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TOSSランドNo: 1068721 更新:2013年08月21日

為政者の立場になって考える「禁教令」の授業


為政者の立場になって考える「禁教令」の授業

1.この授業について

 教科書での「禁教令」の扱いは、当時の為政者がまるで、自分の言う事を聞かない邪魔な人々を弾圧した側面ばかりが強調されている。しかし、キリスト教は、当時ヨーロッパ列強諸国の植民地主義に利用されていた。
 ヨーロッパが「大航海時代」と唄う時代は、アフリカ・アジア・アメリカ諸国に、新天地を発見したのち、原住民にまず、キリスト教を教えた。複雑な教えを理解させるのではなく、「聖歌」の美しいハーモニーで、分かりやすく魅了したという。次に、商人を送り込んだ。最後に軍隊である。
 日本の為政者がそのことに気付き、貿易での莫大な利益を天秤にかけてでも、イエズス会系のキリスト教の危険性を理解していたことで、日本が植民地にされずに済んだ側面がある。また、本時では扱わないが、日本にも当然、聖歌は入ってきたが、「賛美歌312番(いつくしみ深き)」にように、キリストを賛美する歌詞を入れ替えて、小学校6年生の音楽で習う「星の世界を」などのように、ただ美しい風景を歌う歌詞に換骨奪胎してしまっている。
 古来の日本人が、外国から入ってきたものをそのまま使用するのではなく、自分たちに合う形で、作り替えてしまう逞しさも、日本を救ったことになる。
 大切なのは教える側が、歴史観を示すのではなく、様々な見方ができる歴史的資料を提示して、子供たち自身に考えさせていくことである。また、公立学校では、宗教教育は禁止されているが、宗教に関わる歴史上の事実関係について、子供たちに教えるのは禁止されていない。このような歴史の授業を通して、子供たちに「歴史上の事実」を様々な見方ができるよう能力を身につけてほしい。

2.実践内容

(1)禁教令のマイナス面

説明1:

キリスト教で歌われる聖歌というお祈りの1つです。

聖歌の映像を見せる。
you tubeなどで、「聖歌」を検索すればたくさんでてくる。
「賛美歌312番(いつくしみ深き)」などは、小学校6年生で習う「星の世界を」の原曲であるので、この授業のテーマにうってつけである。

発問1:

「どんな感じがしますか?」

子供「きれい」・「神秘的」・「心が洗われる」
このような感情を、昔の日本人も、植民地化されたアジア・アフリカ・アメリカ諸国の人々ももったはずである。

説明2:

同じく、キリスト教で使われるお祈りの唄の1つです。

かくれキリシタンの聖歌「おらしょ(Orasho)」などを聞かせる。
これも、you tubeを検索すればすぐに出てくる。
最初の聖歌とは異なり、お経のような一種独特の唄が聴ける。

発問2:

「どんな感じがしますか?」

子供「暗い。」「怖い。」「隠れている感じがする。」などと答える、

説明3:

「これは、「かくれキリシタン」と言われる日本のキリスト教の1つです。
どうして、このような感じになったのか、紹介ビデオを見ます。」

NHKデジタル教材などのキリスト教禁止の映像を見せた。
教科書で学べる内容を一通り知ることができる。

説明4:

弾圧されたので、このような暗いところで、見つからない様にコソコソと信仰しなければなりませんでした。

(2)キリスト教伝来当時の為政者の反応

発問3:

「①織田信長」(サイトで出す)は、キリスト教を、どのように扱っていましたか?

保護していた。

発問4:

ところで、信長自身は、キリスト教徒になったのですか?

子供「いいえ」

発問5:

では、何のために保護したのですか?

子供「比叡山などの仏教の力を抑えるため。」
正解である。織田信長は、決して、キリスト教に心を奪われた訳ではなく、当時、自分に反抗的だった一向一揆・比叡山などの仏教勢力を抑える効果も期待して、キリスト教を保護し、利用しようとしたのである。
このような冷徹さは当時の日本のリーダーである3人に共通している。

発問6:

「②豊臣秀吉 バテレン追放令」(サイトで出す)は、キリスト教を、どうしましたか?

子供「弾圧した。」

「③徳川家康・家光」(サイトを出す)の時代になると、キリスト教は禁止されながらも、東南アジアに「日本町」という日本人がたくさん住む町まで作られていました。

発問7:

豊臣秀吉や、徳川家康・家光は、莫大な利益が出る貿易を捨ててでも、なぜ、キリスト教を禁止したのですか?

○キリスト教は、神の前では人は平等と言ったから。
○都合が悪かったから。

そして、とうとう、徳川家光の時代、「1612年 禁教令」が出されました。
何と、キリスト教を信仰した人は「火あぶりの刑」という残酷な方法で殺されました。

子供たち「宗教を弾圧するなんてひどい」などの感想が出てくる。
ここまでは、教科書通りの歴史観しか出てこない。

(3)世界の中のキリスト教布教

説明5:

日本が室町時代の頃、ヨーロッパで『大航海時代』が始まりました。
スペイン・ポルトガルが、最初に競争していました。

やがて、2つの国は各地で新しい土地を見つけては、植民地にしていきました。
すると、土地の奪い合いが始まり、戦争になりました。
そこで、キリスト教のトップだった「ローマ法王」に相談しました。
すると、『トルデシリャス条約』という喧嘩仲裁の約束をさせました。

子供たちはここまでの話で、キリスト教のトップがどんな仲裁をしたのか興味津津である。

説明6:

トルデシリャス条約の内容は、全世界の地図を持ってきて、「ローマ法王」が地図に線を引っ張り、こっちからこっちは、スペインのもの、こっちからそっちは、ポルトガルのものという風に決めました。

この内容に、子供たちは驚愕していた。
あまりにも、ヨーロッパの身勝手な条約だったためである。
しかし、それが当時の現実である。

子供たちから、「そこに住んでいる人はどうなるの?」と訊かれた。
そこで、山川出版から出ている高等学校用の世界史の教科書から、次の文を引用して読み聞かせた。

説明7:

スペインに土地を奪われた南アメリカに住んでいたインディオと呼ばれた人たちのその後です。

「ふつう、彼らはインディオたちの領主や貴族を次のような手口で殺した。地中に打ちこんだ四本の棒の上に細長い棒で作った鉄灸のようなものをのせ、それに 彼らを縛りつけ、その下でとろ火を焚いた。すると、領主たちはその残虐な拷問に耐えかねて悲鳴をあげ、絶望し、じわじわと殺された。」

「キリスト教徒たちはまるで猛り狂った獣と変らず、人類を破滅へと追いやる人々であり、人類最大の敵であった。非道で血も涙もない人たちから逃げのびたインディオたちはみな山に篭ったり、山の奥深くへ逃げ込んだりして、身を守った。すると、キリスト教徒たちは彼らを狩り出すために猟犬を獰猛な犬に仕込んだ。犬はインディオをひとりでも見つけると、瞬く間に彼を八つ裂きにした。
 また、 犬は豚を餌食にする時よりもはるかに嬉々として、インディオに襲いかかり、食い殺した。こうして、その獰猛な犬は甚だしい害を加え、大勢のインディオを食い殺した。」
高等学校検定教科書『世界史』(山川出版)より引用

教科書には、過酷な奴隷労働によって、インディオの人口が激減したグラフも掲載されている。
それも合わせて、提示してもよい。

説明8:

いきなりこんな風にはしません。
当時のヨーロッパのキリスト教徒は、アフリカ・アジア・アメリカ諸国に、新天地を発見したのち、原住民にまず、キリスト教を教えました。
複雑な教えを理解させるのではなく、授業の最初に聴かせた「聖歌」の美しいハーモニーで、味方に付けました。
次に、ニコニコしながら、商売をして一緒に儲けましょうといって商人を送り込みました。
そして、その国に様々浸透してから、最後に軍隊を送って、さっきのようなことになりました。

江戸時代中頃になると、アメリカ合衆国が誕生します。
しかし、「自由の国」と言われたアメリカもこのような現状でした。

スピルバーグ監督「アミスタッド」から奴隷貿易の現状を映した一部を見せてもよいが、
あまりショッキングになりすぎないように、子供たちの実態に応じて授業する。

発問8:

そんな中、1549年 鹿児島にキリスト教が到着します。
誰が日本にやってきたのですか?

子供「フランシスコ=ザビエル」
この流れで、名前が出てくると、「この人は悪人なのですか?」という誤解が出てしまうことがある。
その際は、当時日本にやってきた宣教師たちは、みんな純粋な気持ちで、いいものを広げようとしてやってきたことは事実です。
それに、キリスト教そのものがわるかったのではなくて、キリスト教を利用した人がよくなかったのですね。
と一言加える配慮は必要である。

発問9:

再度聞きます。秀吉や家康・家光は、なぜ、キリスト教を禁止したのですか?

子供たちは、ここまで来ると、自分の言うことを聞かなかくなるのが嫌だったからなどという一面的な見方だけではなくなってくる。
子供「キリスト教を使って、日本を植民地にするのを止めさせたかったから。」
子供「世界中で、キリスト教を使って、植民地にされている国々があったのを知っていたから。」
子供「日本人が、キリスト教によって、混乱して、日本を取られるのを防ぎたかったから。」などのグッと多様な意見が出てくるようになる。

説明9:

その恐れていたことが起きました。

「島原・天草一揆」を紹介する。
映像資料があれば、提示してもよい。

一揆の原因は、キリスト教の弾圧の他、領主の過重な搾取ももちろん挙げられるが、教科書には、その点しか紹介されていない。
きちんと資料を調べると、島原の反乱軍は、「ローマ法王軍」の助けを待って何日も籠城していたことが分かる。

説明10:

この一揆の後、「絵踏み」などをして、発見するシステムをも作りました。(踏み絵の写真を提示)
厳しく弾圧を仕掛けて行きます。
それでも生き残ったのが最初の隠れキリシタンです。

(3)鎖国の完成

説明11:

その後、とうとう「1639年に鎖国」をします。

指示1:

しかし、全ての国と貿易が禁止された訳ではありませんでした。
鎖国の命令を出した徳川家光が、貿易を許した国々を調べてノートに書きなさい。

<許された国>
オランダ
中国(明国~清国)

ここで、子供たちは「あれっ?」と思う。
オランダもキリスト教の国なのに、なぜ、許されているのかという疑問である。

発問10:

追放された「スペイン・ポルトガル」とオランダの違いは何ですか?
調べなさい。

子供「オランダは、スペイン・ポルトガルと同じキリスト教でもちょっと違ったから。」
子供「布教しないで、商売だけする国だから。」
教科書や資料集を調べさせると掲載されている。
オランダは、プロテスタントの国なので、スペイン・ポルトガルのイエズス会のように宗教抜きでの商談が成立したから。

指示2:

実はこれ以外にもあるのです。
調べなさい。

朝鮮王国
琉球王国(沖縄)
蝦夷

貿易している国々を挙げると、本当に「鎖国なの?」という意見が出てくる。
これも小さな意識の逆転現象である。


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