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TOSSランドNo: 5162532 更新:2013年10月05日

0歳からのスタート  心の教育   水野美保


1 幼児期にこそ必要なJVE学習

 1993年秋、向山洋一氏によって呼びかけられた『JVE学習』。
 これは、日本中のすべての小学生に、年間3時間、自分のためではなく、人の役にたつ学習をというものであった、このお話を聞いたときに、これは幼児にも絶対必要だと感じた。
 現代都市部では小学校受験、幼稚園受験と、受験が低年齢化する中、ともすれば、ペーパー学習や自分だけがよければ
よいう方向に流れがちになっている。また、一人っ子か兄弟が少ないなかで幼児は家族みんなに大事にされる状態が強くなっている。そのような中、自分の家族の役に立つ喜び、友達や自分のまわりの人の役に立つ喜び、更に見も知らぬ人であ
るけれども、困っている人の役に立つ喜びを、1人でも多くの幼児が体験することは、その後の人生にも大きな影響を与え
ずにおかないと思う。以下、その実践を紹介する。

 2 アイマスクをしての各種体験

 3時間の学習はアイマスクをつけさせて、日常何気なくやっていることを再体験させることによって、目が見える時との
違いを認識させた。そしてその感想を綴らせ、最後に「自分のできること」を文章にまとめさせた。

1日目

① これは何ですか。

《準備するもの》写真(視聴障害者用ブロック)・クーピーの黄色・拡大プリント
発問・指示
・プリントの2つの絵を黄色で塗って下さい。
・この絵のようなものを、どこかで見たことがありますか。
・この写真を見てください。これは視覚障害者用ブロックと言います。右の方を点状ブロック、左を線状ブロックを言います。かっこの中に今の名前を書きましょう。
・それぞれには、どんな意味があると思いますか。
・線状ブロックの方は、線ののびているいる方に「進め」、点状ブロックの方は「止まれ」を表している。絵の下の( )の中に書きましょう。
・この2つのブロックがどこにあると思いますか。

② 見えないってどんなこと?

アイマスクをして、折り紙を折る、椅子から立ってその場で少し動く、1メートル離れた所から歩いてきて、机の上に
あるものの中から指定されたもの取る、という活動をした。これは、通常ならば何の苦労もなくできることである。
 この活動は特に何も言わず、やった後に感想だけを発表してもらい、ひとこと感想文を書いてもらった。
 折り紙のところでは、
「おもてうらがわからなかった。」
「むずかしくて、かどがわからなかった。」
 などが多く、一日目全体の感想としては次のようなものであった。

めがみえないひとかわいそう。てんじょうブロックがいっぱいあればいいな。
 全員のうちにてんじょうブロックがあったらいいな。めがみえなくてもらくだから。

 2日目

① テレフォンカードはどちらから?

幼児でも6歳くらいになると、外から電話をかけることもある。その体験にからめて、テレフォンカードに目を向かせ
た。(以下T=教師、 C=子ども)
T 昨日は、目の不自由な人のことと、歩くときのブロックについて勉強しましたね。今日は、皆にいくつか聞きたいことがあります。皆は外から電話をかけたことがありますか。
C ある。
T そのとき、ただピッ、ポッ、パッと番号を押してもつながらなね。どうしたらいいんだろう。
C お金、カード。
T そうだね。お金を入れないとかかりません。では、これを見たことがありますか。(テレカを見せる)
C カードだよ。
T そうだね。では、アイマスクをつけて下さい。
  これから、みんなに1枚ずつカードを渡します。前に電話があると思って、カードを差し込んでみて下さい。
 (表裏がおかしかったり、向きがおかしい子がいる)
  カードのまわりをゆっっくり触ってみましょう。小さな窪みがあるのがわかりますか。
  この窪みは、カードを入れる時にどちらから入れる分かるようにするためにつけられています。窪みに右手の親指を当 
てて、そのまま電話機に向けて入れます。やってみましょう。(間)
アイマスクをはずしましょう。もう一度カードを見てみましょう。窪みがあるのが分かりましたね。
このように、目の不自由な人のためにカードも工夫されています。

② 点字を読んでみましょう。

T (公衆電話の拡大写真を見ながら)これは、目の不自由な人も使える電話です。カードはどこで出し入れしますか。
  そう、ここですね。何かボツボツがありますね。これは何かわかりますか。
  大きくして、点を黒くしたものを配ります。
  実は、この点は目の不自由な人が指で触るとわかる文字が書いてあります。
 「点字」と言います。みんなで読みましょう…。わからないね。
  では、点字について少し勉強しましょう。
 (最後に点字の50音表を使って電話のカードを差し込み口の言葉を読む。)

③ 点字を書いてみましょう。

この後、点字絵本に触れたりしながら、点字が6つの点のまとまりで1つの文字を表していることを指導し、「あ・い・
う・え・お」などと50音表を見ながら書いてみる。そして最後に2日目の感想を短作文で書いた。

3日目

① 歩くとどんな感じ?

子どもたちを15人ほどのグループに分け、1グループがアイマスクをつけ、5メートルほど離れた所までボールを取り
に行く。他のグループは声をかけなないで見守る。途中でマットで作った山など障害物をおいておく。これを交互に行う。
 子ども達は、わずか5メートルほどの距離をまっすぐ進むだけなのに、思うようにいかず、かなりの時間がかかった。また、立って進む者はいず、床に這って進んだ。周りの子どもたちは声をかけたい様子がありありと見えた。特に最初にアイマスクをしたグループの子どもたちは、自分たちがその大変さを肌で感じていたので、何とかして援助してあげたいという思いがあふれていた。
 この体験の後の子どもたちの一言感想文では、ボールを探していた時には、
・こわかった ・もういやになった
・全然わからなかった ・みんないじわるだと思った
などが多く、反対に見守っていた時の気持ちとしては、
・声をかけたかった   ・教えてあげたかった
・手をひっぱってあげたくなった
などが多かった。初めのころは、キャーキャー言いながら遊び感覚でやっていた子どもたち
が、うまくいかず、だんだん疲れて、大変さと思うようにならない不自由さを感じているのが見ていて感じられた。
 この体験の後、目の不自由な人はいつもこの大変さを味わっているいることを話し、色々な場面の絵(横断歩道での信号待ちとか道に電柱や段差があるときなど)を見せて、それぞれの場面でどんな手助けができるか発表してもらった。
・一番大切なことは必ず「声をかける」こと
・声をかけずにいきなり引っぱったりすることはとても危険であること
・まず、「大丈夫ですか」「と声をかけ、次に「何かお手伝いすることはありますか」と声をかけるようにすること
・ふざけて違うことを言ったり、嘘を教えたり絶対にしないこと
などを子どもたちに伝え、最後に3日間の感想と自分にできることを作文に書いてもらった。

 めがみえないひとのてをにぎって、こえをかけてめがみえないひとのために、わたしはなんでもしてあげたい

 てんじょうブロックと、せんじょうブロックのことがよくわかった。3日でこんなにいろんなことがわかってよかった。

3 システムだった指導を

 わずか3時間の学習であったが、子ども達は教えられたこと、体験したことを通して、自分が人のためにできることを考えたように思う。
 今まで幼児に対しては、「自分でできる喜び」と「誰かにしてもらう喜び」が多く与えられていたように思う。しかし、もうひとつ「人の役に立つ喜び」をたくさん体験させることが、人間としての心を育てる一筋になると思う。また、もうひとつ大事だと思うことは、保育園・幼稚園の4歳くらいから、毎日の活動の中で教師がシステムだった指導をきちんとすべきだということである。誰かが仲間はずれにされているとき、物の取り合いでけんかをしているときに、一方的に注意したり言い含めたりするのではなく、子どもたち自身にいろいろな問題を投げかけ、考えさせ、話し合わせるということである。
 幼児は先生は「みんなで仲良く遊びましょう」といえば「はーい」と答えるし、「順番を守りましょう」と言えば、「はーい」と答える。しかし、日常生活の中ではそうはいかない。これは、幼児が嘘をついているというわけでなく、一方的に言われたことは思考は働かず、現実の出来事とはなかなかリンクしないからではないかと思われる。だから、例えば、仲間はずれのような問題でも、先生がすべて言ってしまうのではなく、子ども自身に考えさせ、自分の言葉で考えを言わせることが大事だと思う。
 前ページのような絵を見せ、自分がAの位置にいたら、Bの子どもに何と声をかけるか、1人1人に発表してもらう。それを板書し、もう一度全員で読む。実際には年中児の子ども達からでてきた意見として、
・一緒に遊ぼうよ
・こっちにおいでよ
・いっしょにやろう
など、似てはいるが10近くのものがでた。(15人クラス)
 日本中の保育園、幼稚園でこのような活動を行い、年長児の最後の締めくくりとしてJVE学習をする。このような流れが、幼児教育界に定着してきたとき、人間としての心の教育のスタートがきられるように思う。


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