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TOSSランドNo: 8846520 更新:2013年08月20日

いじめは脳を傷つけている


いじめが原因で心身の障害をきたすことがあるという。
医学的にこれが認められるなら,「いじめ」は,犯罪とみなされる可能性がある。

一 いじめが原因の脳の疾患

 脳には,扁桃核という部位がある。
 東北大名誉教授の松沢大樹氏は,膨大な数の生きている人間の脳を検査している。
 その世界では,「イメージング脳科学の権威」と呼ばれている。
 扁桃核は,いじめを受けると傷が生じることが,研究で明らかになった。
 心が傷つけば脳にも傷がつく
 松沢氏は,研究の結果,「すべての精神疾患は脳内の「扁桃核」に生じる傷によって起きる」と結論づけている。
 傷というのは,比喩ではない。
 本当に脳に「穴」ができるのだ。
 松沢氏が開発した断層法という撮影方法によって,その傷がとらえられるという。
 http://www.minamitohoku.or.jp/up/news/southerncross/200602/drmatuzawa.htm
 松沢氏は,

 扁桃核に傷がつくと,精神疾患が起きる,

と推測している。
 うつ病や統合失調症と診断された患者を検査したところ,全員に扁桃核に傷が認められた。
 さらに統合失調症より,うつ病の症状が優勢な場合には,扁桃核の傷のほか,隣接する「海馬」の萎縮も現れるとしている。
 そして,これらの患者の中には,深刻ないじめを受け続けた子が100人以上含まれていた。
 つまり,

 深刻ないじめをうけた子どもたちは,全て扁桃核に傷が生じている

ということである。

 ある少女は,容姿が原因で,中学・高校を通じて,いじめに遭った。心の不調は十五歳で発症し自殺未遂を何度も繰り返した。脳の断層撮影をすると,うつ病と統合失調症に特有の傷が,扁桃核にそれぞれ認められた。
 扁桃核に傷がつく原因は,

 脳内の神経伝達物質のドーパミンとセロトニンのバランスが崩れるせい

と松沢氏は推測している。
 セロトニンとドーパミンは,ノルアドレナリンと並び、体内で特に重要な役割を果たす三大神経伝達物質といわれている。
 それぞれの神経伝達物質は,脳に次の効果をもたらす。

 セロトニン:安らぎ
 ドーパミン:喜び,快感
 ノルアドレナリン:恐れ,驚き

継続的に精神が不安定になる人は,セロトニンが減少し,ドーパミンが過剰になる。  
そして,ドーパミン毒性が脳に傷をつけているのではないかと松沢氏は推測する。

二 好き嫌いを司る扁桃核

 人は,多くのものを「好き」「きらい」でカテゴライズする。
 好き・嫌いを決めるのは,扁桃核である。
『脳の探求』スーザン・グリーンフィールド著(無名舎)によると,その仕組みは,次のようになっている。
① 扁桃核には視覚,聴覚,嗅覚,味覚などの情報が集まる。
② 扁桃核は,それらの情報を視床下部に送る。
③ 視床下部とつながっているA・10という神経からドーパミンが出始める。
④ この時の快感が「好き」という感情を生む。
⑤ 扁桃核の細胞に「好き」という感情が記憶される。
 扁桃核には,「嫌い」に反応する細胞もある。
「嫌い」という感情も記憶されるのである。
 猿はスイカが大好物である。
 猿の扁桃核にはスイカに反応する細胞が存在する(スイカ細胞と呼ばれている)。
 この細胞は,スイカを見るだけで活発に反応する。ところが塩をかけたスイカを与えると,一~二回口にしたあと全く見向きもしなくなる。
 扁桃核のスイカ細胞は,スイカに反応しなくなっている。
 つまり,スイカに対する感情が「好き」から「嫌い」に上書きされたのである。
 ヒトの扁桃核にも「好き」「嫌い」を記憶する細胞がある。
 好きな食べ物や嫌いな食べ物,笑顔などの表情,特定の嫌いな人の顔・姿・声や特定の好きな人の顔・姿・声に反応する細胞がある。
 例えば,多くの子どもは,病院が嫌いである。
 これは,扁桃核の視点から説明できる。
 子供は誰でも最初からお医者さんが嫌いなわけではない。
 ところが痛い予防注射を受けると,かなりの子供がお医者さん嫌いになる。
 扁桃核は,お医者さんを見たときに味わった「痛い」という情報を受け取り,「嫌いな人」と記録してしまう。
 次回からは,お医者さんを見ただけで恐怖を感じるようになる。
 病院で泣き叫ぶ子ども達は,考えてそうしているわけではない。
 扁桃核の記録を瞬時に照合して「嫌い」と反応しているのである。
 お医者さん嫌いは生後3ヶ月から始まる三種混合の予防接種で始まる。三種混合の予防接種は特に痛いので,一回でお 医者さん嫌いが成立する子供もいるし,二回目以降に生じる子供もいる。
 注射器を見せないようにして行ってもお医者さん嫌いを生じる。
 もっとも,注射器を見せても,注射したり,その後もんだりするときに母親だけを見せるようにすると,意外とお医者さん嫌いは生じないという事例もある。
 お医者さん嫌いは一生続く強烈な記憶となる。お医者さん嫌いは,扁桃核が司る動物的な恐怖の条件反射であるといえる。

三 不登校は,扁桃核が促している

 お医者さん嫌いを学校にあてはめて考えてみる。
 学校で怖い体験をした子どもは,扁桃核に「学校は嫌い」という記録をしてしまう。
 脳は,嫌いなものは,回避する行動に出る。つまり,脳は,「学校に行かない」という選択をする。
 しかし,多くの子どもは,親からの圧力で,学校に行かないという回避行動はとりにくい。
 その姿が学校への行き渋りである。
 行き渋りは,回避できない学校という恐怖に必死で抵抗しているのである。
 脳は,回避できない嫌悪刺激と闘っているのである。
 しかし多くは,回避できず,恐怖をいろいろな形で表現しているのである。
 恐怖が強くなればいろいろな精神症状を出すようになってくる。
 ここで,扁桃核のセロトニン・ドーパミンの分泌バランスが崩れ始める。
 そして,ドーパミンの毒性が,扁桃核そのものを攻撃し始める。
 扁桃核は,耐えきれず傷が生じる。
 その結果,学校へ行けなくなる。
 こうなると,親がどのようにしても学校は断固拒否するようになる。
 そう,不登校である。

四 いじめは脳を傷つけている

 幼少期に受ける極度のストレスは,扁桃核に傷をつる。

 扁桃核が損傷すると,これらの細胞が働かなくなり好き嫌いがなくなる。 
 そして,情動を伴う視覚的な識別能力に障害が出る。

 例えば,目の前にあるものが食べ物かそうでないかの区別が付かなくなったり,普段なら恐れる敵にも平気に近づき,攻撃されてけがをする,といったようなことなどが起こりはじめる。
 それが原因で,感情のコントロールがうまくできず,成人になってからもパニック障害などを発症させると考えられている。
 扁桃核に傷がつくと「愛が憎しみに変わる。さらに記憶認識系,意志行動系などおよそ心身のあらゆることに影響を与える」。
 技術開発と研究の進化のおかげで,それまでブラックボックスだった生きている人間の脳の内部が徐々に明らかになってきた。
 そして,目には見えないと思われてきた,いじめによる「心の傷」までも確認できるようになってきた。

 いじめは,脳を壊す。
 だから,いじめは犯罪行為。
 いじめは,傷害罪である。

 長期のいじめは扁桃核の働きに異常を与える。
 扁桃核の働きの異常によって,社会生活に大きな障害がおこる。
 医学から見ても,「いじめ」は犯罪である。
 もっとも,扁桃核の傷は,病気の症状が治まると消えるそうだ。
 松沢氏によると,治癒する時に,海馬の神経幹細胞が増生し,傷を埋めたり,修復したりするそうだ。
 扁桃核の傷は,「ほとんどすべての人が適切な治療によって治癒することがわかってきている」という。
 いじめによる扁桃核の傷は,治すことができる。
 それだけが,かすかな救いである。
 医学から見た「いじめ」の深刻さを子ども達に教えていかなければならない。
 道徳授業というフィールドで。


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