずつ書いてごらん。
<例>
きゃ:さんきゃく、ひきゃく、きゃくりょく・・・
きゅ:きゅうきゅうしゃ、きゅうしゅう・・・
きょ:きょうかしょ、きょうだい、きょだい・・・
これも同じように、持ってこさせ、板書させて、発表させる。
指示9:
「ひゃ ひゅ ひょ」のつく日本語をそれぞれ3つずつ書いてごらん。
<例>
ひゃ:ひゃく、ひゃくしょう、ひゃっけい・・・
ひゅ:ひゅうひゅう、ひゅうが
ひょ:ひょうたん、ひょうきん、とうひょう・・・
これも難しいので、大人に相談させると、盛りあがる。
「ひゃひょひゅ」の順で聞いていく。
挙手させる。
「ひゅ」は最後である。
ひゅのつく日本語は2つしかなく、見つけたときには、どよめきが起こる。
説明10:
ひゅのつく日本語、2つしかないんです。
かぜがひゅうひゅうのひゅうひゅうとひゅうが。
これしかないんですね。
金田一先生はそういっています。
指示10:
つぎ、「みゃ みゅ みょ」のつく日本語を3つずつ書いてごらん。
<例>
みゃ:みゃく、みゃくらく、みゃくり・・・
みゅ:まみゅうだ
みょ:みょうが、みょう、こうみょう・・・
これも挙手で発表させる。
みゃ、みょ、みゅの順である。
説明11:
みゅのつく日本語、見つけたって人。
これね、たくさーんある日本語の中に1つしかない。
豆生田と書いて、「まみゅうだ」と読みます。
山梨の地名、人名です。
これに大きいをつけて、大豆生田(おおまみゅうだ)というのもあります。
説明12:
金田一先生は、2年かけて調べて、これ1つだけであったと言っています。
説明13:
120音ありながら、たった一つだったっていうのは不思議ですね。
1000年も前からある日本語、たくさんの不思議のある日本語、これからも日本の文化として、大切にしていきたいですね。
<参考文献>
『向山洋一全集5 入門期の国語授業』向山洋一(明治図書)
向山洋一氏 言語技術学会での授業
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