制作者 | 鈴木恒太 |
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学年 | 学年なし |
カテゴリー | 体育・保健 道徳 総合的な学習の時間 学級経営 |
タグ | 東京都中央卸売市場食肉市場 長野県上田食肉衛生検査所 食育 |
推薦 | 法則化ランナーズ・ハイ |
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食育は、家庭科の授業においてのみなされると考えがちになるが、様々な教科の中で行う。
「内田洋行 教育総合研究所」の「学びの場」には、次の様に各教科の実践事例を掲載している。
①大好物はマシュマロ!【食と絵本】[国語・学級活動]
②あなたの朝食と違いますか?~Is it different from your breakfast?【食と文化】[外国語活動]
③釣り針のひみつ【食と道具】[社会科]他
右のHPでは、他にも様々な教科での実践を紹介している。各学校で子供の実態に合わせ指導計画が作成されているはずである。各学校の指導計画に合わせて、実践例を参考に食育の授業をつくっていけばよい。
私が実際に実践した道徳の授業で行った「食育」を紹介する。
平成十七年六月十七日に制定された「食育基本法」の総則には次のように書かれている。
(食に関する感謝の念と理解)
第三条 食育の推進に当たっては、国民の食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食に関わる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならない。
ここでは、明確に道徳教育との関係が示されている。法的根拠が明らかな食材や食に関わる人々への感謝の心を育てる授業を行った。
(「小学校学習指導要領 第3章 道徳」 主として自然や崇高なものとのかかわりに関すること 高学年 「自他の生命の尊重」)
毎日食べている食材が、大切な命をいただいていることや日本人が古来から食材を弔う心を挨拶や礼儀に込めていることを知り、食材を大切にしようとする心を育てる。
1時間扱いで六年生三学期に行った。
授業の冒頭、次の様に発問した。
指示1:
「いただきます」の意味を知っているだけ、ノートに書きなさい。
子供たちから、次の様な意見が出た。
ア、食材の命をいただく
イ、作ってくれた人の気持ちをいただく
ウ、目の前の食べ物をいただく
「いただきます」の意味を考えた後、次の映像を見せた。
「ブタさん、いのちをありがとう」
監督:佐藤彰一郎(前・長野県上田食肉衛生検査所長)
※この映像は、HPから、公式に無償でダウンロードが可能である。
映像をとおして、大切な命をいただいて、日々の食が成り立っているという事実を学ぶことができる。補足するように次の「語り」をした。
ア、「いただきます」での合掌
冒頭の「いただきます」の意味に対応して、合掌するのは、食材に対する感謝と弔いの意味が含まれている。
イ、使用済みの針でさえ供養する
日本の弔いの精神は、食材だけでなく、使用する道具にさえ及んでいるということ。
ウ、捕鯨での全てを捨てない食べ方
捕鯨の際、欧米では、髭と油を取るためだけで後は捨てていたが、日本では昔から、すべての部位を余すところなく使用してきた。
力のある資料である映像を見た後だからこそ、右の話がスッと子供たちの心に響く。
次は授業後の子供たちの感想である。
1.私は、この授業を受けて、いままで「いただきます」の意味は、知っていたけれどあまり、意識をしないで言っていました。でも、命をいただいていることや作ってくれた方への感謝することを改めてしり、これからも感謝を込めて「いただきます」をいって食べることを心がけようと思いました。
2.ぼくは、「いただきます」を普通に言っていたので、授業をうけて、今日から作ってくれた人や食べ物に感謝の気持ちを思いながら、「いただきます」を言いたいなぁと思った。ぼくも食べ物をあまりのこさないようにしようと思った。
3.日本では牛、豚、鶏などの色々な食材をあますことなく全てつかうのはすごいと思った。
西洋は鯨のひげだけを使っているけど、日本は鯨の全ての部分を使っているのがすごいと思った。「いただきます」は、すごく大切な意味があることがわかった。食べ物を大切にしようと思った。
4.豚など食材になってくれた動物たちへの感謝が深まりました。なにげなく使っていた「いただきます」には、3つの意味があることや、手を合わせる意味などが分かってよかった。これからは、感謝の気持ちをこめて、「いただきます」と言いたいです。
映像は、残酷な部分は不必要に見せないように配慮がされているが、クラスの子供たちの実態に応じて、ショックが大きいと予測される場合には、一部をカットして見せるようにする。
もし、心配な場合は、各都道府県で発行しているビデオや次の東京都が発行しているパンフレットや副教材を使用してもよい。
東京都中央卸売市場食肉市場
この授業の後、総合的な学習の時間で取り組ませたい課題に応じて、映像を見た後の「語り」を変えてもよい。
次の様な接続の事例が考えられる。
人権教育の授業をする必要がある場合には、「食肉市場」への調べ学習につなげる。
捕鯨の問題に関する授業につなげる。
授業例:捕鯨問題を考える(杉木利之氏作成)
例示した「針供養」以外のこのような事例を調べたり探求したりする学習につなげる。
1.「学びの場」(内田洋行 教育総合研究所)
2.「ブタさん、いのちをありがとう」(監督:佐藤彰一郎)
3.東京都中央卸売市場食肉市場HP
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