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TOSSランドNo: 1235142 更新:2012年12月10日

「消えた八月」(栄谷温子作詞黒沢吉徳作曲)の指導法


混声三部合唱「消えた八月」( 栄谷温子 作詞 黒沢吉徳 作曲 ) を指導するときのポイントを、音楽の授業はもちろん、合唱コンクールなどの行事の時、担任の先生や生徒さんにもわかりやすくまとめました。

「原爆」を歌った歌である。悲しく、苦しいけれど、歌われている情景を想像しながら、訴える歌にしよう。強弱を効果的につけるのがポイント。

1.1拍前全員で息を吸う

「ハッ」という吸う音が聞こえるくらい、「あ」の口でたっぷりと。「あ<つ<いー」と第一声から音をつなげて、奥行きのある深い歌い方をする。「ひ<か<り<のー<中>でー」と「はか」を頂点に歌う。模範演奏を聴くと、そのままのテンポで歌うものと、「な」にテヌートがついていることから、「中で」をすこしゆっくりと歌うものがある、どちらでも、お好みで。
「ぼくは~」「いちまいの~」と語尾をていねいに歌う。「絵に」の「絵」も「えにー」というより「えーにー」と少し長めに発音する。「なった」は「なあったー」くらい「っ」を短く大切に、「た」もていねいに歌う。この部分で音楽が揺れると、雰囲気が出る。

2.「熱い風の中で」はテンポはそのまま

「風」のK、Zをはっきり発音しながらクレシェンドすると、熱い風が吹く。「君は<君は<ひとつの」と3段階に大きくする。KやHははっきりと。「せー・きー・ぞ・お・に・なったー」とひとつひとつをはっきりとうたう。息が続かなければ「石v像に」でブレスしても良いから、「たー」をそのままの勢いで7拍十分に伸ばすこと。ここから音楽が動く。

3.男女がずれて歌う。

後から歌う男声は強調。繰り返すごとにだんだん盛り上がっていく。「僕は<僕は<僕は壁に」と「壁に」を頂点として「解>け>たー」でいったん高揚を沈める。
そしてまた、同様に男女でずれて歌い始める。
「君は<君は<君は」と3段階に大きくして、今度はそのまま「だ・い・ち・に き・え・たー」と頂点を作る。「たー」を弱めないで、全員で十分に伸ばす。次の小節のあたま、ピアノ伴奏のアクセントのある八分音符のところで切る。以降、曲の雰囲気が変わる。

4.以前の平和な、幸せな情景を歌っている。歌う人の表情もしあわせに。聴衆も穏やかな気分になれるように、「幸せ」を歌う。

「僕の/好きな/八月は」と言葉が伝わるように歌う。
女声の「m」は、男声を引き立てるように。風鈴を鳴らし、ひまわりを揺らすそよ風か木漏れ日か、そういうイメージで。男声から女声にメロディーが受け継がれる。「八月は」の「はー」でクレシェンドするわけだが、すぐに大きくしないでできるだけ後ろで、次の小節にはいって「はーーーーーー<-<-」とrit.のあたりからぐぐっと大きくすると効果的。そのままの勢いで「銀河のもと・・・」と幸せを歌う。「星祭り」の「祭り」でいったん小さくしてから「りー<-<-」で再びぐぐっと大きくする。今度は、そのまま幸せを歌うのではなく、「星祭り」でだんだん小さくして、次の悲劇を予感させる。「星」のHOをはっきりていねいに意識して発音すること。

5.ピアノの和音で場面が暗転する感じ

「し・か・し すべては き・え・たー」とはっきり歌う言葉とまとめて歌う言葉を区別して歌う。SやKの子音をはっきりと長めに発音することが大切。特に最後の「た」はため息が混じるくらい子音を長く。ここから場面が変わる。

6.最初は男声がメロディー

「熱い」のTSUの子音の発音、「いー」をだんだん大きくするつもりで伸ばし、次の「か・ぜ・とー」をよりはっきり歌う。「熱い風と」は一息で。ソプラノの「熱い」は強調でもあり、叫びかもしれない。「空気の」の「のー<-<-な・か・でー」とぐーっと盛り上げ、アクセントではっきり歌う歌い方。「血の」の「ち」をはっきり発音し、男女のずれを明確に。「ちーのー いっ・て・き・す・ら 流すことなく」と区別して歌う。「いっ<て<き<す<ら な<が<す」とクレシェンドし、「ことなくー」を頂点にする。「くー」が弱くなったり、みじかくなったりしないように、全員で勢いを保ってぐーっと伸ばし、そのまま次に入る。

7.ほんのすこし速く。早口でしゃべるように歌う。

息継ぎを一瞬でたっぷりする方法を身につけること。速くても、言っている言葉が伝わるように「僕は/影に/なった」と言葉を強調して歌う。また、「僕は影になったっ」ではなくて「なったー」である。全ての言葉の語尾を大切に。4パートの厚みのあるハーモニーを聴かせるところ。どこかのパートだけ大きいとか、どこかのパートが聞こえないということがないように、全員でブレスを揃えて緊張感を保って歌う。この曲最大のヤマ場である。

8.「アー」をだんだんクレシェンドしながら歌う。

これは私は悲痛な叫びととらえている。allargando(強くしながらだんだんゆっくり)
「ふるさとに」は全員が同じ音を歌う。みんなの気持ちをこめてずれることのない「ふるさと」を歌う。ここから、だんだん曲にブレーキがかかるように、熱さが冷めていくようでもあり、日にちが過ぎていくようでもあり。「く<ろ<い<あ>め>がー」と「雨」を頂点に、 「降るー」で最初の音楽に戻る。「ふ」は「HU」あるいは「FU」、どちらにせよ、子音をはっきり発音しないと「うるー」ではだいなし。

9.最初と同じ音楽に戻る。最初と同じに歌うか、最初よりも、強弱やテンポの変化を大げさにするか、回想として、強弱やテンポの変化を少しにとどめるか、お好みで。

特に、最後の「石像になった」の部分をゆっくりにする。息が続かなければ「せきvぞうになったー」でもよいから、「たー」を全員できちんと伸ばす。歌い終わった後、ほんの数秒の静寂を感じて指揮者は手を下ろすこと。

つらいことだけれど、原爆の悲劇をもう一度、何らかの形でみんなで勉強する。映画でも、写真でもいい。その中で「絵になった」「石像になった」「影になった」というイメージが共有できることで、聴衆に訴える歌になる。


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