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TOSSランドNo: 2210320 更新:2013年11月27日

キツネとお地ぞうさま


 向山洋一氏の『3年の学級経営 新卒どん尻教師はガキ大将』(明治図書、1985)の中に、石川正三郎氏の朝礼での話が載っている。(151頁、「キツネとお地ぞうさまと呼ぶことにする。)
 「キツネは本当に欲ばりと言っていいか」を考えさせることで、子どもの思考を活発にすることができる。
 次の資料を提示する。3年生で行った。

 キツネとお地ぞうさま

 村はずれのお地ぞうさまのところに、キツネとウサギがやってきました。
 ウサギは次のようにいいました。
 「わたしにはやい足をくださってありがとうございます。おかげさまでまい日元気にくらしています。」
 お地ぞうさまはニコニコして聞いていました。
 次にキツネがいいました。
 「わたしにかしこいあたまをくださってありがとうございました。でもわたしは、ウサギさんのようにはやい足もほしいのです。どうか、はやい足もわたしにください。」
 これを聞いていたお地ぞうさまは、
 「ウサギさんにははやい足をあげ、キツネさんにはかしこいあたまをあげたのです。それなのにはやい足もほしいというのはよくばりです。」
といいました。

 この文章をプリントに印刷して配った。

発問1:

キツネとお地ぞうさまのどちらに賛成ですか。

 見事に33名、全員お地ぞうさまに賛成した。
 そこで私は言った。
 「先生はキツネに賛成なんだけどなあ」
 子どもたちは「えー」「なんでー」「お地ぞうさまに決まってるよ」と言いながら騒ぎはじめた。
 私は続けて言った。
 「だってね、かしこい頭のキツネが速い足もほしいと思うのは当然じゃないかな。みんなもさか上がりができるようになったら、今度は水泳で25m泳げるようになりたいと思うのは当たり前じゃないの」
 「なるほど」と言っている子がいた。
 「先生に賛成の人」ときくと、10にんくらいの子が手をあげた。
 私は、
 「かわるってことはとってもいいことなんだよ。自分の意見のまちがいに気付いて直せるっていうことはすごい能力ですよ。1つかしこくなるわけだから」
とほめた。
 さて、ここからいよいよ討論である。

指示1:

先生の意見に反対の人は意見を言って下さい。

 お地ぞうさま派の女の子がまず次のように言った。
 「キツネはお地ぞうさまに頼らないで自分で練習しないといけないと思います」
 最初から核心をついた意見である。私のあげた例とキツネとお地ぞうさまの例の本質的な違いがわかっているのである。
 これに対してキツネ派の男の子は言った。
 「練習しないといけないと言うけど、練習しても走るのが速くならないことだってあります」
 このあと、「練習すれば速くなる」「少しくらいは速くなってもそんなに速くならない」というような意見が続いた。
 私が、練習すると走るのは速くなると思うかと尋ねると、
 必ず速くなる 2人
 速くなるかもしれないしそんなにかわらないかもしれない 31人  だった。
 別の意見がないかを尋ねた。
 お地ぞうさま派の男の子が言った。
 「キツネに速い足をあげるのなら、ウサギにもかしこい頭をあげないといけないと思います」
 さらに次のように言った子もいた。
 「キツネやウサギはいいけど、他の動物はどうなるんですか」
 「それはお母さんとかに習えばいいと思います。ふつう動物はお母さんとかに習うと思います」
 話がズレてきたところで、お地ぞうさま派の男の子が言った。
 「キツネに速い足をあげる必要はないと思います。キツネはおいかける方だから速くなくていいと思います。ウサギは逃げる方だから速い足がいると思います」
 キツネ派の男の子は
 「足が遅かったらつかまえられないよ」
と言った。
 「頭がいいから足はおそくてもつかまえられるはずです」
 「キツネとウサギのよいところを半分ずつあげればいいのに」
というような意見のやりとりがあった。
 私はこういう動物を題材にした設定ではこのあたりが話し合いの限界だと考えて、次のような説明をして授業を終えた。

説明1:

今日はとってもいろんな意見がでて、よく考えられたね。先生もこのお話を読んだときには、キツネは欲ばりだと思いました。でも自分のことを考えてみると、何かできるようになると、また次のことができるようになりたいと思うのがふつうですね。そろばんでも5級をうかると次は4級うかりたいと思いますね。
 でも、みんなはそういうよくなりたいという気持ちにも、キツネの場合とみんなのさか上がりの練習とは違うことに気付きましたね。
 こんなふうにいろいろに考えることができたことが、とってもすばらしいと思います。

 「家の人はどちらに賛成かきいてごらん」と最後に言っておいたのだが、どの家の方もお地ぞうさまに賛成のようだった。家で、学校でどんな話し合いをしたか説明した子もいたようだった。


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