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TOSSランドNo: 2473760 更新:2013年09月01日

【吉田高志氏追試実践】「蒙古軍を退けた理由は何か?」


【吉田高志氏追試実践】「蒙古軍を退けた理由は何か?」

1.授業の概要

 私がかつて、学生だった頃、「全国社会科セミナー」で衝撃を受けた授業である。福井県・吉田高志先生の「蒙古軍を退けた理由は何か?」というフラッシュサイトを活用した授業である。それを、6年生40名の社会科の授業で追試した。
 通常の教科書では、二度に渡る嵐という奇跡が、元寇での強大な軍事力を誇る蒙古軍を退けた理由と教えている。
 しかし、実は、日本のリーダーだった弱冠18歳だった北条時宗の類まれな機転や、鎌倉武士たちの死を恐れぬ奮闘ぶりがあったことが、歴史的事実である。そのことに、事実を淡々と伝えながら、教師は教えずに、自ら気付かせる授業である。

2.授業の内容

 サイトを開いて、蒙古軍を退けた理由として考えられるものとして次の5つを紹介する。

1.2度にわたって暴風が吹いた
2.蒙古軍は海を渡る戦いには不慣れだった
3.北条時宗を中心とする鎌倉武士の奮戦
4.蒙古軍を統率していた指揮官同士の対立
5.蒙古軍の主力は高麗や南宋などの征服された国々の兵士であり士気が低かった

発問1:

 もちろんこれらの理由が重なり合って蒙古軍を敗退させることができました。しかし、この中からあえて戦いの勝敗を決める最も大きな原因となった理由を1つ選ぶとするとそれはどれだと思いますか。

子供たちの意見は次の通りだった。

1 2度にわたって暴風が吹いた 31名
2 蒙古軍は海を渡る戦いには不慣れだった 5名
3 北条時宗を中心とする鎌倉武士の奮戦 0名
4 蒙古軍を統率していた指揮官同士の対立 0名
5 蒙古軍の主力は高麗や南宋などの征服された国々の兵士であり士気が低かった 2名

(1)文永の役

 ここで、文永の役の蒙古軍の動きをサイトを使って説明する。

説明1:

 蒙古軍は、高麗の合浦を10月3日に出撃し、10月5日に対馬に上陸します。
 対馬では非常に残虐な行為を働いたことが記録に残されています。
 続いて10月14日には、壱岐上陸します。ここでもたくさんの村人を虐殺しています。
 そして、10月19日にまず、一部が博多湾の今津長浜に上陸します。これは、陽動作戦でした。
 続いて10月20日に畑湾に主力が上陸しました。

発問2:

 蒙古軍のねらいは、どこの占領だと思いますか。

 サイトに示してある地図をもとに博多か太宰府かを考えさせる。
 当時の九州の政庁は、太宰府にあったことを説明し、太宰府の占領が目的だったことを話す。
 続いて、夜になって日本軍が水城に引き上げ、蒙古軍が博多湾にもどる様子をサイトを使って見せる。

説明2:

 蒙古軍におされ、日本軍は水城まで撤退します。水城とは、600年前に太宰府防衛のため作った城です。
 当時、日本軍は白村江の戦いにおいて唐、新羅の連合軍に敗退し、彼らの日本侵攻を食い止めるため天智天皇が建設したのです。
 一方蒙古軍は非常に不可解な行動をとります。蒙古軍は、海に引きあげてしまうのです。
 渡海作戦で最も危険なのは、上陸です。せっかく築いた陸上の陣地を捨てて、海に部隊を引き上げるということは通常では考えられないことです。

発問3:

 この蒙古軍の行動については、2つの説があります。いずれの説を支持しますか。
 ①この作戦は脅しが目的であり、その目的をとげたので撤退した。
 ②日本軍が意外に強く、予想外の被害が出たため撤退した。

 ①については、その後再びモンゴル帝国の使者がやってきていることが根拠となっていること。
 ②については『元史』日本伝に「而官軍不整 又矢尽」という一節、つまり、軍が整わず持っていった矢も使い果たしてしまったという記録が残っていることが根拠になっていることを説明する。

(2)弘安の役

 先に紹介したサイトを使って弘安の役の蒙古軍の動きを説明する。

説明3:

 弘安の役には、蒙古軍は2つの軍隊を送り込んできます。
 1つは、東路軍といって高麗から出発した軍です。
 もう1つは江南軍といって中国本土から出発した軍です。
 もともとは2つの軍が合流して日本に攻め込む計画でしたが、江南軍の大将が病気になってしまい、江南軍の到着は2ヶ月近く遅れることになります。
 では、先に出発した東路軍の動きを追ってみましょう。
 5月3日に高麗の合浦を出撃し、5月21日に対馬に上陸しています。
 続いて、5月22日には壱岐に上陸し日本軍の守備隊を全滅させています。
 とここまでは、同じなのですが前回の文永の役と違って蒙古軍は、6月6日に長門地方に別働隊を送り込んでいます。

発問4:

 長門地方に別働隊を送り込んだ目的は何ですか。

 これは、九州と本土を分断するためだったと考えられる。
 子どもたちが気づかない場合は説明する。
 子供たちは、「恐ろしい。」「よく考えているな。」と元軍の頭の良さに驚いていた。

説明4:

 しかし、この別働隊は、北条時宗が、この攻撃を予想して、配置していた日本軍に破れ全滅してします。
 実は、長門地方にも石塁を作って配備していたのです。

「すげ~!!」「北条時宗、頭いい!!」という反応である。

発問5:

 博多に侵入した蒙古軍は、前回の文永の役の時にはなかったものを見ます。
 それは何ですか。

 これは、子供たちは、既に予め学習しているので、すぐに答えられた。
 「石塁です。」

説明5:

 博多湾からの上陸をあきらめた蒙古軍は志賀島からの上陸をはかります。しかし、激戦の末、日本軍に破れてしまいます。
 上陸をあきらめた蒙古軍は、壱岐にいったん引き上げます。日本軍はそこに小舟で急襲をしかけています。
 7月2日。東路軍は待ちに待った江南軍と合流をします。日本軍はここにも急襲をかけています。
 そして、7月30日。鷹島から博多湾へ移動中の蒙古軍を暴風が襲います。この暴風で蒙古軍は壊滅してしまいます。
 次に、蒙古軍と日本軍の戦力について考えます。
 以下がそのデータです。文永の役の蒙古軍は4万人といわれています。
 しかし、船の漕ぎ手や食糧を運ぶ人たちなどの非戦闘員が数多く含まれていて実際に戦える戦力は2万人だと考えられています。
 同じように弘安の役で実際に戦える戦力は東路軍2万5千、江南軍6万と計算されています。

【文永の役】
〈蒙古軍の兵員数〉
   蒙古軍総兵力   40600人
    梢工 水手   15000人
   戦闘部隊兵力   25600人
    兵站       5000人
   交戦兵力     20000人
 〈日本軍の兵員数〉
   交戦兵力      5300騎
   交戦兵力     10000人

【弘安の役】
 〈蒙古軍の兵員数〉
   東路軍総兵力   42000人
       交戦兵力 25000人
   江南軍総兵力  100000人
      交戦兵力  60000人
 〈日本軍の兵員数〉
   長門地区交戦兵力 25000人
   博多湾交戦兵力  40000人
   京都地区交戦兵力 60000人
 「元寇ー本土防衛戦史ー」(陸上自衛隊第四師団司令部 1963年)

発問6:

 攻撃する側と守る側では、どちらが数多くの兵を必要としますか。

これは、イメージからして、「攻める方だと思います」という意見が多かった。

発問7:

 攻める側と守る側の比率は通常どれぐらいで対等と考えられていますか。

通常は「3:1」だが、この「兵法の常道」を子供たちは知らない。
すぐに教えた。

説明6:

 文永の役も弘安の役も交戦兵力の数は蒙古軍が上回っています。
 しかし、攻める側と守る側の比率から考えると文永の役は「2万対1万」、弘安の役では「8万5千対4万」といずれも「3:1」を越えてはいません。
 数の上では、蒙古軍が圧倒的に有利とは言えないのです。

改めて、次の発問をする。

発問8:

 蒙古軍を退けることができた最も大きな原因となった理由を1つ選ぶとするとそれはどれだと思いますか。
1.2度にわたって暴風が吹いた
2.蒙古軍は海を渡る戦いには不慣れだった
3.北条時宗を中心とする鎌倉武士の奮戦
4.蒙古軍を統率していた指揮官同士の対立
5.蒙古軍の主力は高麗や南宋などの征服された国々の兵士であり志気が低かった

 子供たちの考えは次のように変動した。

1.2度にわたって暴風が吹いた。(31名~0名)
2.蒙古軍は海を渡る戦いには不慣れだった。(5名~0名)
3.北条時宗を中心とする鎌倉武士の奮戦。(0名~38名)
4.蒙古軍を統率していた指揮官同士の対立。(0名~0名)
5.蒙古軍の主力は高麗や南宋などの征服された国々の兵士であり志気が低かった。(2名~0名)

 子供たちの意識が、がらりと変わった。この偉業を弱冠18歳の北条時宗がリーダーとして行ったことを教えると、衝撃が走った。教科書と資料集だけをなぞっていたら、絶対に到達できない。
 この授業の後に、かつて大河ドラマ「北条時宗」で描かれた「文永の役」「弘安の役」の戦いの映像を見せた。
 実際にどのように鎌倉武士たちが、初めての戦い方、初めての武器に苦戦しながら奮闘したのか、子供たちの記憶を強化することができる。


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