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TOSSランドNo: 6734734 更新:2012年12月30日

小田原を救う段ボールコンポスト


1 主張

小田原市のごみ問題を考えることを通して、段ボールコンポストのような自分たちにできる取り組みについて考えさせる。

現在、学校でも子どもたちのリサイクル活動は盛んに行われている。しかし、家庭生活で最も多い燃せるごみ(生ごみ)に対してのリサイクルの意識はまだまだ少ないのが現状である。小田原市のごみ問題について知り、自分たちにできることの一つとして段ボールコンポストのことを学んでほしい。

2 小田原市と日本のごみ処理の問題の実情

小田原市では深刻なごみ処理の問題が起きている。現在使用している埋め立て場がもうすぐいっぱいになり使用不可能となってきている。その大きな原因がごみを焼却した時に出る大量の灰である。焼却処分される燃やせるごみはごみ全体の70%を占めるため、燃せるごみを何とかしなければ、このごみ問題は解決しない。さらに、この燃せるごみの処理費用は、ごみ処理経費の総額年間約30億円(約7万5000トン)。その内、燃せるごみの処理費は約22億円(約5万5000トン)とコストも非常に問題となっている。そのため、小田原市ではリサイクルの推進や他県での処理などごみを処理する方法を模索している。リサイクルに関してはビン・カンなど9種類の分別方法を取ることで全国的にみても高いリサイクル率を誇っている。しかし、燃せるごみの約4割を占める生ごみの本格的な資源化にはいたっていなかった。
このようなごみ処理の問題は小田原市に限ったことではなく日本全国に広がっている。日本はその埋め立て地の立地の難しさから古くから焼却炉建設をごみ処理の問題の解決方法として位置付けてきた。その結果、日本は世界中の一般廃棄物焼却炉の三分の二に値する一七〇〇基以上を有し、一般廃棄物の75%以上を焼却する焼却大国となった。焼却主義がごみ問題の解決にならない理由は①高コスト②二十四時間の連続稼働③健康・環境影響④非循環型・非持続可能⑤資源浪費⑥問題の継続 などが上げられる。小田原市のように焼却した後に出る灰をレンガなどにリサイクルしている自治体もあるが、全ての灰をリサイクルできるわけでもなく、結局埋め立て場は埋まっていく。後10年後には既存の埋め立て場は全ていっぱいになるとさえ言われている。このような日本や小田原市の非循環型ごみ処理の実情を伝えることで、ごみ問題に対して子どもたちが真剣に向き合っていくきっかけになると考える。

3 小田原市『生(いき)ごみ小田原プロジェクト』

深刻なごみ問題の現状から、小田原市では家庭から出るごみ「生ごみ」の減量化を図るため、モデル事業『生(いき)ごみ小田原プロジェクト』を実施し始めた。平成21年7月から生ごみ堆肥化検討委員会を立 ち上げ、生ごみを資源として捉え、堆肥化して使う地域内循環の仕組みを考えてきました。その検討結果を受け、ごみの減量および資源化の可能性などについて検証するため、地域と家庭単位のそれぞれにモデル事業を開始している。例えば、家庭用電動式生ごみ処理機の購入時の補助制度や市内の五か所の小学校(新玉・曽我・下府中・報徳・久野)に業務用生ごみ処理機の設置、さらに、協力家庭を募りモデル事業として、ごみステーションを利用しての堆肥化実験なども行われている。しかし、まだまだ大きな広がりを見せてはいない。この広がりを作る上でも、子どもたちに生ごみの堆肥化について体験する機会を与えたい。実際に体験することで、堆肥化の有用性も感じられる。

4 ダンボールコンポストのメリットとデメリット

生ごみプロジェクトの中で力を入れ始めているのが段ボールコンポストである。身近にある段ボール箱を利用した生ごみ堆肥化方法。段ボール箱の中に基材(ピートモス、腐葉土、おが屑など)を入れた簡単なもので、安価な素材で手軽に取り組める。また、投入された生ごみは、土壌微生物の力によって分解されるため、毎日投入しても量は増えず、臭いもほとんどしない。このように手軽にできる段ボールコンポストを普及させることで、少しでも燃せるごみの堆肥化を進めていこうとしている。しかし、現実にはデメリットも存在する。1つは手間である。毎日、必ずコンポストの中をかき混ぜる必要がある。二つ目は堆肥にした土を使う場所がないことである。堆肥にした後の活用方法がある家庭では取り組めるが、ない場合にどうするかというのも問題である。このようなメリットとデメリットを知った上で、私の学級ではダンボールコンポストを実際に取り組み、体験する活動もおこなった。子どもたちから「簡単にできるし、家でも続けてできそう。」「僕の家には畑はないけど、隣りの家の人が畑をやってるから、少し畑を分けてもらえないかな。」などの感想が出た。また、実際に家庭で実践し始めた子どももいた。小さな動きが起きた瞬間だった。

5 小田原市に広めたい「ゼロ・ウェイスト」の考え

小田原市の「生ごみプロジェクト」はまだまだスタートしたばかりである。世界や日本全国に目を向けて見ると、このような先進的な動きは各地で行われている。オーストラリアのキャンベラ市が1996年に世界で初めて提唱した『ゼロ・ウェイスト宣言』はその一つである。「Zero Waste」をそのまま日本語に訳せば「ごみゼロ」となる。ごみをゼロにするために焼却なしでごみをゼロにしていくことを目指す取り組みである。この「ゼロ・ウェイスト」とはイギリスの経済学者であるRobin Murray(ロビン・マレー)氏の著書『Zero Waste』において提唱された概念であり、「明確な達成目標を設定し、焼却せず、環境負荷を減らしながら、リサイクルと堆肥化でごみを出さないようにする手法のこと」と定義される。氏は著書の中で

「徹底したリサイクルと堆肥化がゼロ・ウェイスト戦略の中心である。しかし、ゼロ・ウェイストの影響はそれを超えて廃棄物部門が産業再設計に貢献するという、より広い射程を持つのだ」 
   『ごみポリシー―燃やさないごみ政策「ゼロ・ウェイスト」ハンドブック』

と述べており、ゼロ・ウェイストは日本が循環型社会を実現する上で大切な考えといえる。
このキャンベラ市の宣言を受けて、日本では徳島県勝浦群上勝町が初めてゼロ・ウェイスト宣言を採択した。発生抑制・分別回収を徹底し、2020 年までに焼却・埋め立てに頼らないごみゼロ社会を目指している。
具体的な行動としてはごみを34品目に分別することや、小田原市と同じように大型生ごみ処理機を制生ン食料品店に置くなどの取り組みもしている。各家庭の生ごみ処理機とコンポストの普及率は98%で町の生ごみは各家庭でほぼ堆肥化されている。このような行動により、上勝町のリサイクル率は約80%となり、埋め立て処分するごみの量も激減した。
その後、2008 年3 月に福岡県三潴(みずま)郡大木町が国内二番目となる「大木町もったいない宣言(ゼロ・ウェイスト宣言)」を行い、ごみの減量・再資源化によって2016 年までに脱焼却・脱埋立を目指した持続可能な町づくりを推進している。このような動きはさらに全国に広がり、同じ神奈川県内でも町田市や葉山町が県内の先進的な動きを起こしている。これらの「ゼロ・ウェイスト」の動きはぜひ小田原市でも見習いたいものである。また、「ゼロ・ウェイスト」によって上手くいった事例(キャンベラ・上勝町・葉山町)などを子どもたちに紹介、もしくは子どもたちに調べさせることで、子どもたちの手によって小田原市独自のゼロ・ウェイスト宣言を作るような活動を取り入れたい。

7 単元計画 (13時間)

第一次 学校や家庭でのごみ調べをしよう。(1時間)
第二次 ごみ収集について考えよう。(2時間)
第三次 環境事業センターの仕組みを知ろう。見学も含む。(3時間)
第四次 ごみ処理の費用について考えよう。(2時間)
第五次 ごみの問題について私たちにできることを考える。(3時間)本時→1/3
第六次 ごみの学習を通して、小田原市のゼロ・ウェイスト宣言を作る。(2時間)

8 本時展開

ごみの写真を提示

発問1:

これは何ですか?

説明1:

ごみです。今、日本では深刻なごみ問題が起きています。ごみがあまりにもたくさん出過ぎるため、ごみを埋め立てる場所が足りなくなってきています。あと10年ほどで日本全国のごみのうめたて地は満杯になってしまうと考えられています。みんなの住む小田原市。ここでは深刻なごみの埋め立ての問題が起きています。

発問2:

小田原市のごみの中で、一番多いごみは何ごみですか?

説明2:

もせるごみです。 約75パーセント、5万5000トンがもせるごみなんです。

発問3:

もせるごみは燃やされて何になりますか?

説明3:

灰ですね。 灰を埋め立てるのが問題なんです。
たくさんの灰を埋め立てるため、市の最終処分場は満杯になってしまっています。 結果、他の県にお願いして処理してもらっています。 もちろんただではありません。

発問4:

ごみを他県に処理してもらうのにいくらぐらい払っていると思いますか?

説明4:

○円より安いと思う人、○円より高いと思う人。実は2億円も払っているんです。
このままではごみだらけの小田原市になってしまいます。

発問5:

ごみだらけの小田原市に住みたいですか?

住みたくない。

発問6:

どうすればごみを減らすことができそうですか。ノートに書きなさい。

リサイクルをする。物を大切にする。
リサイクルとは、主に、いらなくなったものをもとにして、新しい製品を作り出すことです。小田原市で取り組まれているリサイクルを紹介します。

説明5:

これはダンボールコンポストといわれる。生ゴミをたい肥に変える道具です。
映像を見せる。 今、小田原市ではこれを広めています。 段ボールコンポストのセットを1000人の人に配布、さらに定期的に段ボールコンポストの作り方の説明会も開いています。 実は先生もこの説明会に行ってきました。そして、実際に段ボールコンポストを作ってみました。

発問7:

見たい人?

見たい。 感想聞いていく。→匂いがしない。生ゴミがなくなっている。

発問8:

もし小田原市の人たちがみんな段ボールコンポストを使えば5万5000トンあった燃せるごみを何トン減らすことができると思いますか?

説明6:

約3万3000トンまで減らすことができます。このような身近でできる取り組みをしている町は他にもあります。次の時間、勉強していきましょう。

9 主な参考文献

生ごみ堆肥でゲリラ農業(又野進一)/小田原市生ごみ堆肥化検討委員会中間報告書 
環境事業センターごみ処理データ/TOSSランド「日本の歴史の99.6%は、ごみの少ない社会だった」(富田元久)/「ごみはだか」(吉田高志)/ダンボールコンポストを広めるHP あしがら農の会/ごみ問題100の知識 (佐巻健男)/生ゴミを食べてもらうミミズ御殿の作り方(佐原みどり・中村好男 監修)/ゴミ列島・清掃現場で考える(和気静一郎)/この大いなる残飯よ(山下惣一)/どう創る循環型社会(川名英之)/リサイクルビジネスへの挑戦(山田文彦)/ゼロエミッション持続可能な産業システムへの挑戦(フリッチョフ カプラ、グンター・パウリ)ゴミポリシー燃やさないごみ政策「ゼロ・ウェイスト」ハンドブック(ロビン・マレー 築地書館)/生ごみ堆肥リサイクル(岩田進午、松崎敏英 家の光協会)/ごみを燃やす社会 ごみ焼却はなぜ危険か(山本節子 築地書館)/EMで生ゴミを活かす 家庭菜園から農業利用まで(比嘉照夫 サンマーク出版)/だれでもできる生ごみ堆肥化大作戦(有機農産物普及・堆肥推進協会 合同出版)/アジアごみ事情(孫永培 中央法規出版)/家庭でつくる生ごみ堆肥 よくある失敗を防ぐポイント(藤原俊六郎 農文協)/生ごみ堆肥ですてきに土づくり(門田幸代)/地域発・ゼロエミッション 廃棄物ゼロの循環型まちづくり(吉村元男 学芸出版社)/やってみませんか家庭でできる生ごみの処理(森忠洋 パワー社)だれでもできるミミズで生ごみリサイクル(メアリー・アッペルホフ 科学教育研究会)「生ごみ及びプラスチック等の資源化調査報告書」(平成21 年3 月町田市環境資源部ごみ減量課)/持続可能なまちは小さく、美しい 上勝町の挑戦(笠松和市、佐藤由美 学芸出版社)


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