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TOSSランドNo: 5605522 更新:2014年01月01日

中1ギャップにさよなら! 出会いの授業は「教えて、褒める」の原則を貫く


1.教室に必ず特別支援を必要とする生徒がいる

医師からADHDという診断を受けた太郎(仮名)が、私の顔を見るなり、「先生、誰?」と声をかけてきた。
普通の中学教師なら叱りたくなる場面だが、私は「まずは、君から名乗りなよ!」と言った。
すぐに「太郎だよ」と答えた。
私は太郎の手を取り、『太郎君、よろしく!』と笑顔で挨拶をした。
教室にいた生徒全員が、その光景を見ていた。
小学校時代、「落ち着きがない」と叱られ続けていた太郎が、新しく出会った中学教師と笑顔で握手をしている。
それを見ただけで、生徒の誰もが安心するはずだ。
太郎に、次のように耳打ちをした。

授業が始まったら、「先生の名前を知っている人?」と聞くから、そのときに「そめやこうじ先生です」と答えてくれますか?

2.小学校との引き継ぎで得た情報を活用する

太郎は大きく頷いた。
太郎は、私が持っていた国旗カードに目が行った。「あ、アメリカの国旗だ!」とうれしそうに声を上げた。
小学校と引き継ぎの時、太郎は国旗が好きで、50か国以上の国旗を知っているという情報を得た。
太郎を活躍させることで、「1年間がんばろう!」という期待を持たせたい。
同時に、学級全体が持っている太郎への偏見を一気に覆そうと思った。
太郎は国旗カードを1枚1枚めくりながら、「イギリス、中国、韓国、インド…」と読んでいった。気がつくと、太郎の周りに生徒の輪ができていた。太郎が国名を答えるたびに、私は「すごいな!」「太郎君は物知りだね!」とほめた。得意顔になっていく太郎を見て、私自身もうれしくなった。
このとき、始業開始を伝えるチャイムが鳴った。全員が自分の席に着いた。太郎も素直に座った。3月まで授業中でも教室を勝手に抜け出していた太郎が、ニコニコして着席しているという事実を作り上げることができた。

3.褒めたことがルールになる

授業は、褒め言葉から始まる。
3分前に教室に入ったから褒められたのである。

最初の授業からチャイムと同時に授業が開始できるのは、実に素晴らしいことです。びっくりしました。
先生はチャイムが鳴る前でも教室に入って来ますが、気にしないで自由に過ごしてください。でも、チャイムが鳴ったらすぐに授業を始めます。
確認しますが、今日のように授業道具は机の上に準備しておきます。これが授業開始の理想的状態です。

4.視覚情報を通して学習のルールを確定する

わずか5秒で授業開始のルールを確定したことになる。理想的状態ができあがっているのだから、「この状態が理想です」と伝え、その状態を全員で確認すればいい。
多くの中学教師は、学習のルールを細かく書いたプリントを配り、読み上げる。
太郎のような生徒が、その1つ1つを覚えきれるわけがない。
特別支援を必要とする生徒の場合、長々と説明しても意味がない。
それよりも、目に見える形で提示し、それを確認することだ。
視覚情報を通して学習のルールを確認することが大原則だ。

黒板に『染谷幸二』と書き、「先生の名前、知っている人?」と聞いた。
約束通り、太郎が「は~い!」と手を挙げた。

その手の挙げ方、声の大きさ、とってもいいです。
発表する際の理想的な姿です。
もう1度、皆さんに模範を示してください。

太郎は照れながら、先ほどよりも凛とした声で返事をした。
私は生徒に拍手を求めた。
ここで、私は『手の挙げ方』『返事の仕方』のルールを確定したことになる。
あくまでも視覚を通してルールを確定していくのである。
太郎は「そめやこうじ先生です」と大きな声で答えた。
私は大きく頷き、「最後に『先生』をつけてくれてうれしいです」と伝えた。
これも、大切なルールの1つである。

5.授業が楽しいからルールとして機能していく

私は5つの国旗カードを提示した。

指示1:

5つの国名をノートに書き、ノートを持ってきなさい。

この指示にも明確な意図がある。

ノートの使い方、字の丁寧さ、作業のスピードと集中度をチェックする。

真っ先に太郎がノートを持ってきた。
授業前に予習済みである。笑顔でノートを持ってきた。すべて正解である。
太郎に黒板に5つの国名を書くように指示をし、『最高に丁寧な字で書きなさい』と付け加えた。
太郎は右手に白チョークを持ち、1文字1文字丁寧に書いた。
私の期待に応えた。
太郎が書き終わった直後、全員のノートに○をつけ終わった。
私は「太郎君のノートの字と、黒板の字では、どちらが丁寧ですか?」と聞いた。
全員が「黒板の字です」と答えた。太郎を笑顔で見ながら、次のように伝えた。

太郎君はこんなに丁寧で、読みやすい字が書けます。
ノートの字も時間をかけていいから、丁寧に書きましょう。

活躍させた後だから、太郎は素直に頷いた。
その後も、太郎は教室を抜け出すことなく笑顔で授業を受け続けた。
授業開きの成功体験が、3月まで太郎の学習意欲を持続させていくことになる。


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