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TOSSランドNo: 6999597 更新:2013年10月26日

道「元服」の授業記録


井上好文氏実践/中学校学級経営,92,3月号より

★有田先生の実践は小学生に行われたものです。(『「道徳」授業研究91,11-12』)
★井上先生の実践は中学生に行ったものです。

2A通信 あっぷっぷ No97

  元服

12月6日(木)、4校時は公開授業だった。
道徳の授業を見ていただくことにした。
資料は、「元服」。出典は、東井義雄緒『子どもを見る目を活かす知恵』(P195明治図書、1986)
(著者の東井先生は、今年4月交通事故のため急逝された。ご冥福をお祈りしたい)。
なお、資料は、前日に配布しておいた。
4校時の始めを知らせるチャイムがなった。

指示1:

資料を読んだ感想を聞かせてください。

(      )

僕は今年三月担任の先生からすすめられて、A君と二人で○○高校を受験しました。○○高校は私立ではあるが、全国の優等生が集まってくる有名高校である。
 担任の先生から君達二人なら絶対に大丈夫だと思う、と強く進められて、僕も得意だった、父母も喜んでくれた。先生や父母の期待をうらぎってはいけないと思って、僕は猛れつに勉強した。ところがその入試でA君は期待どおりパスしたが僕は落ちてしまった。
 得意の絶頂から、な落の底へ落ちてしまったのだ。
 何回かの実力テストでは、いつも僕が一番で、A君がそれにつづいていた。だのに、その一位が落ちてA君が通ったんだ。(生成期の下の方が通ってしまったんです)
 誰の顔もみたくない、みじめな思い、父母は心配して、いつも部屋にとじこもっている僕のために、僕の好きなものを運んでくれる。やさしいことばをかけてくれても、それがよけいシャクにさわった。
 何もかもたたき壊わし、引きちぎってやりたい怒りに燃えながら、布団の上に横たわっていたとき、母が入ってきた。「Aさんが来てくださっているよ」僕は言った。「母さん、僕は誰の顔もみたくないんだ、とくに世界で一番見たくない顔なんだ、世界中で一番にくい顔なんだ、誰の顔か言わなくても分かっているだろう。帰ってもらっておくれ。」
 母が言った。「せっかく、わざわざ来てくださっているのに、母さんにはそんなこと言えないよ、あんた達の友だち関係はそんな薄情なの、ちょっと間違えば、敵・味方になってしまうような薄っぺらなものなの、母さんにはAさんを追い帰すなんてできない。いやならいやで、ソッポを向いていなさい、そしたらお帰りになるだろうから。」といって母は出ていった。
 身にしみるそのみじめさは、僕を追い越したことのない者に見下される、こんな屈辱があるだろうかと思うと、僕は気が狂いそうだった。
 二階に昇ってくる足音が聞こえる、布団をかぶって寝ている、こんな姿が見せられるか、胸をはって見せてやろう思って、僕は起きあがった。
 中学の三年間、A君がいつも着ていたよれよれの服をきたA君、涙を一杯ためて、くしゃくしゃの顔で、「B君、ぼくだけ通ってしまってごめんね。」やっとそれだけ言ったかと思うと、両手で顔をおおうようにして駆けおりて行った。
 僕は恥ずかしさが一杯になってしまった。思いあがっていたぼく。いつもA君なんかに負けないぞと、A君を見おろしていたぼく。この僕が合格して、A君が落ちていたら、僕だけ通ってごめんね、と慰めに行っただろうか。ざまあみろ、とよけい思いあがったにちがいないという自分に気がつくと、こんな僕なんか落ちるのが当然だと気がついた。
 彼とは人間のできが違うと気がついた。もし僕が通っていたらどんな恐ろしいひとりよがりの、おもいあがった人間になってしまっただろう。落ちて当然。ほんとうの人間にするために、天がぼくを落としてくれたんだと、気がつくと、悲しいけれども、この悲しみを大切にしよう。と出直すための決意みたいなものが湧いてくるのを感じた。
 ぼくは今まで、思うようになることだけが幸福だと考えていたが、A君のお陰で、思うようにならないことの方が人生にとって、もっと大切なんだということを知った。
 昔の人は、十五才で元服したという。僕も入試に落ちたお陰で元服できたようなきがする。

「このA君はすごい人だと思った。ふつうの人間だったら〈やった、あいつに勝ったぞ〉〈ざまあみろ〉という気になるのが本当だ。僕もそのようになると思う。人のことを思ったとしても〈一人で淋しいかな〉というくらいで〈僕だけが通ってしまってごめん〉とは思わない」
「〈あの人に負けない〉という気持ちは誰にだってある。落ちたときは相当ショックだったに違いない。でも、B君はA君のおかげで、何かを忘れていたことに気がついた。それに気がついたB君も偉い」
「A君は、B君と一緒に合格して喜び合いたかったんだろう」
  (略)
「テストの時は、いつもAくんよりB君の方が点数が良かったから高校に受かるのが当然だと思っていたんだろう。だから、A君は受かったがぼくは落ちたということを聞いたときにはとてもショックだったと思う」
「A君の顔を見たくないという気持ちもよく分かる。でも、このことをきっかけに〈自分はまちがっているんだ〉ということに気づき、元服できたB君は素晴らしい」
 ・・・・・・・・・・

A君がすごいという意見とB君の方がすごいという意見に分かれた。
そこで次の用に尋ねた。

発問1:

すごいのはA君ですか。B君ですか。

A君と思う人はノートに「A」、B君だと思う人は「B」と書くように指示した。

3分まった。

B君派から意見を聞くことにした。

「B君はおそらく今まで大きな失敗をしたことがなかったんだろう。それだけに、高校入試に失敗したことは相当ショックだったに違いない。それにもかかわらず、A君のたった一言で立ち直ることができたB君はやっぱり立派だ」
「B君は、最初は、〈A君の顔なんか見たくねーや〉とさんざん悪口を言っていたけど、A君の〈ごめん〉という一言で〈落ちてよかった〉と思うようになったから、B君はすごい」
「大事なものがあることに気がついたから」
 ・・・・・・・・・・

次にA君派の意見を聞いた。

「自分が悪いことをしたわけでもないのに、あやまりにいったA君はすごいと思う。A君があやまりに行ったお陰でB君は自分が思い上がっていたことに気づいたし、思うようにならないことの方が人生にとって大事なことなんだということが分かった」
「B君を立ち直らせたのは、A君である」
「A君が涙を浮かべて言ったのは、本当の友だちだったからだろう。他の人から言われたのなら余計に腹を立てるかもしれない」
「A君の気持ちも知らないで、一人で落ち込んでいたB君は情けない」
「B君が落ちたのはA君のせいではない。それをB君の家にあやまりに行くなんて私なら考えられない」
「私も〈B君、ぼくだけが通ってしまってごめんね〉なんて言えない」
 ・・・・・・・・・・

反論がないか尋ねた。

「B君は合格する自信もある程度あっただろうし、これまで負けたことのないA君だけが通ったら、誰でもショックを受けると思う」
「あれだけのショックから立ち直ったのは、やっぱりすごい」
「でも、その一言を言ったのはA君だろ」
「A君が尋ねてこなかったら、B君はそのことに気づかなかったかもしれない。そんな友だちを持っているB君は幸せだ」
「A君〈ごめん〉というたった一言で、〈落ちてよかった〉と思うようになったんだから、やっぱりB君はすごい」・・・・・・・・・・
   (後略)
★有田実践では、討論のあと次の発問・指示が行われている。

この文のいいたいことは。(  )の中にどういう題を入れるか。


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