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TOSSランドNo: 4959156 更新:2012年12月29日

地球の周の長さ


中学2年の図形で、「錯角」を学ぶ。
錯角と円周の公式だけで、地球の大きさ、つまり、地球の周や直径を求める。
2006年10月29日(日)「どーんとたっぷり小森・大堀講座」のD表検定模擬授業。

教材研究

6月21日(夏至の日)の正午、シエネ(アスワン)の井戸の底に太陽がうつる。シエネは北回帰線上に位置している。同じ時刻、シエネから北のアレキサンド リアでは、地面に棒の影ができていた。棒と太陽の光の角度は、円1周の50分の1(7.2°)であった。シエネとアスワンは、当時の単位で5千スタディオ ン離れている。したがって、地球の一周は、5千スタディオンを50倍した25万スタディオンであることがわかった。
古代ギリシャのオリュンピア競技祭で用いられた1スタディオンは185mで、地球の周長は46250㎞となる。これは、実際の値4万kmを15%上回る数 字だ。エジプトの1スタディオンは157mで、この場合、地球の周長は、39250㎞となり、誤差は2%でしかない。授業では、1スタディオンを157m とした。39250㎞を円周率3.14で割ることで、地球の直径が12500㎞と求められる。
エラトステネス(Eratosthenes、紀元前275‐194年)は、このような計算で、地球の1周、地球の直径を求めた。エラトステネスは、地球の 大きさを初めて測定した人物となった。地球の1周の数値を手に入れたことによって、月の大きさ、地球から月までの距離を求められるようになった。そして、 アナクサゴラスとアリスタルコスによって、地球と太陽の距離、太陽の大きさが計算で求められるようになった。
エラトステネスは、アレキサンドリアの研究機関ムセイオン(museion:museumの語源)の館長を務めていた。エラトステネスは、「第2のプラト ン」とも呼ばれていたことにより、「β(ベータ)」というあだ名があった。何をやっても第一人者にはなれず、つねに2番手であることへの皮肉であったとい う説もある。
中学2年で、「平行線の錯角は等しい」ことを学ぶ。これは、ユークリッド(Euclid、紀元前300年ごろ)の『原論』(Elements)の公準5か ら導かれる命題29である。中学3年で、エラトステネスのふるいを習う。中2、中3で地球の大きさを求める授業を実施する。
 シエネとアスワンの距離5千スタディオンは、歩いて測られた。毎年、ナイル川が氾濫した後、地図を作り直すためにエジプト政府が派遣した調査員が歩測していた。日本最初の地図である伊能忠敬の『大日本沿海與地全図』(1821年)にも歩測は用いられている。
 エラトステネスが実際に使った棒の影は、日時計の棒(グノモン:gnomon)であると考えられている。
 円の1周が360°である「度数法」ができたのは、エラトステネスの時代より1世紀ほど後のことである。バビロニアの60進法より円の1周を360°とすることは、紀元前2世紀頃から使われるようになった。
エラトステネス以前、アリストテレス(Aristoteles、紀元前384‐322)は、地球の1周を7万km、アルキメデス(Archimedes,紀元前287‐212年)は4万8千kmと文献に残しているが、測定方法が書かれていない。
 地球の1周が4万kmとなるのは、1971年、フランスの国民議会で、「地球の北極から赤道までの子午線の長さの1000万分の1」と1メートルと正式に採用したからである。
その後、「メートル原器」によって、1メートルを定めた。メートル原器は、それ自体の長さではなく原器の両端付近に記されたそれぞれの目盛の距離が摂氏零度の時に1メートルとなるよう設定されている。
1983年の第17回国際度量衡総会において、光速度を基準とする現在の定義「1メートルとは、1秒の299792458分の1の時間に光が真空中を伝わる行程の長さである」が採用された。  
今では、カーナビゲーションシステムや携帯電話についているGPS(Global Positioning System)を利用して、2点間の緯度と距離が分かれば、地球の1周が簡単に求められる。

授業の流れ

説明1:

地球の1周を、古代のギリシャ人は、次のように推定しました。

発問1:

正しいと思うものを、一つ選びます。

「① 7万㎞だという人?」「周りを見るのですよ」
「② 4万8千㎞」
「③ 4万㎞」挙手で確認。

指示1:

実際に計算して確かめます。みんなで読みます。「あるとき」、さん、はい。

「あるとき、井戸の底に太陽が映っていた」

発問2:

このとき、太陽の光の向きは、A、B、Cのどれですか。

「Bです」「Bだね」

指示2:

同じ時刻、井戸から785㎞離れた地点。続きを読みます。

「地面に対して垂直に棒を立てた」

発問3:

太陽の光が、棒に、あたります。地面には何が写りますか。

「影です」

説明2:

この三角形より、太陽の光、と棒との角度は、7.2°であることがわかりました。

発問4:

中学2年生の復習です。平行線の何が等しいのですか。

「錯角です」

発問5:

太陽の光は平行です。角χは、何度ですか。

指名「7.2°です」(最初に指名した人は「数学苦手なんで」と答えた。「はい」とさらっと流した)

発問6:

円の1周は、何度ですか。

「360°です」

指示3:

7.2°を何倍すると、360°になりますか。□を求める式を書きなさい。

「何÷何ですか」指名「360÷7.2です」
「計算します。できた人はできましたと言います」
「書けた人は、答えを言います。いくつですか。はい」「50です」

発問7:

井戸から棒まで785㎞です。地球の1周を求めます。785を何倍するのですか。

指名。「50倍です」
「計算します。できた人は見せにきます」
板書「785×50=39250」「できた人は丸」

説明3:

皆さんと同じように計算して、エラトステネスは、地球の1周を、求めたのです。

説明4:

次の授業では、地球、月、太陽について、次のことを求めます。

<参考文献>

『ビックバン宇宙論(上)』、サイモン・シン著、新潮社
『ビックバン宇宙論(下)』、サイモン・シン著、新潮社
『世界でもっとも美しい10の科学実験』、ロバート・P・クリース著、日経BP社
『数学大好きにする“オモシロ数学史”の授業30―話材+授業展開例+ワークで創る』、上垣渉著、明治図書
『モノグラフ数学史』、矢野健太郎著、科学新興新社
『宇宙を測る―宇宙の果てに挑んだ天才たち』、キティー・ファーガソン著、講談社
『なぞとき感覚で挑戦!数学でわかる宇宙と自然の不思議』、ニュートンプレス
『頭が良くなる図解「数学」はこんなところで役に立つ』、白鳥春彦著、青春出版社
『宇宙を測る』、小尾信彌著、朝日新聞社
『はかってわかる!おどろき大百科2 地球・宇宙をはかる』瀧上豊監修、文研出版
『新しい高校地学の教科書』杵島正洋、松本直紀、左巻健男編著、講談社


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