TOSS代表向山洋一氏は,以下のように述べている。
大切なことは,何かというと,始業式からできる限り早い時期に組織するということである。
遅くても1週間以内,できれば三日間で組織してしまうことである。
これは,どれだけ強調してもしすぎることはない。
初めて出会った子どもたち,緊張して静かである。新しい担任,新しい学年に期待している。
この時なら,担任のいうことを素直に聞く。この間に組織してしまうのだ。
組織すると、クラスの動きはスムーズになる。
動き方,ルールが決まっているので,誰でも身を処していける。
心地よい流れが生まれるのである。
向山洋一著『教え方のプロ・向山洋一全集 4 最初の三日で学級を組織する』(明治図書)より引用
では,どのように組織すればよいのだろうか。それは,以下のことをイメージすればよい。
「担任がいないでも一週間子どもが生活できる」状態
こう考えると,イメージができる。例えば,様々な仕事をする係りが必要であることがわかる。では,どのような係りが必要になるだろうか。黒板を消す係りはいるだろう。配達をする係りもいるだろう。このようにして,具体的にイメージをしていくのである。こういった子どもの活動は,大きく三つに分けることができる。以下の三つである。
一 学級を維持するため、毎日定期的にくり返される仕事で、一定の人数が必要なもの。
(例)掃除当番、給食当番
ニ 定期・不定期にかかわらずくり返される仕事で、少人数でよいもの(創意工夫をあまり必要としないもの)
(例)黒板係り、配達物の係り、落し物係り、など
三 学級生活を豊かにするために必要な組織(=文化・スポーツ・レクリエーション三分野の係り)
(例)集金係り、スポーツ係り、新聞係り
向山洋一著『教え方のプロ・向山洋一全集 4 最初の三日で学級を組織する』(明治図書)より引用
この中で,早めに決めたいのは、「一」と「ニ」である。「一」については,学校ごとでやり方は様々である。
そこで,今回は「ニ」についてくわしく述べる。
自分の学級にはどんな係りが必要か,書き出してみることをおすすめする。 例えば,以下のようなものが考えられる。
①窓開け係り ②電気係り ③黒板係り ④健康観察係り ⑤配達係り
・・・
これらの係りを,子ども達に分担させる。では,どのように分担すればよいのだろうか。おすすめは,以下である。
一人一役
一人に一つの係りを任せることで,責任感を育てることができる。また,クラスでの存在感をつくることができる。
この場合,クラスの人数が40人なら,40人分の係りをつくる必要がある。たいへんだが,黒板係りを1時間目担当,2時間目担当に分けたり,配達係りを複数名にしたり,工夫すれば大丈夫である。
また,先生の給食準備係りなど,「こんな係りがあったらいい」と思うものをどんどん係りにすればよい。
例えば,こんな係りがあったら便利ではないだろうか。
①ソート係り 提出物を名簿順に並べかえる
②係りチェック係り 仕事をしていない係りの子に声をかける
③お手伝い係り 休んだ係りの子の仕事を代行する
④肩もみ係り 先生の肩をもむ
クラスの実態に合わせて,必要だと思われるものはどんどん係りにすればよい。必要がなくなった係りは,係り替えの際になくせばよい。
決め方は,その係りをしたいものの希望制である。複数名いる場合は,じゃんけんで決めればよい。
やらせっぱなしでは,次第に活動は停滞してしまう。そこで,誰がきちんと活動をしていて,誰がしていないのか,チェックをする必要がある。チェックは,できるかぎり簡単なものがよい。例えば,仕事をしたらマグネットを移動する,帰りの会にしたかしないか挙手させる等である。
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