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TOSSランドNo: 1111520 更新:2012年12月13日

すらすら読みまでのステップを細分化する


1. 向山型国語の音読システム
 向山型国語の音読指導のステップはおおむね次のようになる。

(1) 題名の横に丸を10個書かせる
(2) 教師の範読
(3) 追い読み
(4) 1人読み
(5) 様々なバリエーションでの1文交替読み
(6) 最高のスピードでスラスラ読み
(7) 音読のテストをする

2. なぜ最初に範読をするのか
 向山型国語で,教師が最初に行うのは範読である。
 なぜ向山型国語では最初に教師が範読をするのか。
 横山浩之氏は次のように言う。

例えば,「読む」とは,字を視覚的に理解し,それを口を動かす運動にするのである。すなわち,視覚受容(視覚性入力)→視覚連合・聴覚連合→言語表現(聴覚性出力)という回路が使われるのだ。
『向山型国語教え方教室』№12 P.77

そして,大森修氏は次のように言う。

教師が最初に範読するのは,視覚情報が弱い子にとって有効である。
第1回TOSS教材ユースウェアスキル上達講座より 文責は太田

最初に子どもに読ませると,次のような問題が起こる。
漢字を間違って読んでしまう,意味の通らないところで区切って読んでしまう,つっかえながら読んでしまうといった問題だ。
そうすると,子どもには間違った聴覚情報がインプットされてしまうのである。一度インプットされてしまったものを修正するというのは困難なことである。
横山浩之氏は次のように言う。

例えば,視覚情報が弱ければ,聴覚受容→聴覚連合の回路を利用すれば,視覚受容を迂回して,理解を助けることができる。聴覚受容→聴覚連合の回路の利用とは,聴覚を使って情報を入力して理解させること,すなわち「聞く」ことなのだ。
『向山型国語教え方教室』№13 P.77

だから,正確な読みを教師が子どもに聞かせることが大事なのである。
教師が正確な読みを聞かせることによって,視覚情報の弱い子にも,正しい読みを伝えることができるというわけである。

3. 正確読みと高速読み
音読では,正確に読めるようになるという段階が第1目標である。
これができるようになったら,スラスラと速く読めるという段階間で指導していく。これが第2目標である。
「正確読み」とは,文章を間違わずに,つっかえることなく,句読点で区切りながら,教室の隅まで聞こえるくらいの声で読めることである。
「高速読み」とは,文章を句読点に気をつけて,滑らかに速く読むということをさす。
スラスラと速く読むというのは,具体的にはどれぐらいのスピードで読むことなのか。

「すらすら斉読」1分間350字くらいの速さで音読すること。
『教室ツーウェイ』2000年6月号 市毛勝雄氏論文

伴一孝氏の模擬授業での範読の速さは,初読は分速約550字。高速読みの時は,分速約750字だった。『読み書き計算全員80%習得の詰めのシステム』P.44

伴氏の場合は,かなりの高速といえる。最初から分速550字。つまり,初めから子どもを巻き込んでいく指導が必要なのである。

4. 正確読みの指導パーツ
(1) 追い読み
教師が1文を範読し,子どもに復唱させるのである。
「追い読み」をすると,授業に集中が生まれ,子どもは読まざるを得なくなる。最初から子どもを巻き込んでいかないと,遊んでいる子が出るのである。
同時に,読む姿勢,本の持ち方,声の大きさなどの学習のしつけの指導もしていく。
教師は読みながら子どもの様子を見るようにする。

説明1:

はい,いま,先生から背中を触られなかった人,手を挙げて。はい,その人たちはとっても姿勢がよかったということですね。教科書を読む時,背を高くなるようにして読む。すると,かっこいい,声も出るようになりますね。大事な勉強です。
『長崎向山塾』22号P.9

(2) 1人読み
全員起立させて,1ページ程度を1回読んで座らせる。
追い読みの段階では,教師の読みにつられて読んでいるだけで,目が文字を追っていない場合がある。つまり,自力で読んでいないのである。だから,追い読みの次の段階は,確実に自力で読ませることである。
速い子と最後の子で20秒以上の差があるという場合,それは学力の差が大きいことの証拠であると大森修氏は言う。

(3) 隣同士の1文交代読み
全員起立させ,隣の子同士で1文交替して読む。読み終わったら座る。
相手が読み誤ったときには,読み直しをしてもらうことをはじめに知らせておく必要がある。ここでの目的は,正確に読むということなのである。ここを確認しないと,スピード競争になってしまう。正確に読めない段階でスピードを上げていっても意味がないのである。

(4) グループ内での1文交替読み
グループで机を合わせ,順番を決めて1文交代読みさせる。終わったら,机を元に戻す。
ここでも目的は読み間違いの確認,正確に読むということである。

(5) 座席順の1文交替読み
座席順に1文交代で立って読む。次の番の子も立って待たせるようにする。
一人一人の読みの状態をきちんと確認しておくのが目的である。一人一人読ませるから,子どもに力がつく。緊張感がある中でやるからこそ,力がつく。一人一人読ませないで,子どもの実態を把握することなどできないのである。
読みがつっかえたり,声が小さかったりする子は立たせておく。そのまま通過させてはいけない。危機感を持って練習させないと力は向上しない。最後に簡単な文を読ませるようにする。

5. 高速読みの指導パーツ
(1) 追い読み
教師が高速で範読し,子どもに復唱させる。

指示1:

今度は少し速く読みます。先生の真似をしなさい。先生と同じスピードで読みます。

子どもが読み終わる寸前に,教師が読み始めるのである。子どもの読みと教師の読みが一部重なるようにして読む。こうすることで,教師のスピードに子どもを巻き込んでいく。

(2) 1人読み
全員起立させて,1ページ程度を1回高速で読ませ,座らせるのである。

指示2:

今のスピードで,自分で起立してもう1回読みます。はじめ。 

最高のスピードで読ませる。スピードを意識すると,自然と口が大きく開くようになり,声も大きくなる。

(3) 教師と子ども全体との1文交代読み
教師が1文を高速で読み,次の文を子供たちが高速で読む。

指示3:

今度は交代で読みます。先生が1文を読みます。次の1文をみんなで読み,次の1文は先生。

終わったら,順番を入れ替える。

指示4:

今度は順番を代えて,みんなが先。はい。 

ここでも,子どもが読み終わる寸前に,教師が読み始める。

(4) 隣同士の1文交代読み
全員起立させ,隣の子同士で1文交替して高速で読む。読み終わったら座る。

指示5:

どのコンビが速いか。よーい,はじめ。

(5) 教師と子ども個人との1文交代読み
教師が1文を高速で読み,次の文を1人の子どもが高速で読む。
一人一人の高速読みの状態を把握するのである。

(6) 座席順の1文交代読み

指示6:

1文読み。今のハイスピードで1文読みで行きますよ。はい,立ってごらん。はい,次も立ってごらん。○○さんから,行くよ。さんはい。

「合格」「よし」など,個別評定をする。読みがつっかえたり,声が小さかったりする子は立たせておく。通過しないと駄目だという場面を設定することで,子どもは力をつけていくのである。

6. もうひとつの向山型国語の音読システム
向山氏の音読指導の実践をみると,別の指導も存在している。
教師の範読がなく,「子どもが自分で○○する」というシステムである。パーツは次の5つ。

(1) 読めない漢字は自分で飛ばして読む
(2) 読めない漢字の横に自分で赤線を引く
(3) 教師に読みを教わる(自分でルビをふる)
(4) 全員の前で1文交替して読む
(5) スラスラ読めるかどうか,自分で判断する。

(5)では,「全員起立。何回も読みなさい。スラスラ読めるようになったら座りなさい。」という指示を出す。読めるかどうかの判断を子どもに任せているのである。
だが,判断を子ども任せにしたままではいけない。おそらくこのあとに,教師による個別評定が行われるのではないかと予想する。


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