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TOSSランドNo: 6573864 更新:2013年07月15日

【改訂版1】「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の授業


【改訂版1】「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の授業=「なぜ勉強しなければならないのか?」という問いに対する1つの答え=

大東亜戦争(太平洋戦争)の終戦後、日本の学校では、「勉強は自分自身のためにするものだ。」と無意識に繰り返し教えていることが多い。
 「あなたのためでしょう!」「自分自身の幸せのためでしょう!!」という説教を保護者も教師もよくする。
 そこには、「人のために勉強をする」という観点がない。
 高度経済成長期の学歴社会なら、「自分のため」だけで通用したのだろうが、価値観が多様化している現代社会において、それだけでは、子供たちは納得しないだろう。
 自分のためだけならば、自分がどうでもよければ、勉強などしなくてもよいという身勝手な考え方が横行するだけである。
 遥か明治維新以前の日本では、松下村塾において、吉田松陰は、弟子たちに、「(様々な事情があって)学べない人のために学ぶのだ。」という教えを遺したことが知られている。その言葉をヒントに授業を組み立て、実践した。
 小学校5年生27名への修正追試実践である。

発問1:

学校は何をするところですか?ノートに書きなさい。

「勉強をするところ」
「みんなと仲良くするところ」

発問2:

「あなたは誰のために勉強するのですか?

「自分の将来のため」
「有利な学校に入るため」
「自分が大人になって困らないようにするため」
「頭をよくして、将来困らないようにするため」
 多少の表現は違えど、見事に全員の子どもが、「自分のため」という観点で答えた。

指示1:

画面を見ます。

1.ソマリア紛争の歴史

①2007年の飢餓

指示2:

アフリカ大陸です。「ソマリア」という国を指差します。

 難しいのでソマリアに○印で示し、提示する。

説明1:

今から約20年前。ソマリアはこんな状態でした。争いが続き、食糧が尽き、子供たちが次々飢えて死んでいきました。

2につながるようなアフリカの貧困が分かる記事や写真を提示する。
 以下は例示である。このような資料を探して提示する。
79年~88年 戦争と飢餓、難民の中へ
89年~98年 民族紛争の現場へも

②国連が食料を与えた場面

発問3:

国連は、食料や医薬品を彼らに渡しました。少しずつですが、次第に体力を回復させていきました。その結果、人々の暮らしはどうなりましたか?

「暮らしはよくなった。」
「生きていけるようになった。」
などの意見が出てきた。

(2)ソマリア紛争の再発と激化

説明2:

ソマリア人たちが、体力を回復させた結果、起きてしまったのは民族紛争の再発でした。日本では中高生ぐらいの男の子も武器をもって戦いました。

(3)アフガニスタン戦争のアメリカによる戦後政策

指示3:

国連は、この失敗を二度とすまいと誓って、アフガニスタン戦争の後では、食糧と薬の支援と共にある支援をしました。画面をヒントに、ノートに書きなさい。

「教育」
「学校」

説明3:

学校を建て、子供たちに教育をし、考え方の違う人を殺してはいけない。人と助け合って国を発展させていくのだということを教えました。

発問4:

あなたは誰のために勉強しているのですか。学んだことを元にノートに書きなさい。

「世界を平和にするため」
「国のため」

説明4:

 今から150年ぐらい前、日本の幕末の時代に活躍していた吉田松陰という人がいます。吉田松陰は、松下村塾という塾で、たくさんの人を教えていました。今でいう学校の先生です。
 教え子には、明治時代に勲章をもらう人が大勢いました。
 彼の弟子からは、明治になって国の指導者になった人が大勢いました。

発問5:

吉田先生は、教え子たちに、「何の為に学ぶのか?」ということを教えています。
「□□□□人のために学ぶのだ。」
□には何が入りますか?吉田松陰が言った言葉を予想してノートに書きなさい。

「世のため」

説明5:

 吉田松陰「先生」は、今から150年以上も前にこのように言いました。
(間をおいて)
 「学べない人のために学ぶのだ。」

説明6:

君達も毎日学校で勉強をしています。勉強には自分のため以外にもこんな視点もあります。だから、毎日の勉強に誇りをもって取り組んでください。

 ノートに感想を書かせて授業を終える。

【授業後の子供たちの感想】

1.勉強がこんなにスゴイことなんて、思ってもいませんでした。私も、もっともっと勉強がんばります…。私も、「学べない人のため」に、学びたいです。

2.私は最初は、自分のために勉強をしているのかと思っていたが、先生の言葉や吉田松陰の言葉を聞いて、「自分のためだけでなく、外の人のためでもある」ことがわかったので、とても良いことが学べたと思いました。

3.今日、吉田松陰さんのことを知りました。なぜ勉強するかというと、「学べない人のために学ぶのだ」
この言葉をきいて、将来、人のためにできることをやりたいです。

4.今日は、吉田松陰さんが「学べない人のために学ぶのだ」の言葉が心にジーンときました。

5.ぼくは、150年前の日本の吉田松陰も「学べない人のために学ぶのだ」と言っていて、アフリカの方の人に、食料を渡しても戦争をしてしまうので、学ぶことは大事だと思った。

6.私は、最初は、自分のために勉強をするんだと思っていました。でも、「学べない人のために学ぶのだ」と知ることができました。あと、勉強ができることは、幸せなんだと思いました。

7.私はずっと勉強は自分のためだと思っていました。でも、今回の授業で初めて勉強は、学べない人のために学ぶということがありました。私も自分のためだと思うのではなく、他の人のためだと思い、がんばりたいです。

8.私は、吉田松陰さんは、すごいと思います。私は、受験をおそらくしません。でも、勉強をする意味が分かってよかったです。私も、時々なぜ勉強をするのだろうと思っていました。その謎が解けてよかったです。

9.吉田松陰さんが自分のためというのではなく、「学べない人のために学ぶのだ。」と言ったのにおどろきました。ふつうの人は、自分のためというのが多いと思うけど、そう言わなかったのがすごいと思いました。私も勉強をがんばって、自分のため、他人のために役に立ちたいです。

10.私は吉田松陰さんの「学べない人のために学ぶのだ」はすごくかっこいい言葉だと思います。私は自分のために勉強すると思っていました。でも、吉田松陰さんみたいに考える人はすごくいいな~と思います。私もその考えを持つようにしたいです。

11.勉強は自分のためだけだと思っていたけどいろいろな意味があってやっていることに気付きました。これからはいろいろなことを思って勉強したいです。

12.今日の授業で、ぼくは勉強のありがたみがわかりました。だからやりたくないと、ずっと言っていた勉強をがんばりたいです。先生ありがとうございます。

13.僕は塾に行って、勉強をがんばっています。僕は両親に自分のためにやっていると言われていますが、ちがうので、でもがんばりたいです。

14.今日の学習では、食べ物だけをあげると戦争が起きてしまいました。しかし、教育をしたら、よくなりました。最初は、自分のために、勉強をすると思ったけど、吉田松陰さんは、学べない人のために学ぶのだと言って、ぼくはびっくりしました。ぼくも、学べない人のために学ぼうと思いました。

15.ぼくは今日の授業で、「勉強をする意味」を学びました。それを150年も前に導き出した吉田松陰はすごいと思いました。ぼくもこれから、「どうして勉強をするのか」と悩んだときは、吉田松陰の言葉を思い出したいと思います。

16.今日は「何のために勉強するのか」を学びました。私は最初自分のためだと思いました。でも、吉田松陰は「学べない人のために学ぶのだ」という言葉に感動しました。

Ⅰ【長谷川博之氏からの指導】

2010年9月18日(日)長谷川博之夢現塾にて、この指導案をもとに、夢現塾で模擬授業をした。長谷川博之先生から次の指導をいただいた。
(1)この授業のテーマは重要なテーマである。
(2)ソマリアの事例と吉田松陰の教えがつながらない。
(3)今やっている学校の勉強は、何につながるのかを分かる事例をあげる。
(4)「紛争」と「戦争」という用語を混同している。授業では統一する。
(5)アフガニスタンの教育政策について、「結構うまくいっている」と言っていたが、その証拠となるエピソードをもってくる。
(6)子供の感想が書かれているが、子供たちに勉強の意味が本当に落としこまれているかは別である。
 夢現塾の直前の月曜日に、この授業を道徳の授業としてクラスの子にかけていた。子供たちは、もちろん真剣に考えてはいたが、私は一種の授業への違和感を感じていた。それが、一気に解消された。

Ⅱ【谷和樹氏の発信から学ぶ】小児科専門医が語る学校の必要性

谷和樹氏のSNS発信2011年10月14日、谷和樹氏から本授業の主題に関わる発信があった。

2011年10月14日09:26 宮尾Dr.研① なぜ学校に行くのか

昨日の宮尾Dr.との会で、考えさせられたことがある。
その第一は「不登校」の子どもはなぜ、学校に行かなければならないのか、ということだ。
お医者さんたちが主催するリスクールプログラムでもそのことが問題になるという。

<1>
「なぜ学校に行くのか」
その説明を、子どもが納得できる描写で語っている教師はそれほどいないだろう。
学校は勉強するところだ。それでは、なぜ勉強をしないといけないのか。
ぼくは将来○○になるから、算数はいらない、という子もいる。
先生方とディスカッションしてみた。

1 学校は、ほとんどすべての分野を安いお金で習える
  いろいろな勉強をしておくことで、将来の可能性に備えることができる。
2 学校は「指示の意味を理解して、ニーズに応える」力を身につけることができる。
3 学校は「みんなで何かをする」ことを学習する。
  他人とどうかかわるかを学ぶことができる。
4 学校は「人の役に立つ実感」を得ることができる。

こうした議論の中で、2の「指示の意味を理解」に関連して出てきたのは、「ユーザーのニーズに答えられなければ、自立した仕事ができない」ということだ。

伊藤寛晃先生の話
「マックにいってチーズバーガー下さいって言ってるのに、ぜったいにビッグマックの方が美味しいから、ビッグマックにしろって店員さんに言われたら、どう思う。その店員さんはお客さんのニーズがわかっていない」

谷の聞いた話
「雑誌の表紙を描くイラストレーターはアスペルガーの人が多い。『もっと明るい色調にして下さい』と編集部が注文をつけても、『絶対にこの方がクールだ』と言って直さない。当然、次からは仕事がこない。このイラストレーターはお客さんのニーズがわかっていない」
こうした「ニーズに応える」能力は、家に1人でいるだけではどうしても身につかない。

<2>
さて、こうした「学校に行く意味」を抽出したとして、それだけではダメだ。もっと下位項目をつけ、それらを整理し、順序づけて、たとえば「自立のためのチェックリスト」のような形にする。さらに、それを子どもがわかる表現に変換する。さらに、それを教師が語るときのユースウェアをつくる。こういった作業が必要ではないか。

<3>
ちなみに、この議論の中で排除されたのは「学校は楽しいよ」「学校でみんなが待ってるよ」のような抽象論です。「学校が楽しいはずないじゃないか」というのが宮尾Dr.の持論です。私は、学校は楽しいと思いますが、「楽しい」の中身が必要かと思います。

 谷氏の発信から、「なぜ、学校で学ぶのか?」を授業することは極めて大切な命題であることを再確認した。また、谷氏が発信するように、「もっと下位項目をつけ、それらを整理し、順序づけて、たとえば『自立のためのチェックリスト』のような形にする。さらに、それを子どもがわかる表現に変換する。さらに、それを教師が語るときのユースウェアをつくる。」である。
 したがって、この授業では、その中の1つの下位項目である「学校で学ぶことへの様々な意味」を考えさせることを主題とする授業を行うという位置づけを明確にした。

上記のご意見を踏まえ、10月19日(水)に、長谷川氏の代案をまとめ、さらに、谷和樹氏のSNSの発信を受けて、授業をさらに改訂した。
谷和樹氏のサークル「和(のどか)」で【改訂版2】として、模擬授業を行った。

【参考文献】

1.鈴木恒太「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の授業化
2.「学べない人のために学ぶのだ(吉田松陰)」の薮原先生の修正追試
3.長谷川博之氏「長谷川博之夢現塾」資料
4.谷和樹氏「和(のどか)」例会資料
5.『井戸よりも学校を』(梶原郷著・未出版)
6.『現代の帝王学』(伊藤肇著・プレジデント社)
7.梶原郷(東京学芸大学3年次教育実習精錬授業)「インドに学校を建てる授業」道徳授業指導案
8.HP「ニランジャナスクールとは?」
9.東京学芸大学CLIPホームページ
10.特定非営利活動法人 アジア子供支援フジワーク基金
11.Welcome to Niranjana
12.プロジェクト「CLIP」×「BLOG」
13.がちゃ@の右往左往ドタバタものがたり。
14.映画『僕たちは世界を変えることはできない~But we wanna build a school in Cambodia.~』(深作健太 監督)
15.『僕たちは世界を変えることはできない』(葉田甲太著 小学館文庫)


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