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TOSSランドNo: 1415342 更新:2012年12月28日

初心者のための分析批評全授業記録 「一つの花」 第6時


第6時:一つの花に託した父親の願いを考える。

本時は、第四場面であるが、教科書は使用せず教材文をワープロ打ちしたプリントを使用した。それは、発問上、削除して提示したかった一文があったためである。

◎教科書 :お父さんは、それを見てにっこり笑うと、何も言わずに、汽車に乗って行ってしまいました。ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながら。
◎プリント:お父さんは、それを見てにっこり笑うと、何も言わずに、汽車に乗って行ってしまいました。

これについては、『現代教育科学』(1986.3)の特集「いま授業づくりで何を問うか」の中で当時の神戸大学の杉山明夫氏が昭和26年当時の文章では、「ゆみ子のにぎっている、一つの花を見つめながら。」の一文はなく、教科書用に付け加えられたものであることを述べられている。

学習活動1:第4場面の音読の練習をする。

フラッシュカードを使って新出漢字の練習を1回やった。その後、教材を印刷したプリントを配付し、3回音読させた。

学習活動2:「コスモス」をイメージ化する。

プリントの次の箇所にサイドラインを引かせた。

プラットホームのはしっぽのごみすて場のような所に、わすれられたように咲いていたコスモスの花

そして、次のように言った。

発問1:

このコスモスの花はどんなコスモスの花だろうね。

指示1:

「~いう花」と書きます。プリントの空いている所に。

子供たちから出された「コスモス」のイメージは次のとおりである。
C ぼくは、しっかりした強い花だと思います。
C 私は、ピンク色の白いきれい花だと思います。
C 忘れられたように咲いているような花だと思います。
C きれいな花。
C 一つだけのきれいな花。
C 忘れられたような花。そのわけは、本に載っている言葉で「わすれられたように」と書いてあるから。
C 私は、きれいな色の花だと思います。わけは一つだけのお花だからきれいな色のお花をゆみ子にあげたと思います。
C よごれた花だと思います。そのわけは、戦争中だからあまり栄養をもらえないから。
C 忘れられているけど、だれかに見つけられるようなたくましい花。(もう一度繰り返させる)
C 私は、さみしそうな花だと思います。わけは、だれも見てくれないからだと思います。

説明1:

同じ言葉からでもこういうふうに出て来るんですね。

発問2:

このコスモスの花をお父さんはだれに渡すのですか?

C ゆみ子。

学習活動3:出征する父親が一つの花に託した願いを考える。

ここでのメイン発問は次である。

お父さんは、何を見て行ってしまったのですか。

この発問について佐々木俊幸氏は『法則化「分析批評」の授業をつくる』(明治図書)の中で次のように述べている。

この話し合いで、子どもたちの発問が「見つめながら、と書いてあるから『一つの花』を見ていたんだ」という域から出ないようであれば、自分のクラスは、まだ話し合い(討論)の鍛え方が足らないと反省すべきだろう。

「なぜお父さんが一つの花を見つめながら行ってしまったかというと・・・」「なぜお父さんがゆみ子の喜んでいる姿を見て行ってしまったかというと・・・」などのように、その意味を説明できるところまで子どもたちを育てるべきである。そのとき初めて「二重の間接性」の発問が生きてくる。
(略ー椿原)
Bの発問からここまでもってくるには、ある程度の助言なり補助発問を入れる必要があるかもしれない。学級の実態に応じて考えるべきである。     (101頁)

今回の授業は、私が担任している学級ではない。また、分析批評による授業の経験もない。このような実態を考慮して最後の一文を削除した教材文を提示したのである。以下の授業記録は、テープ起こしである。

発問3:

はい、お父さんは何を見て行ってしまったのですか。ノートに書いてごらん。

C (座って書きはじめる) 
T 書いてない人? (数名挙手) 急いで書きなさい。
T この2列立ちなさい。はい、どうぞ。
C ゆみ子です。 
T ゆみ子の人? (半数挙手)
C 一つの花。 (同じです、の声)
C ゆみ子の喜んだ顔です。
T それは、ゆみ子に入れよう。
C ぼくは、ゆみ子と一つの花だと思います。
T 両方はだめ。どっちか一つに決めなさい。
C ゆみ子。
T じゃあ、ゆみ子か一つの花か、どちらかに手をあげなさい。

○ゆみ子・・・14名   ○一つの花・・・15名

指示2:

はい、それでは、わけを書きなさい。書いたら先生にノートを持ってきなさい。

C (作業)
T 今まで勉強したことも参考にしていいです。考えに入れていいです。
C (次々にノートを持ってくる)
T ○をもらった人は、その反対の意見はどうしておかしいのかそれを書きなさい。
*ノートを持ってきた子供に対して「よし。じゃあ、こっちはどうして違うかを書きなさい」と指示 した。「ゆみ子」だという子供には「一つの花」がどうして違うのかを考えせた。
T 持ってきてない人いませんか? (「はい」の声)途中でもいいです。全く書いてない人も持ってきなさい。
  (全員が持ってきたのを確認して)

指示3:

それでは、発表してもらいます。まず、ゆみ子を見てお父さんは行ってしまったという人立ちなさい。反対の人はメモの用意。ノートを持って大きな声で読んで下さい。「ぼくは、ゆみ子だと思いました。そのわけは」と発表しなさい。

C ぼくは、ゆみ子だと思いました。そのわけは、「ゆみ子は、それを見てにっこり笑うとそれを見て行ってしまいました」と書いてあるからです。
T 「それ」というのは「ゆみ子」なんだね。(「同じです」の声)
C 私はゆみ子だと思いました。わけはゆみ子を喜ばせるために花を持ってきてやって、楽しそうな顔をみるために花を持ってきて、ゆみ子の顔を見ていただと思います。
C 私は、ゆみ子だと思います。そのわけは、もう会えなくなると思ったからです。
T お父さんはゆみ子と会えなくなるかもしれないから(「もう会えない」と板書)
C ぼくは、ゆみ子だと思いました。そのわけは、「ゆみ子の喜んだ顔を見てお父さんは何も見ずに汽車に乗って行ってしまいました。」からです。
C ぼくは、ゆみ子だと思いました。そのわけは、もうゆみ子と会えないかもしれないからです。
C ぼくは、ゆみ子と思いました。そのわけは、死んだらゆみ子を見られないからです。
C 私は、ゆみ子だと思います。そのわけは、最後にゆみ子の笑顔を見ていきたかったからです。
T ゆみ子と分かれるときに、もう会えなくなるから笑顔を見たかったんだ。だからお父さんはゆみ子に何を渡したんですか?
C コスモスの花。

指示4:

いや、違う。一つの花を見て行ってしまったという人立ちなさい。今度は「ゆみ子」と書いた人がメモをするんだぞ。

C ぼくは、一つの花だと思います。わけは、ゆみ子を見ていくと悲しくなって元気がでなくなるからです。
T (「悲しくなる」と板書)
C ぼくは、一つの花を見ていったと思います。そのわけは、ゆみ子は「それ」じゃないしそれに、もし、ゆみ子を見ていったんなら教科書に「お父さんは、ゆみ子を見てにっこり笑うと何もいわずに汽車に乗って行ってしまいました」と書いてあるはずだからです。
C ぼくは、一つの花だと思います。そのわけは、もう会えないかもしれないけどずっとゆみ子にお父さんのことを覚えておいてほしいからです。
T 「ゆみ子」だという人たちはね、ゆみ子のもう会えないかもしれないからゆみ子を見て行ったんだと言ったんだよね。同じところで○○くんは「お父さんのことを覚えておいてほしいから一つの花を見て行ったんだ」と言うんだね。
C 私は一つの花だと思います。そのわけは、花を見て喜んだからです。
C ぼくは、一つの花だと思います。そのわけは、お父さんが「大事にするんだよう」と書いてあるから一つの花を見ていたと思います。(「同じです」の声)
C 私は、一つの花だと思いました。そのわけはゆみ子が大事に育ててくれるように見ていたからです。
T ああ、そのコスモスの花を育ててもらいたいわけか。それでいっぱいにしてほしいわけか。(「育ててほしい」と板書)こういう願いを込めていたというんだね。だから一つの花を見つめていったと。   
C わけは、自分のやった一つの花を目印に自分の代わりにそのコスモスの花を大事にしてもらいたいから。
T 今までと違う意見です。もう1回言って。
C 私が一つの花を見て行ってしまったと思うのは、お父さんの代わりに花を大事にしてもらいたいから。
T お父さんの代わりに(花を)大事にしてほしい。
C 私は、一つの花だと思います。そのわけは、忘れられたコスモスが見つけてもらってうれしいからです。
T もう1回言って下さいね。さっき言ったことと(コスモスのイメージ)結び付けて考えてるんですよ。さっきのところを読んでごらん。
C だれも見てくれないようなさみしそうな花。忘れられたコスモスが見つけてもらってうれしそうだから。
T いろいろわけが出てきました。 まず、「ゆみ子」だという人はね、もうゆみ子の笑顔をみるのは最後だから覚えておきたいというのがこっちの理由。いや「一つの花」だという人はね、ゆみ子のことを見ると悲しくなるから、お父さんのことを覚えておいてほしい、そして、これはね、この一つの花というのはお父さんの代わりなんだ。だからそれを覚えておいてほしいとね。

指示5:

それじゃね、お互いに見てみてね、その理由はおかしいじゃないかということが言える人?(数名挙手) はい、立ってごらん。

C 私は、ゆみ子はおかしいと思います。そのわけは、そんなにおかしくないけど、ゆみ子を見ると後でつらいからコスモスの花を見ていったと思ったからです。
C ぼくは、ゆみ子の方がおかしいと思います。そのわけは、ゆみ子だったらゆみ子を見て汽車で行ってしまう。
C 私は、ゆみ子を見ていく方がおかしいと思います。ゆみ子が最後に言った「一つだけちょうだい」が食べ物ではないからです。
T 教科書のどこに書いてある?
C 「ところが、いよいよ汽車が入ってくるという時になって、また、ゆみ子の「一つだけちょうだい」が始まったのです。
T じゃあ、そこを一緒に読んでみよう。「ところが」から、さん、はい!
C (全員で斉読)
T 「一つだけちょうだい」を赤で囲みなさい。2行目。囲んだ人?(挙手)よし、早い。
T じゃあ、○○さんがその「一つだけちょうだい」についてお話をしますからこっち(○○さんの方)を向きなさい。
C ゆみ子が最後に言った「一つだけちょうだい」が食べ物ではないものだから。
T じゃあ、何なんですか? それは?
C 一つの花。「山ほどちょうだいと言って両手を出すことも知らずに」と書いてあるからうれしかったと思います。

発問4:

もう一度ノートにね、今の両方の意見を聞いて自分はどっちだと思うか。お父さんは何を見て行ってしまったのか、最後に自分の考えを書いてごらん。ゆみ子か一つの花か。お父さんは、どっちを見て行ってしまったと思いますか。

結果は次の通りであった。

○ゆみ子:5名    ○一つの花:24名

最後に教科書で確認させて授業を終えた。


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