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TOSSランドNo: 2140013 更新:2013年07月13日

学級活動で総合的な学習を創る


TOSS淡路キツツキ/賀本 俊教

国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題。
これら例示された4つの課題から入る。
そして、総合的な学習の単元を創るのである。

1 4つの課題から入る

新学習指導要領の第1章総則の「第3 総合的な学習の時間の取扱い」の2で、総合的な学習の時間のねらいとして、次の2つを示している。

(1) 自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問題を解決する資質や能力を育てること。
(2) 学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取りむ態度を育て、自己の生き方を考えることができるようにすること。

また、その3で、総合的な学習の時間の課題として、次の3つを示している。

① 国際理解、情報、環境、福祉・健康などの横断的・総合的な課題
② 児童の興味・関心に基づく課題
③ 地域や学校の特色に応じた課題

これら3つは、並列的に提示され「学校の実態に応じた学習活動を行うものとする」と示されている。
これら3つの課題をとらえ、先の2つのねらいを達成させるには、どうすればよいか。
単元開発のプランとして、次に提案する。

① 国際理解、情報、環境、福祉・健康などの課題を、
② 児童の興味・関心に基づくように組み立て、
③ そこから、地域や学校の特色に目を向けさせる。
④ その過程で、自ら課題を見付け、自ら学び、自ら考え、主体的に判断し、よりよく問  題を解決する資質や能力を育て、
⑤ さらに、学び方やものの考え方を身に付け、問題の解決や探求活動に主体的、創造的に取り組む態度を育て、
⑥ 自己の生き方を考えることができるようにする。

つまり、例示された4つの課題から入るのである。
まず、各教科・道徳・特別活動の中で「国際理解、情報、環境、福祉・健康」と関連している内容を拾い出してみるのだ。

2 学級活動で拾い出す

たとえば、学級活動の中で拾い出してみると、次のようになる。
【国際理解】   ・望ましい人間関係の育成
【情報】      ・学校図書館の利用
【環境】      ・希望や目標をもって生きる態度の形成
           (児童が自ら現在及び将来の生き方を考えたりすることができるように工夫する)
【福祉・健康】   ・基本的な生活習慣の形成
           ・心身ともに健康で安全な生活態度の形成
           ・学校給食と望ましい食習慣の形成

3 総合的な学習の単元を創る

ここでは、【環境】に関わる「希望や目標をもって生きる態度の形成」の内容から、次のような総合的な学習の単元を創る。
なお、参考文献・引用資料・追試した原実践は以下の通りである。
【参考文献】
・『教育課程審議会答申 全文と重点事項の解説』(明治図書)
・『新学習指導要領 全文と改訂事項の解説』(明治図書)
・『小学校「総合的な学習」をどう創るか』山極 隆・小林毅夫(明治図書)
・『子どもが創る総合学習』高浦勝義監修・横浜市立日枝小学校著(黎明書房)
・『授業発表資料集』第2回エネルギー教育シンポジウム
・『授業研究21』1999年8月号(明治図書)
・『学校運営研究』1999年10月号(明治図書)
・『総合的学習を創る』1999年10月号(明治図書)
【引用資料】
・『夜の地球』ポスター(東京教育技術研究所)
・『えねるぎいくん』エネルギー学習ワーク(秩父教育サークル祭りばやし)
・『TOSSエネルギー教育』第5号(エネルギー教育全国協議会)
・『エネルギー・電気』資料(四国電力株式会社)
【追試した原実践】
・『エネルギー教育の授業』1999年2月6日、那覇市民会館で、向山洋一氏が行った授業
 (『教育トークライン』1999年7月号(東京教育技術研究所)P11~21)

これからの自分の生き方を考えよう エネルギー学習 第1時(向山洋一氏の追試)
新エネルギー、省エネルギーで代替できるだろう

まず、世界地図を子どもたちに見せた。
『これは何ですか。』「世界地図。」
 『世界地図ですね。日本はどこですか。アメリカは。インドは。』 と言いながら、押さえていった。
次に、『夜の地球』を黒板に掲示した。
『これを作ったのはNASA、アメリカの航空宇宙局です。アメリカの人工衛星が写した地球の姿です。
これを作るのに、4年かかりました。』 と言ったあと、次の発問をした。

発問1:

この世界地図は、何を写したんだと思いますか。

・夜の地球。 ・明かり。 ・建物の明かり。 ・船の明かり。 ・オーロラのようなもの。
以上のような意見が出た。
 しかし、「油田の明かり」「焼き畑の明かり」という意見は出てこなかったので、ヒントを出しながら答えさせた。
『このように明かり、電気をつける力のことをエネルギーと言います。』 と押さえ、次の発問をした。

発問2:

みんな一人一人にエネルギーはありますか。あると思う人はノートに○、ないと思う人はラと書きなさい。 

○ 29名  ・× 3名
理由を聞いたが、出てこなかった。
続けて、『えねるぎいくん』を配った。
次の問題を全員で読んだ。

発問3:

「きみ一人のちからで、電気をつくることができますか。( )に○をかきましょう。

・できる 27名  ・できない 5名
2名が「できない」にかわった。
さらに続けて、『えねるぎいくん』の答えを全員で読んだ。
「少しだけの電気ならば、きみのちからでもつくれます。
たとえば、自転車のライトがつくのは、きみ一人のちからで電気をつくれるからです。
このあと、『じつは、自転車をもってきています』と言って、教室に自転車を入れた。
『つけてみたい人いますか』と言って、代表で一人の子につけたもらった。
私が前輪を持ち上げ、その子にしばらく回してもらったのである。 感想を言ってもらった。「ずっと回し続けるのは、大変しんどい」と言っていた。
次の問題を全員で読んだ。

発問4:

「たくさんの電気をいちどにつくるところがあります。なんというところでしょう。」

・「はつでんしょ」
 最初の一文字が書いてあるので、すぐに書くことができた。
続けて、私が答えを読み上げた。
さらに、「水」「火」「ウラン」「水力」「火力」「原子力」と書かせた。
ウランについては、『シャーペンのキャップくらいの大きさのもので、みんなの家の電気の半年分くらい作れます』と説明した。
ここで、『話を聞いてください』と言って、板書しはじめた。

今から四十五億年前、地球が誕生しました。誕生して、地球は燃える火の玉です。
(板書1…一番上の直線を書きながら)五億年経ちました。まだ燃える火の海です。
(板書1…ターンして戻す)戻ってきて十億年経ちました。
ここら辺で燃えている火の海から水蒸気が上がり、雲になり、ものすごい雨が地球に降り注ぎ、またそれが燃え上がり、大きな海ができました。
深さ二百キロメートルです。
その水の中では、ちっちゃい見たこともないような生命が生まれ、生まれては死に、生まれては死に、だんだんだんだん、海の底へ積もってきます。
五年、十年、百年、もっと、千年、一万年、十万年、もっともっとです。百万年も死骸が降り積もり、もっとです、一千万年、一億年も、海の中に死骸が降り積もっていきました。
それが長い長い間をとって地球の中で変化してできあがったのが、みんなの使っている石油です。(板書1…石油)
(板書1…ターンを繰り返しながら下ろしていく)今から十億年、二十億年、そして三十億年、四十億年、そして四十五億年。 (板書1の左下のカーブを指して)ここが五億年前です。
このとき、人間はまだいません。
五つに割った一つ、一億年前、人間の祖先はまだいません。
これを十に割った一つ、一千万年前、このときにも人間の祖先はまだ誕生していないんです。
一千万年前をさらに十で割った百万年前、人類の祖先と思われる、一番最初の人が誕生しました。地球に、日本はまだありません。
百万年をさらに十個に割った十万年前、日本列島にも、みんなの祖先がやってきます。
そしてさらにこれを割った、ずっとちっちゃくなった千年くらい前、もう日本には国がありました。
石油がこれだけかかって作られたのを、人類は使うようになりました。
ウランは、地球誕生のときに、宇宙から地球に降り注ぎました。 (板書1…ウラン)説明する方法がないので、「神様がやった」としておきましょう。

続けて、次の発問をした。

発問5:

このウランや石油を今日本は使っていますが、いずれなくなります。どのくらいでなくなると思いますか。

板書2を書きながら、次のように説明、指示した。

みんなが12歳、みんなが生きていって、35歳ぐらいで子どもを産んだとします。
その子どもが35ぐらいになって、また子供を産みます。孫ですね。孫の時代。
その次の世代は孫の子供の時代。もうちょっといって、やっと二百年ぐらい。
これがどのくらい続いたときに石油とウランはなくなるのでしょうか。
ノートにこうやって人間の列をかいてみてください。

挙手で確認した。次のように意見が分かれた。
・ 2~ 5世代  11名
・ 6~10世代  12名
・11~15世代   5名
・16~20世代   1名
・何世代もずっと   2名
このあと、「世界のエネルギー資源(可採年数)」を配り、『石油が44年、ウランが73年です』と告げた。
さらに、『みんなが生きてるうちに、石油もウランもなくなってしまうのです』とつけ足した。
最後の発問である。

発問6:

エネルギーがなくなるということは、人類の大問題です。どうしたらいいでしょう。対策を考えて書きなさい。

書けた子から、ノートを持ってこさせた。次のような意見が出た。
【新エネルギー】 10名
・太陽の光(エネルギー)を使う。
・ウランだけでなく、もっと電気が出るものを探す。
【省エネルギー】 13名
・電気自動車にする。
・節約する。ふだんから、電気などをこまめに消す。リサイクルする。石油を使わなくてもいいものは使わない。
・今から石油がなくなったときの生活に慣れておく。
【その他】     8名
・自転車発電。
・地球を捨てて、別の星に行く。
・作る方法をえらい学者があみ出す。
・水力発電だけにする。
・自然を大切にする。
すべての意見を認め、授業を終えた。
「ウランや石油などの資源がなくなるという事実を知らせれば、対策を真剣に考えるようになる」という授業仮説を立て、授業した。
実際、子どもたちは対策を真剣に考え、ノートに書いていた。
「地球を捨てて、別の星に行く」というあきらめがちな意見もあった。
しかし、新エネルギーの利用、省エネルギーへの取り組み、また「作る方法をえらい学者があみ出す」という前向きな意見がほとんどだった。
追試してみて感じたことは、やはり「地球の歴史」の語りの難しさである。
板書しながらの語りであったが、所々メモしておいたノートを見ながらの語りとなってしまった。
また、人間の列をかかせたあと、「みんなが生きてるうちに、石油もウランもなくなってしまうのです」という事実を知らせることは、対策を真剣に考えさせる強烈な布石となる。
さらに、次時で事実を知らせることで、子どもたちはこれからの自分の生き方として考えることができる。  

これからの自分の生き方を考えよう エネルギー学習 第2時
これからの自分の生き方を考えよう

前時に出た意見を、板書していった。そして、次のように発問した。

発問7:

この中で、対策として「ちょっと難しそうだな」と思うものはどれですか。ノートに書き、理由も書きなさい。

・「ウランだけでなく、もっと電気が出るものを探す。」
これまで45億年も見つからなかったのだから、これから探すのは難しい。
・「電気自動車にする。」
充電するのに電気を使うので、いつかはなくなってしまう。
・「自転車発電。」
おもしろいけれども、大変そう。
などという意見が出た。『では、先生から』と言って、まず『えねるぎいくん』P8を配った。
『今のところ、100のうち3くらいしかつくれないから、ちょっと難しいね』と押さえた。
次に、『えねるぎいくん』P4を配った。
○をつけさせたあと、次のように聞いた。

発問8:

これらのものがない生活に耐えることができますか。

子どもたちは全員、「できない」と声をそろえて言った。
『今から石油がなくなったときの生活に慣れておく、これもちょっと難しいね』と押さえた。
さらに、『えねるぎいくん』P9とP13の「省エネ度チェック」を配った。
挙手で確認した。子どもたちの「省エネ度」は、次の通りだった。
・10点 0名 ・9点 6名 ・8点 4名 ・7点 4名 ・6点 2名 ・5点 7名 ・ 4点 2名 ・3点 3名 ・2点 1名 ・1点 0名 ・0点 0名
『まだまだ努力できる人がたくさんいるね』と押さえた。
さらに、「水力発電だけにする」という意見に対しては、『発電量が少なく、ダムを建設するとき、地域の生態系や住民の生活を破壊する恐れがあるため、今後の大規模開発はちょっと難しい』と説明した。
また、「地球を捨てて、別の星に行く」「作る方法をえらい学者があみ出す」という意見に対しては、『みんなの中からそういう方法を見つけ出す人が出るかもしれないけど、今はまだはてな?としておきます』と説明した。
最後に、『えねるぎいくん』P7を配った。
10月1日に、この授業を行った。
前日9月30日に、「東海村放射能漏れ事故」が起こっていたのだ。
『昨日、こんな事故がありました』と言って、新聞記事も紹介した。
新聞記事を読み上げたあと、次の指示をした。

指示1:

これまでの勉強を通して、これからの自分の生き方として、わかったこと、気づいたこと、思ったことをノートに書きなさい。

◇これから私たちにできることは、節約ぐらいだと思う。世界中の人がちょっとでも節約したら1年でも2年でも石油が長く使えるかもしれない。ウランをくり返し使うのは危険だけど、この実験は続けるべきだと思う。
◇ウランをくり返し使う方法を開発して、安全に使えるようにする。昔は電気を使わなかったんだから、できることは昔と同じようにする。一家に1日少しの電気しか使えないようにする。発電所が少ししか送らないようにすればいい。
◇危ないと思うけど、2000年も生きられるのだったら、ウランをくり返し使っていればいいと思います。あんな事故が起こったけど、なぜその事故が起こったかを考えて、それを生かしていけばいいと思います。
◇石油がなくなっても、ウランを使い生きていきたいと思う。
以上は、「ウランは危険だけど、安全に使えるようにして使っていきたい」という代表的な意見である。
これとは反対に、「ウランは使いたくない」という以下のような意見もあった。
◆30日の事故で、原爆に被爆したと同じくらい重体になっている人がいる。ウランの実験でなったなんて、最悪だと思いました。だから、私は太陽の光を利用して、何とか持ちこたえたいと思います。
◆これからいったいどうしたらいいのか、よく分からなくなってきました。ウランをもう1度使い直すのは、危ないからやめた方がいいと思う。節約やリサイクルをし、少しでも長く使えるようにしたい。
4 これからの学級活動
以上、単元開発の1つのプランとして提案してきた。
特別活動(本単元では学級活動)で学ぶ学習内容、各教科(本単元では社会・国語)で身に付ける学習技能を、問題解決的な学習の展開に組み直し、問題解決能力を育成することができるよう再構成したのである。
つまり、総合的な学習の時間は、各教科や領域の壁を破り、各教科等で学んだ知識や技能を使って学習に取り組む現実的な場である。
さらに、総合的な学習を進めるに当たって、その知識や技能が不十分だと気付けば、もう一度各教科等にもどって学び直すことも必要である。
「学級活動で総合的な学習を創る」というテーマを掲げたが、「総合的な学習で学級活動を創る」とも言える。
一方通行でなく、双方向性を持って初めてよりよい関係を築くことになる。
これからは、総合的な学習の単元とクロスした学級活動を年間指導計画に配置していく必要がある。
  さらに、実践を積み重ねたい。


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