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TOSSランドNo: 5000219 更新:2013年01月07日

定住自立圏の授業


1 地元のまちづくりの施策を伝える

発問1:

「あなたのまちのまちづくりの政策は、どんなことをしていますか。」

この問いに答えられる子どもはほとんどいないだろう(4年生梅沢学級では0人だった)。また、保護者でも知っている人は少ない。まちづくりのためには行政や地域との協力が不可欠である。子どもたちに伝えるべく、政策を授業化した。

2 『定住自立圏構想』とは

私の地元の秩父市では、合併に加えて、新たなまちづくりの枠組みとして、『定住自立圏構想』を進めている。『定住自立圏構想』とはどのようなものか。少し長いが、引用する。

定住自立圏構想は、(中略)市町村の主体的取組として、「中心市」の都市機能と「周辺市町村」の農林水産業、自然環境、歴史、文化など、それぞれの魅力を活用して、(中略)相互に役割分担し、連携・協力することにより、地域住民といのちの暮らしを守るため圏域全体で必要な生活機能を確保し、地方圏への人口定住を促進する政策です。
(総務省のHPより)

日本全体で、少子高齢化と都市への人口流出が続いている。特に地方ではその傾向が著しい。人口減を防ぎ、地方に活気を取り戻す政策として期待されている。
 しかし、上記の内容をそのまま子どもたちに話してもほとんど伝わらない。子どもにもわかる授業にしなければならない。以下で紹介する授業は、2009年10月の「世界遺産セミナー」でC表を突破した授業である。

3 授業① 地方の人口流出を教える

以下、定住自立圏の梅沢のコンテンツと対応している。

発問2:

「A市には何がありますか。」
(総合病院、高校、ショッピングセンター、祭り)

発問3:

「B町には何がありますか。」
(農園、自然体験)

発問4:

「もしあなたが、A市とB町のどちらかに
住むとしたら、どちらに住みたいですか。」
 挙手で確認する。ほとんどの子が、「A市」に挙手する。

発問5:

「その近くにあるC町。何がありますか。」
(町立病院)

発問6:

「A市とC町、どちらに住みたいですか。」
 同じく挙手で確認する。やはり「A市」と答える。D町とE町も確認する。「A市」となるだろう。

発問7:

「B町~E町はどうなると思いますか。」
(人が少なくなります。)

発問8:

「A市から少し行くと、大都市があり、そちらに人は動きます。A市はどうなりますか。」
 これが地方の現状であることを伝え、どうするか考えさせる。

授業② 人口流出を防ぐ方策を考えさせる

発問9:

「この状況を何とかしたい。どうすれば、この地域に住みたくなるようになりますか。」

難しい発問かと思ったが、子どもたちは考えて色々な意見を出してきた。まず出てきたのが、

市町村合併
 である。しかし、市町村合併では、合併の中心となる市町村は人口が増加するが、それ以外の地域では人口が減少してしまっているケースがある。
そのケースをグラフで紹介した。次に子どもたちから出てきたのが、市や町が協力し合って、まちづくりをしていくという意見。これには驚いた。たくさん褒めた。

授業③ 定住自立圏と合併の違い

指示1:

埼玉県秩父市では、中心市となる秩父市と、周辺市町村が協力して、「圏」を作りました。この「圏」を定住自立圏と言います。定住自立圏、言ってごらん。
(定住自立圏)

ここで「合併」との違いを体感させる。
5名の子たちに前に出てきてもらい、横1列に並ばせる。そして列の真ん中の子を指名し、
「○○さん、あなたが合併後の首長です。よろしく。他の方、お疲れ様でした。」
と言って座らせる。座った子に感想を聞くと、
(淋しい。残念。)
などの意見が出る。

次は定住自立圏。モデル図を示し、「定住自立圏では、どうなると思いますか。やってごらん。」
と言うと、子どもたちは手をつないだり、肩を組んでみたり、「円」を作ったりする。それらのアイデアをたくさん褒める。その上で、上の写真を見せると、子どもたちから「おお」と声が漏れた。さらに、先ほど座った子に今度の感想を聞いてみると、
(今度はいい。楽しい。)

などの意見が出てきた。

授業④ 全国的な取組であることを伝える

さらに、「ちちぶ定住自立圏協定」が、関東で初であることを伝える。さらに地図を提示し、全国的に取り組んでいることだということも伝える。ここで子どもたちに感想を聞くと、
(秩父がすごいことをしているとわかりました。)
など、郷土を誇りに思う意見が出てくる。次に、具体的な取組について考えさせる。

授業⑤ 市町村の協力でできることを考える

発問10:

「例えば、A市とB町で協力し合うと、どんなことができると思いますか。」

○A市の高校の生徒が、B町に自然体験に行く。
○B町で作ったものを、A市のショッピングセン
ターで販売する。
 ○A市のお祭りで、B町の農園を紹介する。
子どもたちからは様々な意見が出てきた。

発問11:

「D町とE町では?」
こちらも様々なアイデアが出てくる。
○D町に宿泊して、E町の博物館に行く。
○E町の特産品をD町の観光案内所に置いてもら
う。
 授業では時間の関係でこの2つのパターンのみ
扱ったが、他の組合せや、3市町村での協力・連
携についても実態に応じて扱うことができる。

最後に、「圏」を作るまちづくりは世界的に行わ
れている取り組みであることを、フランスやアメ
リカの例を挙げながら説明し、まとめた。

授業⑥ 授業の感想

4年生には少し難しかったかな、と思っていた
が、子どもたちはよく考えてくれていた。
○人口が減ったことがわかりました。
○合併と定住自立圏の違いがわかりました。
○外国でもやっていることがわかりました。
○町と村と市が合併だけでなく、色々なやり方で
問題を解決できるとわかりました。
○協力しないと成り立たないとわかりました。
○お金でものをつくるのではなく、協力していく
ことが必要だと思いました。
○5つの市や町が協力すれば、いろんなことがで
きると思った。
○町の人口が減らないようにするには、みんなの
協力が必要と思いました。
○市長と他の町と住んでいる人が協力して市や町
をよくしていけたらいいと思いました。
○市や町の協力が大切だとわかりました。

まちづくりTOSSデーで市長に紹介

2010年5月15日の秩父市・横瀬町まちづくりTOSSデーに、秩父市長・久喜邦康氏が
参加された。現役の市長がTOSSデーに参加してくれたのは初めてであった。

市長の前で、この「定住自立圏」の授業を公開した。すると市長から、
「この授業は秩父市のどの学校で授業をしましたか?」
と聞かれ、私と木村重夫氏とで答えると、

「もっとたくさんの秩父の学校で授業をしてほしい。」
「いやー、おもしろい。大変感動しました。」

との言葉をいただいた。この他にも、横瀬町や秩父のお菓子屋さんの団体のまちづくりの授業も見ていかれた。時折うなずきながら、授業にも参加してくれていた。帰り際には、

「たくさんの楽しい授業をありがとう。」
「また来ます。」
 TOSSと行政とが連携したまちづくりの第一歩となった瞬間であった。


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