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TOSSランドNo: 4520058 更新:2012年12月16日

「わらぐつの中の神様」で討論を仕組む


討論を組織できる発問

初めて『わらぐつの中の神様』を授業した。次の発問で、討論が組織できると思ったからである。

発問1:

大工さんが、おみつさんと結婚しようと思ったのはいつか。

この発問をすれば、子どもたちの意見は、間違いなく分裂する。
案の定、私の学級では、次の四つの意見に分かれた。

現在      

              ( 2名)
        出会い (22名)
  過去 
              ( 3名)

         最終日 ( 8名)

  現在

「おみつさんと出会う前」が2名。
 「おみつさんと出会った時」が22名。
 「出会ってから最後の日までの間」が3名。
 「最後の日」が8名。
 それぞれに理由を発表させた。
 この段階では発表だけである。質疑応答は認めない。
 
 次に、定石どおり、一番おかしいと思う意見を選ばせた。
 「出会う前」に反対が集中した。

子どもはどこを問題としたか

「出会う前」だとする二人は、次の二つの理由をあげていた。

① おみつさんは、「村じゅうの人たちから 好かれていました」とあるから。
② 初めて作った藁靴を大工さんが見て、好きになるのは不自然だから。

これに反論した子どもの意見を、作文から引用する。

<笠谷啓吾>

 63ページの7行目におみつさんが帰ろうとした時、大工さんが立って「おみつさんの顔をまじまじと見つめました」とある。ちょっと、最初から知っていたような気がするけど、「ふうん。よし、もらっとこう。」というのは、自然な言い方、おみつさんとわらぐつを初めて見たような言い方だ。
 
 
<山村聖子>

 「おみつさんと出会う前」だという理由は、教科書55ページの9行目に、「村中の人たちから好かれていました」とある、そこの文で、「おみつさんと出会う前」に大工さんが好きになったと、二人の人は思ったのではないか。
 たぶんこれは、「LOVE」ということではなく、「あの子はよく働いていい子だ」という意味だろう。そして、大工さんは、そこの村に住んでいるか分からないが、仕事熱心らしいので、出会うまでは、大工さんは、おみつさんのことは知らなかっただろう。
 
 
 ①の「好かれていました」については、明らかに間違いである。
 大工さんは、おみつさんの村の住人ではない。
 したがって、「村じゅうの人たちから好かれていました」を根拠とすることはできない。
 しかし、②については、なるほどと考えさせられる。
 否定側に、明確な根拠がないのである。
 討論を続けるうちに、考えの揺れる子どもたちが出てきた。
 そしてついに、「おみつさんと出会う前」とする子が、2名から6名に増えたのである。
 
<白石拓也>

 やっぱり、このシーンでわらぐつを買ったのは、「同情」かも知れない。実際、最初にわらぐつを買ったのは、お昼近くだ。
 おそらく、朝から人々にわらぐつをバカにされていたので、お昼休みに買いに来たのだろう。
 さらに、次の日からは、朝に買いに来ている。
 だが、「出会う前」を主張するなら、大工さんは前からおみつさんを見ていて、わらぐつをはしっこに置いているのを見て、「チャンス!」と思い、かっこよく買って去って行った・・・。という見方もできる。

「正論」をとるか「情緒」をとるか

ここで私は、問題を次のように絞り込んで、討論させた。

発問2:

大工さんは、下心があって、おみつさんに近づいたのか。

「おみつさんと出会う前」としていた子たちは、当然「下心があった」と主張する。
理由は、次の三つである。

 この土地では、藁靴は誰もが持っているので、よい藁靴しか売れない。
 「大工さん」はプロの職人である。初めておみつさんが作った藁靴を見て、「大工さん」が心を動かされるというのは、どうしても不自然である。
 大工さんが、おみつさんの関心を得ようとして藁靴を買ったと考えれば、後の行動も全て納得がいく。

これに反論する子は、もし大工さんに、そういう「下心」があったのだとしたら、この物語全体の雰囲気が壊れてしまうと言う。
6名の正論派と、29名の情緒派との論争は、2時間近くに及んだ。
そこまでやった上で、私が出てまとめを行った。

 論理的に考えると、「下心」派の言うこ とが正しい。
 しかし、それではこの物語はぶちこわし になってしまう。
 よって、物語の読み方としては、反対派 の方が正しい。
 題材を「わらぐつ」としたところに、こ の物語の弱点があると言える。

最後に、もう一つ、子どもの作文を引用する。
 
<藤倉由美子>

 「おみつさんと出会う前」というのは、前からおみつさんを知っていて、ずっと見ていたということになる。それでは、わらぐつを作っていたことを知っていたのではないか。それなのに「作ったのか」とたずねている。たしかめているのだとすれば、そのあとの「ふうん」はおかしいだろう。おみつさんのことが好きだったのなら、すぐに「買おう」とか言うはずではないのか。だからこれは違うと、私は思う。
     (中略:伴)
 下心があるとすると、この物語は「使う人の身になって作ったものには神様がいる」と言っているのだから、全体のイメージがくずれてしまう。


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