TOSSランド

コンテンツ登録数
(2018/08/20 現在)

21480
TOSS子どもランド TOSSオリジナル教材 TOSS動画ランド TOSSメディア TOSS-SNS TOSS公式(オフィシャル)サイト
TOSS子どもランド
TOSSランドアーカイブ
TOSSランドNo: 1116036 更新:2013年08月16日

誰にでもできる「やまなし」の対比の授業 1


1 向山実践「やまなしの対比」の授業の分析

(1) 分析批評の概略

第一回分析批評上達講座で向山氏が示した「分析批評の概略」

1 作品の構造を理解する。
 (1) 人物関係
 (2) 場面の設定
2 作品を要約する。
 (1) 事件
 (2) 起承転結(序破急)
3 作品の主張をまとめる。
 (1) 中心題材とクライマックス
 (2) 視点
 (3) イメージ・・・象徴、対比
 (4) 主題

(2) 対比の位置づけ

主題につながること。

 対比を検討する学習は、主題につながっていくことが大事である。
 向山氏の分析批評の概略の中でも

3 作品の主張をまとめる。
 (1) 中心題材とクライマックス
 (2) 視点
 (3) イメージ・・・象徴、対比
 (4) 主題

 とあって、「対比」は主題の部分に分類されている。
 これは、対比の学習は主題に導かれていくようにすることが大事であると考えるからだろう。
 もちろん、「対比」のみを扱う学習があってもよいが、作品全体を読もうとするとき「対比」を武器にして作品の主題に至ることが肝要だという位置づけになっている。

(3) 向山氏のやまなし授業計画

「やまなし」の授業計画の特徴

(1)対比から主題を導く。

向山氏の『やまなし』の指導過程は,

3 作品の主張をまとめる。
 (4)主題

に至る過程が、視点と対比だけとなっている。
 「(2)作品を要約する」がないのだ。
 「(1)作品の構造を理解する」もとりたてて指導計画にはない、という過程になっている。
 つまり、主題は、事件、起承転結を経なくても、対比からでも導くことができるというものである。やまなしを対比(と視点)だけで押している。

 向山氏が

「私なら、視点と対比の二つだけで、ほとんどの作品を授業することができる」(向山洋一『「分析批評」で国語授業を知的にする』(「分析批評で国語授業を知的にする」国語教育97年9月臨時増刊)

と言うように

「やまなし」は「対比と視点」だけである。

(2) 一つの対比(代表的な対比)を核にしている。

 向山氏のやまなしにおける対比の実践は、他の実践と比べて大きく違うところがもう一つある。
 それは、一つの対比をもとに検討をしているところである。

 これまでの他実践では、やまなしの対比を部門別(つまり、色、音、かにの様子、におい)に分けて探し出し一覧表にまとめることをしている。
 ここではそれらの実践について詳細に分析することはしないが、例えば浜上薫氏の実践(『分析批評の授業づくり3 6年の実践』)はそれにあたる。
 つまり、たくさんの対比を探し出してそれから何か集中的な発問(例「二つの世界を比べなさい」浜上前掲書)をしているという構造になっている。(単に対比を探し出して終わりという実践もある)。
 しかし、この対比の一覧表を作成している段階で主題の論議に関わってくるということはない。もちろん、対比をまとめることが読解力の向上、その物語の分析上思考の整理の武器となっている。

(4) やまなしの対比の図からわかる特徴

授業構造の特徴

 向山実践では下のような図を用いて発問したらしい。(トークライン90年3月号遠藤真理子「向山洋一氏の『やまなし』:この論文には「色の対比のところでは右のような図を示し、両端にくる色は何かというような問いかけとしたそうである」という記述がある)。下図参照

Yamanasi_taihi

(1) 主題に直結する構造になっている。

 「両端に来るのは、戦争と平和なのですか。それとも生と死なのですか」「色のイメージを手がかりにしながら、何をこの作品はいいいたいのか考えなさい」という発問・指示から考え検討することは、主題の検討とほぼ同じである。対比から主題へとうまくつながっているといえる。

(2)一つの代表的な対比に収斂する構造になっている。

 向山実践は、自分の考える一つの対比を検討することによって、「生と死」あるいは「戦争と平和」に収斂されてくるような討論になっている。 
 そして色ならば黄金と黒または赤に収斂されてくるようになっている。その後、青である。
 つまり、向山氏の場合は、対比が構造化されていて、よりシンプルになっているということだ。
 それ以外の対比に討論が入り込んでも、結局は主たる対比(生死、黒黄金)に戻ってくるというようなシナリオ(流れ)を描いていたと思われる。
 そしてそれを掘り下げて討論している。 
 
 以上述べたことは、(3)指導計画の特徴で述べたことと通じている。つまり、題材全体の流れにも、この図が反映しているということである。

(3)色と生死の対比を対応させている。

 色の意味づけが色以外の対比からなされる仕組みになっている。
 そして、両端と中央を区別して、作品の背景と主要なイメージがこの図からわかるようになっている。
 以上のことから、この図がやまなしを読み解く骨格になったのだろうと考える。

(4)生死が最重要キーワードである。

この図からは次のことも考えられる。

・生死は最重要キーワードである。
・生と死がどちらの「端」に属すのかを問うこともできる。
・輪廻と考えれば、どちらに属すとも考えられる曖昧さがある。
・この曖昧さは問題にすることができる。
 ゆえにこの「生死」の対比を扱うことでやまなしの大部分が浮かび上がってくるはずだ。

(5)やまなしの対比は「生死」に収束する。

(6)生があって死があり死があって生があるという輪廻を表すものである。

 授業では、「生死」の対比のみを扱ってはどうか。


0回すごい!ボタンが押されました

コメント

※コメントを書き込むためには、ログインをお願いします。
New TOSSランド