TOSSランド

コンテンツ登録数
(2019/07/22 現在)

21642
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 1211188 更新:2012年12月13日

初めて知った指導のコツ


実技講座「マット運動」

1998.11.17

 今回の上達講座で私が楽しみにしていたのは、学校体育研究同志会の方々の講座である。学校体育研究同志会の研究会に参加する機会がなかった。だから今回の講座で学びたいと期待を持って参加した。
 安武一雄氏と牧野満氏の実技講座「マット運動」は大変勉強になった。側転の指導を中心に実技を通して行われた。

1.視点が定まらないと目が回る

最初にマットの上を歩くことから始まった。マットの正面に一人が立ち、その人に向かって歩いていく。次々と新しい課題が出された。

 1.マットの上をまっすぐ歩いてください。
 2.首を横に振りながら歩いて下さい。
 3.首を上下に振りながら歩いて下さい。
 4.首を回してまっすぐに歩いてください。回っていく方向を見ながら。

 だんだん課題を変えることによって視点が定まらなくなる。すると目が回ってくるのである。
 目が回る理由として安武氏は「視点が定まっていないから目が回るのです」と説明した。目が回らないようにするには、「どこを見たらよいのかを言ってあげるとよいのです」とも言われた。
 視点を固定するために歩いて行く前方に人が立っていたのである。首の動きを変化させても視点が固定されていれば目が回らないという。こういう話を聞いたのは初めてである。
 私はマット運動が苦手であった。それは目が回るからである。車酔いもした。三半器官が弱いのである。もし、もっと早く安武氏の話を聞いていればマット運動も楽しめたかもしれない。

2.あごが上がると背中が伸びる

 側転が出来るための基礎感覚として、安武氏は次の三つを述べた。

 1.腕支持感覚 手の平全体で押す
 2.あごを上げる感覚 あごを前に上げる
 3.逆さ感覚 腰より頭が下がる

 以上の感覚づくりのために、アザラシ、尺取り虫、ハイハイの動きを行った。アザラシは直接床に両手を着いて行った。手の平全体で押す感じをつかませていった。
 尺取り虫は膝を伸ばしたまま両手に足を近づける動きである。そのためには首が上がらないと出来ない。首を上げると顎反射で背中が伸びる。背中が伸びると両足が引きつけやすくなる。それでも出来ない子供には「いち、に-、さん」のリズムで引きつけると出来るという。
 次は右足を前に出し、右手を前に出す時に左足を前に出す動きを行った。左手を前に出す時には右足を前に出すのである。
 先生方の動きを見ていると、すぐに出来る人と出来ない人がいた。安武氏は、「足の裏をついて、ハイハイ歩きをしなさい」と指示をした。すると今まで出来なかった人が見事に出来るようになった。
 「手の平全体で着きなさい」
 「あごを上げてください」
 「腰があがっているか、手が着いているか友達と観察しあいながらやってください」
 ハイハイの動きが赤ちゃんにとってどうして大切な動きなのかが分った。器械運動にとって大切な基礎感覚づくりがハイハイで出来るのである。運動形態の発生を調べていく事の大切さを学ぶことが出来た。

3.次の技を予測しながら回転していく

 次に行ったのが「リズムお話マット」で、動物歩きからの前転の動きである。運動はリズムである。リズムにあわせていくと動きがスム-ズに出来る。安武氏は次の言葉を言いながらリズムにあわせて指導した。

くまさんが おさんぽで いしにつまずき ハイポ-ズ
  5     5     7     5

 言葉は5、5、7、5のリズムになっている。「くまさんがおさんぽで」までは動物歩きである。「いしにつまずき」で前転する。「ハイポ-ズ」でジャンプやバランスを行う。
 これまた素晴らしい指導である。リズム歌にあわせていくと動きがスム-ズにでてくる。「最初に動物歩き。次は前回り。最後にジャンプ」と言葉で言われると子供は動きのイメ-ジが出来ない。技のイメ-ジが出来ないのである。
 ところが、「くまさんが おさんぽで いしにつまずきハイポ-ズ」とお話をすると動きのイメ-ジがはっきりと浮かんでくる。しかも「いしにつまずき」で次の動きの予測が出来る。専門用語では、動きの先取りという。お話マットは次々に続く。

かにさんが おさんぽで かいにつまずき ハイポ-ズ

 このように同じリズムになる言葉を入れていけば、子供自身でお話が作れて動きも出来ていく。子供は自分のお話でマット遊びが出来ていくので、主体的に参加していく。
 さらにこのお話マットが優れているのは、運動の基礎的な動きが出来ることである。

くまさんが おさんぽで いしにつまずき ハイポ-ズ
スプリング系 + ロ-ル系 + 静止系

 マット運動の基礎的・基本的な動きが全て入っているのである。子供の発達段階に応じて、子供の興味・関心をひきながら動きの基礎・基本が指導できる。
 このような教材が最高である。学校体育研究同志会ではポピュラ-かも知れない。しかし、多くの教師にとっては知らない指導法である。この方法を知っただけでも参加した価値がある。

4. 片膝をついて、両腕を耳につけて逆立ちになる

 逆立ちの出来ない子供の指導をどうするかを実際にやってくれた。これも目を開かされた。最初にやったのは「片膝をつきなさい」という指示である。片膝をつくことによって逆さになる恐怖心が薄らぐ。目線が床に近づくからである。
 次に「両腕を耳につけて逆立ちになりなさい」と指示した。ここで私が感心したのは、「両腕を耳につける」ことである。これは水泳の逆飛び込みの指導と同じである。
 両腕を耳につけることによって、脇の下が180度に近くなる。逆立ちをするときには脇が開けば開くほどやりやすくなる。それは着手をした時の有効着手角度が大きくなるからである。
 逆立ちの出来ない子供ほど有効着手角度が狭い。狭いということは、逆立ちになることをストップしているのである。動きを止めているのである。「両腕を耳につける」ことによって、有効着手角度が広くなり腰が高く上がり逆立ちの姿勢になっていく。
 前転の出来ない子供は着手の時に頭が上がる。逆さになるのが恐いからである。手はマットにつくが、頭は下がらない。そのために前転が出来ないのである。そのつまずきを取り除くために両腕を耳につけるのである。
 逆さになれても回れない子供がいる。それに対しては「お腹に足をつけなさい」と指示すると出来るという。この指示も効果的である。
 次は足うち跳び、横に下りるなどの動きづくりをしていった。このような指導によって側転が出来るための基礎感覚をつけていった。

5.起きる時にマスコットを見る

 耳ありウサギの次は川跳びの指導である。マットを5枚並べたがマットとマットの間を均等にしなかった。均等にしないということは、平行に並べないことである。
 なぜ均等にしないのかというと能力に応じた川跳びをさせるためである。能力のある子供は広いところを跳び越す。狭い所から始めてだんだん広い所でも跳べるように出来る工夫をしたのである。
 次のステップで行った。実に細かいステップになっている。

① とにかく川を渡る
 「ジャングル探検に行きます。マットとマットの間は川です。川に落ちると人食い魚に食べられてしまいます。魔法の薬をつけてあげます。塗られた手だけは大丈夫です」
 と言って、とにかく向こうへと渡らせた。

② 自分がどっち向きか確認させる
 たち足が右足か左足かで側転の向きが変わる。きき足を見つけ、手-手-足-足の順序を確認させる。

③ 片足で止める
 ここが新しい指導があった。「片足で立ちなさい」という指示はする。ところがなかなかそれが出来ない。安武氏は側転した後、

耳ありウサギで前へ向いてごらん。止まったら前を向きなさい。

と指示した。耳に両手をつけたまま、片足で90度回転させるのである。そうすると体は正面を向く。ここがポイントなのである。片足で着地したあとの指導を具体的にしてこなかった。
 「止まったら前を向きなさい」という指示は効果的である。この指導が今までなかったので、側転のつまずいている子供は出来なかったのである。

④ 円盤回りで起きる時、マスコットを見る
 円の中央にマスコットを置く。そして、左手a右手と着いて立ち上がるときに、

起きる時にマスコットを見なさい。

と指示する。すると立ち上がることが出来る。視点を固定することによって動きが出来るのである。川跳びの段階でリズムの方向を指導する。
 側転をさせる時に手と手の間に目玉を置いて行う方法もある。安武氏が行ったのは、
 バスケットボ-ルのセンタ-サ-クルを活用し、その中央にマスコットを置いて視線を固定化する方法であった。
 この方法は初めて知ったが、運動の苦手な子供には効果的である。

6.側転がやさしいのは、視線がなくならないから(側転診断)

側転をマットで行い、足型・手型を置いて側転が出来ているかを診断していった。手と肩が直線上になったら合格である。運動経過を教えてあげるのである。自分の動きは自分では分からない。
 そこで、足型・手型を置いて評価するのである。内回り型と外回り型があるという。

 内回り型:脇の開きが少なく腰が上がっていない(最初の手が一歩目から大きく横へずれる)
 外回り型又は最後の足の乱れ:視線を途中で失っている。

 側転がやさしいのは、視線がなくならないからだと説明された。視線が動きを引き出しているのである。
 最後にゴムによる矯正を指導された。ゴムの高さによって矯正する場所が違うことを学んだ。高い位置、膝の位置でゴムを張って指導したことがある、しかし、何のために ゴムの位置をかえるかについては深く自覚しなかった。安武氏の資料には次のように書かれている。

① 膝の高さを向こう側に超える:脇の開きと最初の捻り
② 頭上の高さを足で引っかける:腰を上げる、膝を伸ばす
③ 腰の高さを手前に着手して回転:回転後半の手の突き離しと立ち上がり

 資料を読んだだけでは理解できなかったであろう。実際にゴムを張り、脇の開きをしてくれたために理解出来た。腰を伸ばすゴムの張り方と脇の開きを作るゴムの高さは異なるのである。

 以上の指導を約1時間行ってくれた。感じたことは、側転までの道筋が大変きめ細かいということである。
 これだけきめ細かくしていけば、誰でも楽しく出来るようになるであろう。実際に私もこれらの方法で指導してみたいと思った。


0回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド