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TOSSランドNo: 3686679 更新:2013年01月01日

薬の歴史とこれからの医療


1.主張
薬のメリット・デメリットについて知らせ、自分の体にとって有益な薬の必要性を教える。

2.薬の語源・由来・意味
薬とは、病気の「①治療」「②診断」「③予防」のために用いられる物質のこと。病気や傷を治療したり、健康の保持や増進のために、飲んだり塗ったり注射したりするものもある。子どもたちにとって、「薬は病気になった時に飲むと治るもの」というメリットの部分のみを知っている子が多い。
「くすり」という日本語の語源については、いろいろな説がある。島根県の出雲大社にある古文書によると「奇(く)すしき力を発揮することから、くすりというようになった」と伝えられている。しかし、説は複数あり、 楽の意味は不明とする人や「つぶす」と解釈される意見も存在している。したがって,「薬」は病気を治療する草の意味となる。
薬の働きは大きく分けて4つある。「①吸収」「②分布」「③代謝」「④排泄」である。
【①吸収】
体の中に入る過程のことを言う。だだし、体の中というのは、血液やリンパの流れのことである。つまり、投与された薬が、循環している血液中に入ってくることが吸収である。
【②分布】
投与された薬が血液の流れによって、体のいろいろなところに運ばれていくことを言う。体の各部位に一様に分布する場合、特定の機関や臓器にかたよって分布する場合がある。
【③代謝】
作用を発揮した薬の多くは、肝臓で処理されることになる。肝臓の中にある肝ミクロソーム薬物代謝酵素などの酵素の働きにより、薬は作用のある薬から作用のない薬へと変えられる。その他の酵素によっても、肝臓以外の場所でも代謝されるが、薬の代謝と最も関係するのは、肝臓である。
【④排泄】
腎臓から尿中に排泄されるか、胆汁中に出てきて腸管を通り糞便中に排泄されるかである。その他にも、薬は汗、唾液、乳汁などにも排泄されるので、授乳中の婦人は薬によっては用心する必要があるものもある。

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4.危険な薬物・薬の問題点
【麻薬・覚醒剤・大麻】
 薬を運用しているうちにその薬が欲しいという欲求がとても強くなり、使用している本人だけでなく、社会的にも大きな問題になることがある。そのような薬は法的な規制を受ける。コカインの依存性をサルで検討する実験が行われたが、サルは一旦コカインの味を覚えると、コカインを得るために死に至るまで努力した。人間の場合も同じで、コカインの常用者は自殺するまで渇望する、恐ろしい薬の一つである。
 また、中毒が重症になり、薬物での治療が困難で、生命が危険と考えられた場合、外科手術が実施される。快楽中枢が存在するとされる大脳の連合神経線維の一部を切除する方法である。考案者は、神経医学者テオパルド・ジョーサ博士と、脳外科医ウンベルト・イノホサ博士。しかし、問題点は多く議論の的になっているということも事実である。コカインへの対処が上手くいったとしても、快楽が全て失われるということは、人間は生きがいを失うということである。倫理面からも問題点が浮かび上がっている。
【薬物アレルギー】
 薬物アレルギーには大きく分けて2種類ある。①即時性アレルギー反応②遅延性アレルギー反応である。①即時性アレルギー反応には、アナフィラキシーやじんましん等があり、最もひどい場合にはショック状態になり、そのまま死亡することもある。②遅延性アレルギー反応には、重傷の血液疾患や肝障害や腎障害などがある。
今年度担任しているTさんは、重度の食物アナフィラキシーを持っている。給食は中止。毎日弁当持参。給食時は、他の児童とは机を遠く離し、絶対に近くに寄らないように日々指導する。Tさん自身も給食時には過去のトラウマもあり、他の児童に近づくことはない。毎日学校にエピペンを持参し、万が一アナフィラキシーショックを起こした場合、担任である和田と、養護教諭、4年生の担任の誰かががエピペンを打ち、その他職員が救急などの対応をするという全校的な組織をしている。

5.薬の発展
(1)胃潰瘍の治療法の発展
薬は熱を下げるなどのイメージがある。しかし、現在、薬は各方面で開発研究が進み、用途は多様である。まず、私自身、今年の4月、胃潰瘍になった。胃潰瘍の素因はストレスではない。なんと菌である。ピロリ菌という。誘引がストレスや環境要因などである。胃潰瘍の原因はストレスからの直接的な影響だと思われていた頃はまだまだ治療がかなり困難な病気であった。時には胃を摘出しなければならないこともあった。しかし、明確な素因が発見され、ピロリ菌を駆除する方法が考え出された。それが薬だったのだ。現在、胃潰瘍は薬で治療する。患者への負担も小さい。
 胃潰瘍が完治し、退院した後から、ピロリ菌の除菌が始まる。3種類の薬(2種類の抗生物質と1種類の胃酸を押さえる薬)を、朝夕の1日2回、1週間飲み続けることで、約80~90%の患者はピロリ菌を除菌することができる。薬終了後から、約2ヶ月間、ガスターとよばれる胃薬を毎日1錠飲み続ける必要がある。万が一、除菌に失敗した場合は、薬の種類を変えて二次除菌をする。約90%の患者が除菌できる。除菌できたかどうかの検査は、除菌治療終了後4週間以上あけて検査をすることでわかる。現段階では、三次除菌の薬は保険適用外のため、患者は10割負担をしなければならない。
(2)発達障害の子どもの治療法の発展
発達障害は先天的な脳の機能障害である。つまり、原因があるのだ。現在達障害の子どもの脳の機能を一時的に回復させる薬はある。しかし、使い方によっては、発達障害自体を直す可能性のある薬が開発されようとしている。薬学の更なる発展が待たれている。
現在、しあわせサークルでは毎月1回、安原こどもクリニック院長 安原昭博ドクターとtもに発達障害を持つ児童についての勉強会を開催している。安原ドクターは、薬を飲んで症状を抑えることに対して肯定的であった。「発達障害を持つ子本人がしあわせになる」ということを大前提に、常に診療に勤められている。
 さらに、LDの子どもに対して「脳波が治れば症状は改善される。」(文責:和田)と安原ドクターは言っている。今後、発達障害の子どもにとって大躍進した治療法が発表される日も近いかもしれない。
(3)脳に効く薬の発展
 「頭をよくする薬」本当にあったらどんなに良いだろう。子どもの頃に、だれもが一度は抱く夢のような薬である。この「頭をよくする薬」の開発がすでに成功している。東京大学の池谷裕二氏である。その薬を試験管の神経細胞にかけると、神経細胞の交通量の変化がとても活発になった。次に、ネズミに与えると、すごく効いた。実験の30分くらい前に「頭のよくなる薬」を与え、ネズミに迷路を解かせると、普通の1/3から、悪くても1/2ぐらいの時間で出口に行ったという実験結果となった。この瞬間に、池谷氏は「あ、頭のよくなる薬を、ほんとうに見つけてしまった……どうしよう?」と思ったそうだ。
 【記憶力】【効率】は確かに激変したが、ネズミの能力は記憶力だけではない。人間の知性に至っては、記憶力は知性のほんの一面にすぎない。と池谷氏は言っている。倫理面等にもまだまだ問題が山積している。だから、商品開発には踏み込まなかった。薬と倫理の問題は今後も深く残る問題だろう。

6.事前授業の分析
 現在4年生の担任をしている。4年生に事前授業をした際の児童の感想を以下に掲載する。
①今日、薬の勉強をして、33人に15人はピロリ菌にかかっていることがわかりました。ピロリ菌がすこしでもへってくれるといいなと思いました。
②昔は薬がなかったから、死ぬ人が多かったけど、今は薬があるから簡単になおせることがわかった。ジェンナーはかせが予ぼうせっしゅを作ったからすごいと思った。でも、いたくなくて、ならない薬があったらいいなと思いました。
③薬があってよかったなと思った。のんだら一日できく薬を発明できたらいいなと思う。昔の方が薬を発明してくれて、感謝しなきゃと思った。
④ぼくは、夏目そうせきが胃かいようで死んでしまったことをはじめて知りました。胃かいようで80%の人が死んでしまうのはこわいです。
⑤昔は薬がなくて夏目そうせきさんは胃の病気でなくなったけど、今は薬があってたすかるから、昔の人はかわいそうだと思いました。それと、人の体にピロリきんというきんがいることがわかりました。
⑥昔と今では治りょうの仕方がちがうということがわかった。今は入院して薬を飲んだら治るのでうれしい。ジェンナーさんのおかげで予ぼうできることがわかった。
⑦先生があんな病気になってしまったけど、今は薬があってよかった。けど、夏目そう石の時代は薬がなかったから、薬はあった方がいいとおもいました。
⑧いろいろな薬があったけど、自分たちがつかったことのあるものが昔からあることがわかった。ピロリきんがいつ入るのかが不思議に思いました。
⑨薬は人がかぜにかかったらなおしてくれるものです。テレビで見たものは、何かにかかっても薬がなおしてくれるというものでした。血がたまるのはじめて知りました。わたしは、手術をしないと先生がなった病気はなおらないと思っていたから今日びっくりしました。
⑩薬の力はすごいなと思いました。おなかがいたいときに飲む薬、きんをたおすための薬、かゆみの薬などいろいろな薬があります。とくに、にゅうさんきんはどうしてきんなのに、けんこうにいいの?と思いました。
⑪わたしは、夏目そうせきが何で死んだのか?それがわからなかった。でも、先生と同じ胃かいようで死んだって聞いたとき、少しこわくなった。だって、先生がしんだかもしれなかったから。でも、今は薬で治っているからいいと思う。未来はもっとかんたんなちりょうほうになってほしい。
⑫ぼくは、薬が昔から変化していることがわかった。だから、手じゅつもいらなくなってほしい。
これらのことから、薬について以下のことに興味を示しているということがわかった。
(1)今よりもっと効果のある薬
(2)昔の治療と今の治療の変化
(3)病気を治す時に手術なのか、薬なのか
以上の3観点をさらに調べることにした。

7.しあわせサークルで模擬授業時の代表 杉谷英広氏からのコメント
 2012年9月3日(月)しあわせサークル例会にて、検定授業を見てもらった。和田学級で授業する前のことである。その際にもらったコメントは以下である。
①胃潰瘍の薬は、どのように何をどのように攻撃して効くのか。
②胃酸を止めるのは、何にどう働きかける薬なのか。
③薬の種類にはどのようなものがあるのか。
 (例)病原菌をやっつける薬。体の動きを制限する薬。
④「血が出ている所の動きを制限して、病気が余計にひどくならないようにしている。」など、説得力のあることを授業に組み込むべき。
⑤ピロリ菌を攻撃する薬は、ピロリ菌にとって毒なのか。人間の体には害はないのか。
⑥「胃潰瘍」という病気自体が、子どもにとってすごく説得力のない病気なのではないか。
⑦授業の流れからして、予防接種はいらない。
⑧病気を治すためには、手術なのか、薬なのか、ということを授業の根幹にすると良い。
⑨自分の胃潰瘍の体験エピソードは、ほんの少しにする。
杉谷氏の言った通り、子どもたちは「病気を治す時に手術なのか、薬なのか」ということに興味を示していた。また、薬に対する私自身の知識の甘さ、説得力のなさが浮き彫りとなった。「説得力のある材料」のみに限定して授業を組み立てる必要がある。教材研究をしているとどれもこれも授業に入れたくなるものだ。しかし、本題から外れるものは思い切って捨てる。私自身の体験である胃潰瘍に対する思いが強いが、これも削って授業に組み込む必要がある。何度も杉谷先生から教えてもらったことだ。

8.単元構成(全7時間)ヒトや動物の体のつくりとはたらき(6年理科)
第1次 食べ物の消化と吸収
第1時 食べ物の体内での変化
第2時 食べ物に含まれる養分や水分の体内吸収
第2次 呼吸のはたらき
 第1時 吸う息と吐く息の違い
 第2時 吸う息と吐く息の違いができた理由
第3次 心臓と血液のはたらき
 第1時 血液がどのように全身を流れ、どのような働きをするのか
第4次 生命を支えるしくみ
 第1時 体の各部分のつながり
 第2時 わたしたちの体と薬(本時)

9.本時の授業展開
(1)対象 小学6年生
(2)授業の流れ
説明 夏目漱石。胃潰瘍という病気で死んでしまった。
発問 あなたが病気になった。手術か薬で治します。手術がいい人?薬がいい人?わからない人?
説明 世界初の人の力で作った薬「アスピリン」は、熱を下げられるが、胃が痛くなり死ぬこともある。
発問 手術か薬で治します。手術がいい人?薬がいい人?わからない人?
説明 中国で手術の時にアヘンを使って痛みを和らげたが、後で中毒になる人が続出した。
発問 手術か薬で治します。手術がいい人?薬がいい人?わからない人?
発問 あなたの足にいぼができた。手術か薬で治します。手術がいい人?薬がいい人?わからない人?
説明 薬は取れたとしても再発の可能性が高い。
   手術は、液体窒素で焼くと後が残る可能性がある。
   最近はレーザー手術が有効だ。
説明 ガンは、体の細胞が徐々にガン細胞に変わる病気である。
発問 あなたはガンになった。手術か薬で治します。手術がいい人?薬がいい人?わからない人?
説明 夏目漱石が死んだ胃潰瘍。先生もなった。
発問 あなたは胃潰瘍になった。手術か薬で治します。手術がいい人?薬がいい人?わからない人?
指示 どんな薬があったらいいか。ノートに書きなさい。
説明 頭がよくなる薬はすでに開発されている。しかし、発売はされていない。
説明 これからも薬について勉強していきましょう。

10.参考文献
「くすりの発明・発見史」 岡部進 著 南山堂
「よくわかる薬理学」 泉義雄 監修 成美堂出版
「海馬 脳は疲れない」 池谷裕二 糸井重里 著 新潮文庫
「あなたの胃にもピロリ菌が?ピロリ菌Q&A」 北海道大学消化器内科教授 浅香正博
「分子レベルで見た薬の働き第2版」 平山令明 講談社
「脳内革命」 春山茂雄 サンマーク出版
「抗生物質が効かない」 平松啓一 集英社
「身の回りの有害物質徹底ガイド」 パット・トーマス タケダランダムハウスジャパン
「毒と薬の世界史 ソクラテス、錬金術、ドーピング」 船山信次 中公新書
「脳は自分で育てられる」 加藤俊徳 光文社
「広汎性発達障害の子どもと医療」 市川宏伸 かもがわ出版
「古代エジプトの秘薬」 大澤彌生 産学社
「薬」 リスリー・アイヴァーセン 岩波書店
「受験生この食べ方が脳を強くする」 主婦の友社編
「薬はなぜ利くか ナース・薬剤師へ」 田中正敏 講談社
「サプリメントと医薬品の相互作用診療マニュアル」 蒲原聖可 医学出版社
「薬と社会をつなぐキーワード事典 本の泉社」
「国際薬学史 東と西の医薬文明史」 山川浩司 南江堂
「江戸の生薬屋 吉岡信 青蛙房」 
「薬の社会史第2巻」 杉山茂 寝台文芸社
「自閉症・こんな治療法があった」 阿部博幸 PHP研究所


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