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TOSSランドNo: 3108292 更新:2013年01月05日

条件を統一するという概念を指導する 5年「ふりこ」の導入 小林幸雄実践


条件を統一するという概念を指導する ― 5年「ふりこ」の導入 ―

TOSS作州教育サークル 小林 幸雄
 
授業や観察をする際,もっとも大事な概念は,「条件を統一する」という概念である。
しかし,この概念の指導は,かなり難しいものである。
何のために条件を統一するのか,その必然性を子どもたちに納得させる配慮が不可欠となる。
以下,その事例を紹介する。

1.導入で巻き込む

おもむろに,白衣のポケットから振り子を取り出して揺らして見せる。
左右にゆっくり振り子が揺れる。
「先生!催眠術?」「眠たくなるの?」と嬉しそうにつぶやく。
「おもりをもっと振ってみせますよ。」と笑顔で答えながら,糸を持つ手を小刻みに動かす。
その途端,振り子の動きはにぶくなり,ほとんど動かなくなったではないか。
もう一度,繰り返して見せた。
やはり手を動かし始めると,振り子の動きは小さくなり止まろうとするのだ。
「手を動かすと,おもりが動かなくなりますね。」と言いながら,
今度は,振り子を持つ手を固定し,片方の手でおもりを引っ張って離した。
今度は,一定のリズムを刻みながら,左右におもりが振れ始めた。
このように,振り子にはならない現象を見せておくほうがよい。
振り子の「定義」としても大事なことである。
「(糸の先を固定したもの)を振り子と言います。」「振り子」と唱えさせる。
「振り子が行ってもどります。このことを,振り子が一往復したといいます。」
「振り子が一往復した」と唱えさせる。
次に,振り子が一往復する回数を数えさたせた。
「おもりがスタートした位置に戻った瞬間,イ~チ,ニ~イと数えます。では、スタート!」と言うと,
子どもたちの視線は左右に揺れるおもりに集まる。
イ~チ,ニ~イ,サァ~ン,シ~イ…と10回まで唱えた。

2.条件を統一するという概念を指導する場面

次に,ストップウオッチで,一往復する時間を測らせる。
班にストップウオッチを1個ずつ渡した。
まず,ストップウオッチの扱い方を,順次交替して全員にマスターさせた。
細かいことだが、大切なことだ。
ここに至って初めて,台に固定した振り子実験器を,教卓の中央に置いた。
いよいよ測るんだと,子どもたちは期待に胸膨らませる。
しかし,その前にまだ指導しておかなければならないことがある。

条件を統一するという概念である。

振り子実験器のそばに立ち,おもりを持つ。
今にもおもりを離そうとした瞬間,次のように言う。

発問1:

あのぉ,手を離す位置は,実験する度に,どこでもいいのかなあ?

と言うと,「同じ場所でないといけない」という声があがった。
「そうだね。測るたびに,条件が変わるといけないよね。」と言いながら,
手を離す位置に目印(粘土の固まりに目印の旗を刺したもの)を置いた。
再びおもりを手にする。
今度こそ実験開始…と思った矢先,再度聞く。

発問2:

ところで,実験するたびに,おもりをそっと離したり,押し出したりしてもいいのかなあ?

「先生!条件を揃えないと駄目なんだよ。」という声があがる。
その声を引き取るように,「そうだよなあ。条件は揃えなければいけないよなあ。」と答える。
このように実験に入ろうとする前,言い換えれば、子どもたちが最も集中する局面にこそ,
「条件を統一する」という概念を教えるのである。
最も緊張感のある場面だからこそ,条件を揃えるという難しい概念が,子どもたちの頭にストンと入るのである。
もし,実験の途中に指導しようとするものならば,大混乱となる。
また,実験のイメージが十分湧かない段階で,いくら説明しても,むなしく言葉だけが頭上を通り過ぎるだけである。

3.教科書はこのように活用する!

いよいよ,初めての測定に入った。
ただし,測るのは,一往復だけの時間とする。
まさに,一瞬のことだ。当然,結果はバラバラとなる。誰ひとりとして同じ数値はない。
数値を発表するたびにやや重苦しい雰囲気となった。
そこで,次のように聞く。

発問3:

一回きり,一往復する時間を測るだけで正しい測り方ができるのですか。

どの子も首を横にふった。
「ほんの一瞬のことです。当然、誤差がありますね。誤差のある時、どうすればよいのか教科書にあります」
教科書(啓林館)35pを開き,測定の仕方を読ませた。
10往復する時間を3回測り,平均値を求めるという方法だ。
小数第2位を四捨五入することまで書いてある。
このように困ったと状況に追いやった段階で,教科書を読ませると理解が速い。
いよいよ今度こそ,実験の開始となった。
ストップウオッチで測定する子は,順次班で交替しながら測定させた。
この時,測定する子は,振り子がよく見えるように振り子の正面に移動させた。
また,測る子どもには,「イ~チ,ニ~イ,サァ~ン,…」と回数を唱えさせた。
できるだけ正しい測定になるための配慮である。
なお,この実験では,必ずストップウオッチを押し間違える子が出てくる。
そういう時は,堂々と,他の班の数値をもらってよいことを高らかに宣言してやることだ。
1回測定するたびに,黒板にも、班の測定値を板書して行かせた。
10往復の時間を3回測り,その上で,電卓で一往復の時間を求めさせた。
すると,今度はどの班も1.4秒と全く同じ結果となったではないか。
結果を見れば,いかに教科書の方法が優れたものか明らかとなった。
子どもたちも大いに納得した表情であった。

4.仮説づくり

次は,本番、仮説づくりである。実験の結果を受け,次のように断言する。
「これでみんな分かったね,振り子が一往復する時間は,いつでも必ず1.4秒なんだ。そうだよね。みんな。」
すると,一瞬,間を置いて「いいや、違う!」と小さく答えた。

発問4:

では,振り子が一往復する時間を変えることができるのですか?

と挑発的に聞いた。
このようにゆさぶると,子どもたちは知的に燃えてくるのだ。

発問5:

振り子が一往復する時間を変えるには,何を変えればよいのですか。

と問い,ノートに一つ仮説が書けたら持って来させた。
基本的にはどの仮説もほめる。
ほめられることにより,子どもたちはユニークな仮説を書いて持ってくるのである。
 
※ 仮説づくりとその検討の仕方については,拙著『子どもへの対応技術の解明』上巻(明治図書)を参照していただきたい。


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