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TOSSランドNo: 6474995 更新:2012年12月31日

「授業の原則10か条」を使いこなすことが特別支援教育の対応となる。


翔和学園の伊藤寛晃氏は、向山洋一氏の「授業の原則10カ条」を流れ星が流れる間に言えるようになりたいと言う。
次の10原則である。

1 趣意説明の原則
2 一時に一事の原則
3 簡明の原則
4 全員の原則
5 所時物の原則
6 細分化の原則
7 空白禁止の原則
8 確認の原則
9 個別評定の原則
10 激励の原則

この10の原則を使いこなすことが、特別支援教育の対応となる。
1つ1つ見ていく。

1 趣意説明の原則

「あかねこ漢字スキル」のポイントは、「指書き」である。「筆順を覚えるまで鉛筆を持たせないこと」を徹底しなければ、漢字テストの点数が上がっていかない子どもが出てくる。しかし、徹底させるのは難しい。
さらに、「指のはらをつける」「手に何も持たせない」「とめ、はね、はらいをきちんとさせる」というTOSS熊本の奥田純子氏の「指書き3原則」を徹底させるのも難しい。逆に言えば、ここを徹底させると、漢字テストの点数は上がってくる。
子どもの指書きを定着させるには、ただ形式的に指書きをさせてはだめである。「何だかわからないけどやっている」という状態では安定しない。長続きしない。
「指書き」の意味を説明することが大切である。「こういう目的でこれをやっている」と理解して行動すると安定する。
短い説明がいい。しかし、様々な角度から何度も説明をする必要がある。

(1) 先生が今まで担任した子の中で、指書きをきちんとやっている子が100点をとっていました。
(2) 手は「第2の脳」と言われています。指書きをすることで、脳が漢字をよく覚えます。
(3) 指書きは、字の形のことは気にしなくていいでしょう。筆順を覚えるのは、指で書く方がいいのです。
(4) 大学の先生が、指で書くのと、空中で書くのを比べたら、指で書く方が漢字を覚えるという研究結果を出したのです。
(5) 指書きというのは、昔から漢字を覚えるのに優れた方法として伝わってきているのです。

このような短い説明を、4月の最初の漢字スキルの授業でしっかりと入れてやる。これで、子どもたちは安定して漢字の練習をすることができるようになる。特にこだわりが強い子どもは、納得しないことはやらない。
1回言っただけではだめだ。時々、趣意説明を入れることにより、指書きをやらない状態や、機械的にやっている状態を防ぐ。

2 一時に一事の原則

ワーキングメモリーが1つに集中し、一度に多くのことを理解できない子どもがいる。
向山氏がよく例に使う「教科書25ページの3番をやりなさい」という指示。「先生、どこやるんですか?」とわからなくなる子どもがいる。
一度に3つの指示が出ているため、記憶ができないのである。「教科書を出す」「25ページを開ける」「3番をやる」という3つの指示が入っているのだ。
「一時に一事」の指示をすることは大切だ。特に初めてのことをやる時がそうである。
「五色百人一首」の初めての指導が分かりやすい。

「ありあけの~」・・・「取る時は『ハイ』と言って取るんですよ」
「あしびきの~」・・・「同時に手が出た時は、下にある人が勝ちです」
「きりぎりす~」・・・「どちらが速いか分からない時は、声を出さずにじゃんけんをします」

このように、札を1つ読む度に、1つずつルールを教えていく。五色百人一首の最初の指導は、様々な場面に応用できる。
例えば、新しいルールのドッジボールを教える場面、すべてのルールを説明してからゲームをすると、理解できない子どもが出てくる。始めてから、途中止めて、1つ1つルールを追加していく方が分かりやすい。そして、何よりもそちらの方が楽しい。
「漢字スキル」「計算スキル」の初めての指導も「一時に一事」の指示でやり方を教える方が分かりやすい。

3 簡明の原則

向山氏は、「簡明の原則」について次のように説明している。

指示・発問は短く限定して述べよ。

言い方を変えると、「言葉を削ること」が重要である。ワーキングメモリーが1つに集中する子どもに対して、だらだらと長い言葉で指示・発問をすることは、罪である。何が大切なのかという情報を選択するのが難しくなる。

「はい、それじゃあ、漢字スキルをします。はじめてください」 
→「漢字スキル、はじめ」
「100玉そろばんをしますよ。え~じゃ
あ、2とびをします。せえのがさんはい」
→「100玉そろばん。2とび」

キーワードを明確にしないと、何を言っているのか分からなくなる。

4 全員の原則

向山氏は述べる。

手に何か持っている状態で指示したのは指示したうちに入らない。

全員に教師の指示を徹底させるには、鉛筆や消しゴムを持たせたまま話をしてはならない。
伊藤寛晃氏は、「発達障害の子どもは話を聞きながらメモをすることは難しい」と言う。話を聞くということと、メモをとるという同時に2つのことをすることができないのである。話を聞いた後に、メモをさせる等工夫をしていると言う。
子どもは手に何か持っているとそれをいじりたがる。「○○君、鉛筆を置きなさい」とやって徹底する必要がある。
教師が話をしている最中に、鉛筆を持ち始める子どももいる。話をしながら、目配せをしたり、その子のそばに言って、鉛筆をそっと取り上げ机に置いたりするということが必要だ。
子どもが鉛筆を持ったことに気がつかないというのは最悪である。

5 所時物の原則

教室の学習環境を整えることは、すべての子どもにとって大切である。特に、集中が他のところに移りやすい子どもにとって学習環境は重要である。「所時物」の「所」である。
討論の時に、机をコの字型にする。子どもは「よし発表するぞ」という雰囲気になる。
グループで机を4つ合わせる。会議をするぞという雰囲気になる。雰囲気づくりは大切である。やることに集中することができる。
向山氏は述べる。

授業をするときの基本パターンを、6種は使いこなし、10種は準備しておくようにしたい。

10種述べる。

① 一斉授業用
② 学級会用
③ 討論用(コの字型)
④ グループ用①
⑤ グループ用②
⑥ 英会話用(椅子のみ)
⑦ 読み聞かせ用(机、いすを後ろに下げ、床に座る)
⑧ 作文用(机を離す)
⑨ パーティー用(机を真ん中に寄せてテーブルをつくる。そのまわりに椅子を置く)
⑩ 椅子だけを使って丸く囲む

視覚情報や聴覚情報が雑刺激となる教室環境は排除する必要がある。
顔の絵や、手形などが教室前面に貼られていると、そこに集中が行ってしまう 子どもがいる。教師が前面に立って話をしていても、目線は掲示物に行ってしまう。雑刺激である。
金魚の水槽のポンプの音は、子どもが聴覚情報を整理するのに、邪魔になる。教師や子どもの声と、水槽の音が重なり、重要な情報を選択しにくくなるのだ。

6 細分化の原則

伊藤寛晃氏は言う。

できないことを1つ1つ細分化して、手だてを講じるのは、教師の仕事である。

長なわ8の字跳びで、なわにうまく入れない子どもがいる。
子どもを見て、入れない状態を細分化する。

① なわに入るタイミングが分からない。
② 前に跳ぶ子どもから離れてしまう。
③ なわに入る位置がずれている。
④ なわを抜ける位置がずれている。
⑤ 跳びながら前に進めない。
⑥ いつ跳んでいいか分からない。
⑦ 足が揃ってしまう。
⑧ どこを見て跳べばいいか分からない。
⑨ ジャンプが低すぎる
⑩ ジャンプが高すぎる。

それに、手だてを講じるのである。

(1) 「ハイ、ハイ、ハイ・・・」と跳ぶ時に声をかける。(①、⑥)
(2) 前の人の左肩に右手をかけて並ぶ。(②)
(3) 三角コーンの間と、回し手の間から入って、向かい側の三角コーンと回し手の間から抜ける。(③、④)
(4) 教師が回し手になり、背中を軽く押す。(①)
(5) 児童が軽く背中を押す。(①)

あとは、実際に繰り返し楽しくやりながら力をつけていくのがいい。1回で詰めてはだめである。
楽しくやるために「ドンマイ」ということを最初に教える。
例えば、「わり算の筆算ではどこにつまずいているのか」を細分化して把握する。
「商をたてることができない」「かけ算ができない」「かけた数をどこに書くかが分からない」「ひき算ができない」「おろすことを忘れる」
もっと細分化できる。商をたてることができない場合、「わる数が1けたならばたてることができるのか」「わられる数の2けた部分に、わる数が2けたならたてることができるのか」「わられる数が3けた部分に、わる数が2けたならばたてることができるのか」と、さらに細分化する必要がある。
教師が商を赤鉛筆でうすく書いて、子どもになぞらせる指導をするにしても、その子どもに応じた対応をする必要がある。

7 空白禁止の原則

発達障害の子どもがいる学級では、絶対に守らなければならない原則である。
伊藤寛晃氏は言う。

不要な空白は、教師に注意を向けるのが苦手な子の視線がそれる。多動な子が席を立つ。                    
 『教育トークライン』2009年1月号

空白をつくることで、クラスにトラブルが発生するのである。
以下は、向山氏の言葉である。

まず全体に、大きな課題を与えよ。然る後に個別に指導せよ。

授業中の個別指導は「完全にさせる」ではなく「短く何回もさせる」ということを原則にせよ。

たとえ1人でも、1分間でも「何をやっていいか分からない」状態をつくらない。
「個別指導」とあるが、ただそばに行って教えることと考えてはならない。
短く何度も個別指導をするのである。1人1人の子どものつまずきの状況を教師が正確に把握しておく必要がある。
できないことを細分化しておく必要がある。「細分化の原則」である。向山氏の授業の原則10カ条は、1つ1つがバラバラなのではなく、リンクしているのだ。

8 確認の原則

向山氏は、次のように言う。

教師は、1時間の授業の中で、達成率を何度か確認しなければならない。

確認をする理由は、大きく分けて2つある。
1つは、教師が子どもの習得状況を見て、次の手を打つためである。
もう1つは、子どもに学習の緊張感を持たせるためである。
後者が発達障害の子どもに対して特に重要である。漢字スキルで新出漢字を学習した後、「空書き」をして確認する。地図帳で熊本市を探す指示をした後、指を置かせる。「となりと確認」と指示をする。グループで学習をしている時、現在の状況を班長に発表させる。
このような確認で、やっていない子どもをつくらない。やらざるを得ない状況をつくる。

9 個別評定の原則

椿原正和氏の授業を1日参観した際、氏は毎時間個別評定をしていた。
国語の要約指導、算数の練習問題、音楽のリコーダー・歌。毎時間である。
個別評定は、達成後のイメージを教師が持ち、そこに至るまでを細分化し、観点を示すのである。
例えば、子どもがスピーチをする際、目線、声、表情、態度、時間など、細分化して観点を明確にし、2点ずつの10点満点で評定するといったことである。
個別評定により、子どもはやる気になる。「次こそは」と挑戦したくなる。緊張感が生まれる。
ただし、留意すべきは失敗を極度に嫌がる子どもに対してである。
例えば、最初に指名してはならない。個別評定は低い点数からだんだん上がっていくのが醍醐味である。最初に「10点満点の1点」とつけられると、それだけで一発でやる気をなくしかねない。「点数が低くて当然だ」という状況をつくる必要がある。
評価の言葉を入れてから評定するのも大切である。「声がしっかり出ていたけどね。2点」
「惜しいなあ。姿勢がとってもよかったよ。3点」などである。
教師が笑顔で楽しそうに評定することもポイントである。しかめっ面で評定すると、子どもは嫌になる。ニコニコ笑って、子どもたちとともに楽しむ雰囲気でやることも大切だ。
そして、これが最も大切なのだが、教師が必ず合格点まで全員を引き上げなければならない。上達させるために、個別評定をするのである。

10 激励の原則

伊藤寛晃氏は、「激励の原則」で大切なのは次のことであると言う。

労をねぎらう。

「ありがとう」「助かったよ」「君のおかげで~」という言葉である。
一人一役の当番を決める。伊藤氏は「夏休みに見直す」と言う。見直す基準はこれらの労をねぎらう言葉がかけられないものであるとのことだ。
毎日毎日これらの言葉を子どもたちにかけているだろうか。子どもの存在価値を示す言葉である。自尊感情を高める言葉である。毎日全員にかけたい。
向山氏の次の言葉を心したい。

「はげまし」とは、教師が子どもと共に、一緒に欠点を克服していこうとする連帯の証しなのである。

目の前の子どもを「何とかしたい」「力をつけたい」という執念とも言い換えることができる。
ボヤーッと立って授業をしている教師に、担任されている子どもはかわいそうである。


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