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TOSSランドNo: 9402851 更新:2017年03月09日

「走れメロス」討論の実践記録(2013)


1 範読・意味調べ

全文を範読する。約25分かかる。
残り時間はワークを使って語句の意味調べ。

2 あらすじ・主題

冒頭の約4ページを音読。

発問1:

この話を一言で言うと、どんな話ですか。

桃太郎の話を例にして説明する。
書けたら数名発表させる。
・メロスが友の命を救うために走る話
・自分を信じてくれる友のために約束を守る話

発問2:

この物語は、その話を通して、どんなことを伝えよう(表現しよう)としているのですか。

書けた生徒からノートチェックをして板書させる。
全部で14の意見が出た。

・本当の友情を信じることの大切さ。
・約束をちゃんと守ること。
・人を信じることの大事さ。
・人を信じるという大切さ。
・メロスのように最後まであきらめない心を持ってほしいということ。
・友のためにがんばることができること。
・友達を大切にすることを伝えようとしている。
・現実は厳しいことを伝えようとしている。
・メロスとセリヌンティウスの友情を伝えようとしている。
・あきらめないこと。
・愛と名誉のためなら何でもできるということ。
・言葉や文よりも、その人の精一杯の行動が人の心を動かすということ。
・お互いに信頼できる友を大切にし、約束は守るためにあるということ。
・なんでもないごく普通の人でも、みんなに希望、感動を与えることができるということ。

次時までに自分の考える主題をノートに書いてくるように言う。

3 主題の検討

指示1:

家で書いてきた主題を発表してもらいます。
理由が言える人はそれも簡単に説明しなさい。

・信頼し合える友を持とう。
・あきらめない心を持つこと。   →メロスは友人のためにあきらめずに走った
・本当の友情と信じること。   →二人の友情を見て王の心が変化した
                   →命を託すことができるのは本当の友情である
・精いっぱいの行動が人を動かす   →メロスが口だけでなく、行動で示したから王の心が変化した
                       →P186「あの王に、人の信実の存するところを見せてやろう」
・あきらめずに乗り越えれば、人の心を動かせる。   →メロスの行動が王の心を変え、みんなの心も変えた
・人を信じることの大切さ   →人を信じられなかった王が変化した(信じる心)
・友情はどんなものにも勝る。   →メロスと友の友情が王の変化につながった
・一人の良心が大きな影響を与え、人々の心を動かす。
・現実は厳しい。   →川の氾濫、山賊、疲れなど、メロスを妨害するものが次々と現れる
・友情と名誉のためなら何でもできる。   →P191「その男のために…」 友情のために走っている
                          →P191「正直な男のままにして死なせてください」 名誉を大事にしている

説明1:

今出た意見を整理します。
「あきらめない心」という主題。
「友情」という主題。
「精いっぱいの行動」という主題。
「信じること(信頼)」という主題。
「現実は厳しい」という主題。
この5つに整理できます。

出された意見を簡単に確認しながら、黒板のキーワードを色チョークで囲んでいく。
「これ以外にありますか?」と確認する。
5つの中から1つを選んで、次時までに意見を書いてくるように言う。

4 主題の検討

最初に人数の分布を確認した。
・「友情」      24
・「あきらめない心」 4
・「信じること」   2
・「精いっぱいの行動」0
・「現実は厳しい」  0
家で意見を考えてきた段階で、すでに二つの意見が自然消滅していた。

指示2:

この物語の主題は、「友情」なのか、「あきらめない心」なのか、「信じること」なのか、検討していきます。
自分の意見についてでもいいです。他の意見への反論、質問でもいいです。
自由に発言しなさい。

【友情】派
・メロスとセリヌンティウスの友情が、王の心を動かした。だから「友情」である。
・メロスの行動が、二人の友情の深さを表しているから「友情」だ。
・P182で王は「寂しい心」を持っていたが、友情の大切さを知ったことで変化した。だから「友情」である。
・メロスとセリヌンティウスが最後に殴り合ったのを見て、王は友情の深さを知って変化した。だから「友情」である。
・「信じること」というのはおかしい。「信じる」という言葉が出てくるのは、ほとんどメロスとセリヌンティウスの友情が描かれている場面だ。だから、信じるというのは友を信じることであり、それは友情である。
・P191「その男のために…」とある。メロスはセリヌンティウスのために走っている。

【あきらめない心】派
・王の妨害(山賊)や災害にあきらめそうになったが、結局あきらめなかった。
・P190「正義だの、信実だの、愛だの、考えてみればくだらない」とあり、とにかくあきらめずに走ることが大事だということが分かる。

【信じること】派
・初めは人を信じられなかった王が、信じるようになった。だから「信じること」である。
・P192「私は信じられているから走るのだ」とある。メロスが走る理由が主題を表している。
・相手を信じることができなければ、友情は始まらない。だから「友情」より「信じること」が大事だ。
・メロスもセリヌンティウスも、相手が自分を信じてくれたから友情があるのだ。

「あきらめない心」という意見に対して、「なぜメロスはあきらめなかったのか。それは二人の友情が根本にあるからだ」という反論があり、「あきらめない心」派は反論できなかった。
そこで、「反論できないなら消します。あとで反論できれば復活すればいいですから」と言って消した。

最後に人数を確認した。
「友情」25人、「信じること」5人、であった。
次の時間、論争することを予告して、ノートに意見を書いてくるように言った。

5 主題の検討

指示3:

「友情」か「信じること」か、自分の意見を支える根拠となる部分を探して、ページ・行数を書きなさい。

書けたらノートチェックをして、どんどん板書させる。

【友情】
P195・L6  「ありがとう、友よ。」二人同時に言い……声を放って泣いた。
P191・L20 「その男、その男のために私は、今こんなに走っているのだ。」
P193・L17 「私を殴れ。」
P195・L11 「どうか、わしも仲間に入れてくれまいか。…」
P195・L10 「お前らは、わしの心に勝ったのだ。」
P182・L10 「おまえなどには、わしの孤独の心がわからぬ」
P190・L5  友と友の間の信実は、この世でいちばん誇るべき宝なのだからな。

【信じること】
P192・L16 「あの方は、あなたを信じておりました。」
P190・L4  よくも私を信じてくれた。
P191・L8  私は信じられている。
P192・L19 「信じられているから走るのだ。」

板書した意見を簡単に説明させる。

指示4:

これについての質問、反論、付け足しなど、なんでもいいです。
自由に発言しなさい。

討論が始まる。
・セリヌンティウスはメロスを信じていたから、刑場まで行ったのだ。
・メロスはセリヌンティウスに信じられているから走り抜いた。友を信じる気持ちがあるから、そこに友情が生まれるのだ。
・「信じる」とは、辞書で「人間を超えた大きな力にまかせる」という意味だ。それがこの物語の中では「友情」のことを表している。
・「竹馬の友」とは「幼い頃からの友情」を意味する。幼い頃からの友情があるから、そこに信頼関係が育ったのだ。
・「生まれて初めて君を疑った」と言っている。つまり、それまでは疑ったことがないということで、それは二人の友情の長さを意味している。

討論する中で、「友情があるから信じられるのか」、「信じているから友情が生まれるのか」、という点が問題になってきた。

指示5:

「友情があるから信じられるのか」、それとも「信じているから友情が生まれるのか」、どちらだと思いますか。
自分の考えをノートに書きなさい。

挙手で確認。
「友情があるから信じられる」 20人
「信じているから友情が生まれる」 10人

今日の話し合いをノートにまとめて書いておくことを宿題にする。

6 色のイメージ

発問3:

この作品には色のイメージがたくさん出てきます。
どんな色が出てきますか。色の名前や、色をイメージさせるものを探しなさい。

ノートに書けたらどんどん黒板に書かせる。

P180・L2 牧 (緑)
    L2 羊 (灰色)
    L3 野 (緑)
    L3 山 (緑)
    L11 暗い (黒)
    L12 夜 (黒)
    L12 町全体がやけに寂しい (黒)
P181・L8 悪心 (黒)
P182・L4 蒼白 (青白い)
P184・L3 日没 (オレンジ)
    L9 深夜 (黒)
    L14 野 (緑)
    L19 頬を赤らめた (赤)
P185・L6 ぶどう (紫)
    L10 黒雲 (黒)
    L14 豪雨 (青)
P187・L11 海のように (青)
    L13 太陽 (赤・オレンジ)
P188・L15 灼熱の太陽 (赤・オレンジ)
P189・L12 深紅の心臓 (紅)
P190・L2 暗い疑惑の雲 (黒・灰色)
P191・L1~L2 水 (水色)
    L6 赤い光 (赤)
    L11 悪魔 (黒)
    L12 悪い夢 (紫・黒・茶)
    L17 黒い風のように (黒)
    L17 野原 (緑)
    L18 小川 (水色)
P192・L3 血 (赤)
    L4 夕日 (オレンジ)
    L14 赤く大きい夕日 (オレンジ)
P195・L9 顔を赤らめて (赤)
    L15 緋のマント (緋色)
    L19 赤面した (赤)

何色か書いていないものは確認して板書する。
出た色はすべて教科書かノートに書いておくように言う。

7 色のイメージ

前回出た色のイメージを、ページ順にすべて板書しておく。

発問4:

この中で、作品の中で重要な意味を持っている色のイメージはどれですか。1つ選びなさい。

1人ずつ聞いていき、黒板に人数を「正」の字で書いていく。
全員聞いたあとに、「どうしても検討したい」というものがあれば、さらに手を挙げさせる。

P180・L11 暗い (黒) 2
    L12 町全体がやけに寂しい (黒) 1
P181・L8 悪心 (黒) 3
P182・L4 蒼白 (青白い) 2
P184・L3 日没 (オレンジ) 11
P188・L15 灼熱の太陽 (赤・オレンジ) 1
P189・L12 深紅の心臓 (紅) 4
P191・L11 悪魔 (黒) 2
    L12 悪い夢 (紫・黒・茶) 3
P192・L4 夕日 (オレンジ) 11
    L14 赤く大きい夕日 (オレンジ) 1
P195・L15 緋のマント (緋色) 1
    L19 赤面した (赤) 1

発問5:

今、挙げられた色のイメージ全体を見て、気づくことを書きなさい。

書けたら発表させる。
・黒と赤のイメージが多い。
・前半は黒、後半は赤のイメージが多い。
・前半から後半の色の変化は、王の変化を表しているのではないか。

色のイメージから王の変化を読み取った意見をほめた。
次時に詳しく検討することを予告して終わった。

8 色のイメージ(対比)

発問6:

作品の中で、色がどんなことを表しているのか、対比で考えなさい。

書けたらノートチェックして板書させる。
書いた生徒に発表させて、ポイントを黒板に書き込んでいく。

・よゆうな気持ち(日没までに行けばいい)←→あせる気持ち(日没に間に合わない)
・信実←→人間不信
   P195「わしの心に勝った」
   町が暗い=王の邪悪
   P189「真紅の心臓」=メロス
・邪悪な心←→素直な心
・王の人を信じることのできない気持ち←→王の人を信じることができる気持ち
   (人を殺す王、恐れ、疑うのが正当)     (信じる大切さ、空虚でない)
・メロスの燃えるような心←→王の冷めた心
・悪徳←→信実・正義・友情
・暗い気持ち←→希望
・王の邪悪な心←→友人を信じる心
・王の邪悪な心←→メロスとセリヌンティウスの信じ合う心

9つの意見が出た。
一通り説明が終わったら、整理する。

説明2:

整理すると、「メロスの心の変化」と「王の心の変化」と「メロスと王の心の対立」という3種類に分けられます。

指示6:

この3種類で言うと、自分の意見はどれか、決めなさい。

「メロスの心の変化」  1人
「メロスと王の心の対立」  14人
「王の心の変化」  13人

次回、討論することを告げて終了。

9 色のイメージ(対比)

作品の中で、色が何と何の対比を表しているのか、意見を発表してもらいます。

・人を信じられない王から、信じることができる王への変化を表している。
・前半の暗い色(黒)から後半の明るい色へと王の心が変化した。初めと真逆になっている。
・王の悪徳とメロスの信実を対比している。
・前半の暗い色はメロスの余裕、後半の明るい色は間に合わないというあせりを表している。
・P195で王が「顔を赤らめて」言う場面で、「信実とは空虚な妄想ではなかった」と言っているので、王が変化している。

反論を促すと、最後の方に出てくる「真紅の心臓」はメロスのことだから、王の変化(前半と後半の王の心の対比)という意見は違うという意見が出た。
これに対し、王は最後には人を信じる心になったのだから、メロスの心と同じになったのだ、という意見が出た。

最後に人数を確認すると、
「メロスの心の変化」  0人
「メロスと王の心の対立」  0人
「王の心の変化」  全員
となった。

10~13 評論文

討論をふまえて評論文を書く。
まず、プロット(目次)の立て方の例を示して、プロットを書かせた。

【書き方例①】 授業の流れに沿って、ノートに書いてきた意見をそのまま書いていく。
 (一) 最初に読んだ感想
 (二) 主題
 (三) 色のイメージ
 (四) まとめ

【書き方例②】 ノートに書いてある意見を元に、内容に項目をつけて書いていく。
 Ⅰ はじめに
 Ⅱ 主題
  (一) 作品の主題
  (二) 「あきらめない心」という意見
  (三) 「精いっぱいの行動」という意見
  (四) 「現実は厳しい」という意見
  (五) 「友情」という意見
  (六) 「信じること」という意見
 Ⅲ 色のイメージ
  (一) 作品に出てくる色
  (二) 中心となる色
   ① 黒系統の色
   ② 赤系統の色
  (三) 色があらわしているもの
 Ⅳ 対比
  (一) 王の心の変化
  (二) メロスの心の変化
  (三) 王の心とメロスの心
 Ⅴ おわりに

【書き方例③】 ノートの意見を元に、考えを整理して文章を再構成して書いていく。
 Ⅰ 序論
 Ⅱ 本論
  (一) 物語の設定
   ① 時代
   ② 場所
  (二) 登場人物
   ① メロス
   ② セリヌンティウス
   ③ 暴君ディオニス
   ④ 主役と対役
  (三) クライマックス
   ① メロスの変化
   ② 変化の瞬間
  (四) 対比
   ① 人と人の対比
    (ア) メロスとディオニス
    (イ) メロスとセリヌンティウス
   ② 心と心の対比
    (ア) 弱い心と強い心
    (イ) 疑う心と信じる心
  (五) 色のイメージ
   ① 作品に出てくる色
   ② 中心となる色
    (ア) 赤系統の色
    (イ) 黒系統の色
   ③ 色があらわすもの
  (六) 主題
   ① 五つの主題
    (ア) 「あきらめない心」
    (イ) 「精いっぱいの行動」
    (ウ) 「現実は厳しい」
    (エ) 「信じること」
    (オ) 「友情」
   ② 中心となる主題
  (七) 作者と作品
 Ⅲ 結論

プロットをチェック。合格した生徒は、どんどん書かせていく。
授業時間内に書ききれない生徒は宿題にした。

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