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TOSSランドNo: 2320022 更新:2012年12月12日

筆入れを隠されたときの指導


「筆入れがなくなりました」と、光一(仮名)が私に言った。
給食時間での出来事である。
私は、光一から詳しく事情を聞いた。
    3時間目の国語の時間までは筆入れはあった。
    隣の席の涼子も、それは認めている。
    4時間目の家庭科の準備をしてB組の教室に遊びに行った。
    戻ってみると、家庭科の教科書の上に置いてあったはずの筆入れがなくなっていた。
「少し、先生に時間をください」と、光一にお願いした。
光一は頷いた。

 光一君の筆入れがなくなりました。
 3時間目まではあったそうです。
 もしかしたら、誰かの机の中かロッカーの中にあるかも知れません。
 申し訳ありませんが、食べるのを一時ストップして、自分の机の中とロッカー、鞄の中を捜してください。

生徒は一斉に動き出した。
秋子・亮・直樹の3人は、黒板の裏・掃除用具箱・教卓の引き出しなどを捜してくれた。
私は、A組・B組の教室でも、同じことをお願いした。

物が隠された場合、次のような指導がなされることがある。
    「イタズラをした人は正直に名乗り出なさい。正直に出るまで帰しません」
こうした指導を、私は取らない。
正直に名乗り出なかった場合、教師の権威が崩壊するからである。
極めて危険な指導方法だと、私は思っている。
私は、イタズラを学年全員に伝えた。
イタズラをした者は「自分がやったこと」は知っている。
それを見ている仲間が必ずいる。
教師には言わないまでも、誰がイタズラの犯人かを生徒は知っている。
私は、学年の生徒全員に捜すようにお願いした。。
生徒の間では、次のような会話が生まれることになる。
    「犯人はアイツだぞ」
    「筆入れを隠すなんて、アイツは卑怯だ」

中学生は、仲間同士の評判をすごく気にする。
教師を裏切っても、仲間を裏切ることはできない。
教師の知らない生徒の世界で、制裁を受けることになる。
よほど根性が曲がっている者でなければ、こうした制裁に耐えることはできない。
昼休みや放課後、そっと筆入れを元の場所に返すことになる。
事実、この日も放課後に浩司のロッカーから筆入れが見つかった。
誰かがそこに置いたのである。
光一の顔に笑顔が戻った。

翌日の朝の会で、次のように話をした。

 昨日の放課後、光一君の筆入れがロッカーの中から見つかりました。
 全員のロッカーの中を、昼休みに確認しました。
 ロッカーの持ち主が犯人ではありません。
 みんなが帰った後、イタズラした人が「悪いことをした」と反省をして返したのでしょう。
 その人には、まだ良心が残っていたようです。
 「バカなことをしてしまった」と後悔しているはずです。
 だから、先生はあえて犯人を捜そうとは思いません。
 誰も知らなくても、その人は「自分がやった」ことは知っています。
 中学2年生なんですから、後で「失敗した」と思うようなことはやめましょう。
 再度、同じようなイタズラがあった場合は、先生は厳しく指導をします。
 その点を覚悟してください。

「物を隠す」という行為は、最も卑劣なイタズラである。
許すことはできない行為である。
だからこそ、生徒のモラルに訴えたい。
心ある生徒を1人でも多く教師の側につかせるのである。
そしてイタズラした生徒を孤立させる。
意地を張れば張るほど、自分の評判が悪くなってしまう。
「仲間の評判を極度に気にする」という中学生の心理をついた指導方法である。


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